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ゲランなどが美容部員の1on1コンサルティングを開始。顧客の反応は上々、売上増も

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非接触リテールの時代」特集。小売サービスが
急激な方向転換を迫られるなか、ヒントとなる
具体策や事例を積極的に紹介していきます。

長期の自宅待機で顧客たちが望んでいたもの、それは美容部員による1on1のオンライン・カウンセリングだ。メールで予約してビデオ会議という方法から、HeroやYouCamメイクといったアプリやツールを使用するなど、そのやり方はさまざまだが、顧客の反応は良好で、コンバージョン増や客単価増につながっている。ゲランやクリニーク、ベアミネラルズ、GlossierやDECIEMなどD2Cブランドまで米国事例を中心に紹介する。

COVID-19に伴う厳格な都市封鎖が施行された欧米では、店舗の休業と外出制限が長期化した。この期間、経営規模の大小を問わず、化粧品ブランド各社はオンラインでのサービスの拡充に努め、ECサイトの強化に加えて、カスタマーサービスのデジタル化を図った。

そのなかでも顧客エンゲージメントを緊密に維持する施策として注目されたのが、自宅待機の美容部員と、自宅にこもることを余儀なくされた顧客を、ビデオチャットやウェブ会議ツールなどを利用してダイレクトにつなぐ、非接触対面型のオンライン・コンサルティングである。

資生堂傘下のベアミネラルズをはじめ、ゲランやクリニークなどの大手から、Grossier、Deciemなど、堅固なファンベースを持つD2Cまで、数多くの企業が2020年4月から5月にかけて次々とこの無料オンライン・コンサルティングを導入した。

すでに各国でも店舗は少しずつ再開が始まっている。だが、いつか再びパンデミックが起こる可能性を人々が認識したポストコロナの時代、中長期的な観点から、顧客とのタッチポイントがオンラインで完結するサービスを確保し、かつ磨き上げていくことは必要不可欠だ。各ブランドが取り組んでいる実例とその効果についてみていこう。

スキンケア相談やオンライン会議向けメイクの提案

ベアミネラルズでは、自社のメイクアップアーティストやビューティエキスパートがビデオ通話を通じて1対1で顧客の相談にのる「バーチャル・コンサルティング」をスタート。月曜〜金曜の9:00-17:00の間にスロットを設け、顧客からの事前予約を受け付けた。自宅のソファの上で美容の専門家からの個別アドバイスが受けられ、オンライン会議で顔を明るくみせてくれる口紅のカラーを知ることもできるとうたう。

同社のマーケティングディレクターのイザベラ・ロジャース(Isabella Rogers)氏は、ビューティというものは非常にパーソナルで、一人ひとりの感情によってたつところが大きく、化粧品の購入は十分に吟味してから行われるものだとして、店舗に来られなくともブランドと直接つながっているという意識を顧客に持ってもらうことがいかに重要かを、英国メディアの取材に対して語っている

同様に、顧客に合わせてカスタムメイドした1対1の「ビューティ・マスタークラス」を設けたのがゲランだ。各顧客のニーズに応じて、日々のスキンケア法の指南から、メイクアップのアドバイス、自分にあった香水選びまで、さまざまな相談に同社の美容コンサルタントが対応する。顧客は好きな時間帯に30分のビデオチャットか、15分の電話での会話を選べる。

クリニークも、SNSと連携したイベント開催プラットフォームEventbrite上で、スキンケアスクールとメイクアップクラスを開設した。参加申込みをすると同ブランドの美容エキスパートによる1対1のコンサルテーションが受けられる。

熱量の高いオンラインコミュニティを抱えるGlossier では、ブランドのファンが、通称gteamとよばれるGlossier Teamメンバーと直接対話できるメイクアップコンサルテーション「Glossier Live Edit」プログラムの試験運用を4月に行った。初回は抽選で選ばれた150名が参加し、それぞれ15分間のビデオチャットを楽しんだ。Glossierは同イベントを今後も開催していくとする。

オーガニックぶどうからの抽出物を活用するヴィノテラピー・スキンケア製品で知られる仏コーダリーも、実店舗の休業中にビデオチャットを通じバーチャルで対面する20分間のデジタル・カウンセリングを開始した。自社製品を知り尽くす美容部員やエステティシャンが、顧客の個々のニーズを聞き取り、どの商品をどのように組み合わせるのが最適かをアドバイスし、各自にあったケア方法を紹介するものだ。

ヘアケア分野では、毛髪学者が設立した英国発ブランドで、ヘアケア製品の開発・販売のほか、毛髪専門クリニックを持ち、ヘアスパトリートメントなどを提供するPhilip Kingsleyが、リアルなクリニック並みのオンライン・コンサルテーションを開始した。

ユーザーは同クリニックにeメールで予約を申込み、予約時間の48時間前までに髪と頭皮の状態がわかる画像と必要事項を記入した問診票を送る。当日はビデオ通話により毛髪エキスパートのオンライン診断が受けられ、ヘアロスなど髪の悩みの原因を、両親から受け継いだ遺伝的傾向や食生活、ライフスタイルなど広範囲から分析して、適切なケアが提案されるというものだ。これは有料サービスで、料金は220ポンド(約3万円)〜となっている。

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Philip Kingsleyのロンドンのサロン
出典:Cosmetics Business

全体売上は388%増、コンバージョン率は37%増

化粧品ブランドは通常、第三者のメッセージングやウェブ会議プラットフォームを自社サイトに組み込むことで、オンライン・コンサルティングを実装している。

美容有効成分を高配合し、肌の悩みにピンポイントで応えることをうたう、ナチュラルかつ高機能な製品コンセプトの「The Ordinary 」などのブランドを持つカナダのDECIEM。同社がパートナーに選んだのは、オムニチャネル化をサポートするメッセージングアプリのスタートアップHeroだ。

Heroの技術を導入した「Deciem At Home」は、DECIEMの公式Webサイト経由で、ユーザーと実店舗の店員がビデオチャットやメッセージを通した双方向のコミュニケーションを可能にするものだ。ユーザーから送られてきた肌の悩みを撮影したビデオを見ながら、店員はふさわしい商品や、その組み合わせ方を提案し、使用法をあわせて説明する。ユーザーは当日の会話をセーブして後日見返したり、その3週間後に同じ店員とコネクトして、購入した商品の使用感や経過について話し合ったりもできる。

DECIEMのCEOのニコラ・キルナー(Nicola Kilner)氏は、「(ロックダウンにより)現実に顔をあわせて話すことは不可能になってしまった。だが、それゆえに、人と人とのパーソナルなつながりが、かつてないほど求められている。私たちはこのヒューマンコネクションのパワーを信じている」とし、実際に店舗で店員と話しながらサポートを受けるかのようなショッピング体験をオンラインで叶えることは、ユーザーに喜びをもたらすだろうと語る

クリーンビューティ製品に特化した化粧品専門店チェーンの米Credo Beauty は、COVID-19感染拡大の前からHeroアプリを採用しているが、COOのアニー・ジャクソン(Annie Jackson)氏は、同社のECビジネスの12〜15%増にHeroが寄与していると明かす。Credo Beautyは店舗休業中も60名の店舗スタッフ全員の雇用を維持しており、スタッフはHeroアプリを通して、消費者からの質問に答えたり、商品説明を行うなどの“コンサルテーション業務”を続けた。このコンサルティングを受けた顧客のECでの1回の購入額は、受けなかった顧客より20ドル(約2,180円)高いという。

Heroは、パンデミックの発生以来、同社の美容系クライアントのチャット数が2.5倍増加し、コンサルテーションなどの対話セッションが購入につながる率は25%に達するとしている。これは、Heroアプリを採用すると、ブランド側のコンサルタントが、おすすめの商品をユーザーのショッピングカートに直接入れられる機能を利用できるところも大きいだろう。COVID-19によるロックダウンが始まってから、美容系クライアント全体の売上はトータルで388%増を記録し、コンバージョン率は37%増えたとHeroは発表している

また、化粧品リテール大手のウルタはPerfect Corp.の「Beauty Advisor 1 on 1」を導入した。ユーザーがウルタの公式WebサイトからQRコードを読み込みビデオコールすると、画面上に担当アドバイザーが現れ、たとえばメイクアップ相談の場合は、YouCamメイクの機能を使い、ユーザーの要望や感想を聞きながら、顔上にバーチャルメイクを施していく。セッション終了後、メイクに使用したアドバイザーのおすすめ製品はウルタのサイトに表示されており、そこから購入へ進む流れがつくれる。

消費者からの要望に応えてコンサルティング機能を装備

小規模なD2Cブランドやスタートアップも、ユーザーとのダイレクト・コンサルテーションの仕組みを作り上げている。

ファンデーションからアイカラーまでクレヨンタイプのメイクアップ製品を、ペンケースを思わせるコンパクトなポーチに入れてセット販売するTrestique では、一人ひとりにあったカラーをエキスパートが診断して、カスタマイズした組み合わせを作るライブビデオコンサルテーション「Find My Shade」機能を公式Webサイトに実装した。

ユーザーがセルフィーを撮影して、ただちにライブ・ビデオチャットを開始するか、都合のいい日時を予約すると、ブランドのビューティアドバイザーがセルフィー画像を見ながら、ユーザーの好みやなりたいイメージをその場で聞き取り、色選びをサポートする。この機能を追加したのは、自宅にこもるユーザーからのカラーマッチング・コンサルティングを受けたいという要望が急増し、全社員10名の同社ではデジタルで効率化を図らないことには対応が難しくなったからだ。

Trestiqueはまた、以前からカスタマーサービスプラットフォームGorgiasを利用しているが、注文に関する問い合わせが中心だったこちらにも、購入前に自分にあった商品をアドバイスして欲しいとのリクエストが、多数寄せられるようになったという。

「ロイヤルカスタマーに依存する小ブランドとしては、顧客とどこまで深い関係性を築けるかが、ビジネスの将来を左右する」と、Trestiqueの共同創業者であるジェン・カパヒ(Jenn Kapahi)氏は語り、オンライン・コンサルティングの役割はますます重要になるだろうと示唆した。

デジタル化が進んでも、人と人との交わりという意味でのヒューマンタッチは誰もが求めているもので、むしろ、バーチャルな世界がリアルの再現に近づけば近づくほど、生身の人間同士が向き合う機会が貴重になり、それを希求する気持ちは強くなるだろう。実際に触れあうことこそできないものの、遠く離れた場所にいる人の顔や表情や仕草を見ながら、ライブでのトークが簡単に実現するようになった現在、オンライン・コンサルティングがリテールの現場においてデフォルトになる日は、そう遠くはないのかもしれない。

Text: そごうあやこ (Ayako Sogo)
Top image: sebra via Shutterstock

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