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ロレアルは5G×AIライブ、コロナ後の中国で売上増のブランドが実行した施策とは

◆ English version: How brands like L’Oréal use 5G, AI-powered livestreaming to boost sales in post-coronavirus China
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大がピークアウトし、経済が戻りつつある中国で、主にオンライン施策や新ブランド投入でラグジュアリーブランドが存在感を強めている。その背景として、感染ピーク時でも崩さなかった各ブランドの攻めの姿勢がある。各ブランドは何を実行したのか。それぞれの取り組みについて紹介していく。

国家統計局によると、中国の5月の社会消費品小売総額は前年同月比2.8%減の3兆2,000億元(約48兆円)と、COVID-19の影響から完全には抜け出せていない。ところが、化粧品の小売総額は12.9%増の270億元(約4,050億円)と好調で、ひと足先にコロナ以前の水準に戻っている。

販売増に大きく寄与しているのはオンラインだ。長城証券の調査では、中国のEC最大手アリババグループの5月の流通取引総額(GMV)は、スキンケアアイテム類が前年同月比25.6%増の140億元(約2,100億円)で、メイクアイテム類が29.8%増の55億5,000万元(約832億円)だった。売上トップ10の内訳をみると、スキンケアでは8つが海外ブランドで、メイクアイテムでは7つが海外ブランドだ。

中国でCOVID-19の感染が拡大しはじめた頃から、いち早く海外ブランドはオンライン販売に一層注力する戦略を固め、それをいまでも続けている。なかでもラグジュアリーブランドは、早い段階で中国市場を重視する姿勢を打ち出しており、それが業績にも表れている。

ロレアルは5G×AIライブ動画を配信

ロレアルグループの決算報告によると、2020年第1四半期の売上高は前年同期比4.8%減の72億2,000万ユーロ(約8,664億円)とCOVID-19が大きく影響した。しかし、中国事業に限れば6.4%増と堅調で、同期のGMVは51%増の34億元(約510億円)だったという。コロナ禍でも積極的にオンラインを活用してきた結果だが、同グループの仕掛けはそれだけではない。新技術を相次いで発表し、多面的なデジタル・トランスフォーメンションを進めているのだ。

同グループは4月に「AIファンデーションアダプター」を、傘下のメイベリンニューヨークが出店しているアリババ系ECプラットフォーム「Tmall(天猫)」の旗艦店に、世界に先駆けて実装した。これは、スマートフォンのカメラを使ってユーザーの顔を360度スキャンができ、その解析結果をもとにAIが最適なファンデーションの色をレコメンドしてくれるバーチャルメイクサービスだ。周囲の光源環境を分析することで、正確かつ自然なシミュレーションを提供する。

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