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マイクロニードル化粧品、市場拡大とともに形状も多様化、3つのトレンド

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注射に代わる投薬方法として医療機器や医薬品で活用されてきたマイクロニードルが、化粧品分野でも広まっている。一般的な「パッチ型溶解性マイクロニードル」以外にも、中空型マイクロニードルを用いた「ノック式」、成分そのものをニードル状に結晶化させたものや海綿動物から抽出された天然由来のニードルを美容液やクリームに混ぜた「塗るタイプ」なども登場している。それぞれの特徴についてみていく。

拡大するマイクロニードル市場、化粧品への応用も増加

マイクロニードルは、非侵襲的で痛みの少ない方法で薬物、ワクチンを投与するために使用される経皮ドラッグデリバリーシステムのひとつだ。Research Nesterが実施した調査によると世界のマイクロニードル ドラッグ デリバリー システム市場は、2023年から2035年に約7%のCAGRで成長し、2035年末には約13億ドル(約1,810億円)に達すると予想されている。

市場成長を牽引するのはヘルスケア産業の伸長で、糖尿病、がん、心臓病、脳卒中などの慢性疾患の有病率の増加を背景に、マイクロニードルを活用した投薬技術の開発が加速すると予測されているが、近年、注目されているのが美容分野での活用の広がりである。美容医療機関でマイクロニードルを使った治療件数が増加していることや、医療機関に通わずに、自宅で手軽にケアができるマイクロニードル化粧品の開発が進んでいる。医薬品は薬事承認までに多くの年月を要するが、化粧品は比較的短期間で市場に投入することができるため、医療品と並行して化粧品開発に取り組む企業も増えている。今回は、マイクロニードル化粧品の国内動向に注目し、マイクロニードルを3つのタイプに分けてその特徴を紹介する。

パッチ型溶解性マイクロニードル

溶解型マイクロニードルは、美容成分を蚊の針の太さに匹敵する0.1mmレベルの極細のニードル状に成形しシート状に加工したもので、肌に貼るとニードルが角質層まで届き溶け出すことで効果を発揮する。分子量が大きく浸透しにくいヒアルロン酸などの美容成分を、針状にすることで肌の深部に浸透させられるのが特徴だ。針自体が溶けて肌内部に浸透することや、成形のしやすさなどから、ヒアルロン酸を主成分に数%の有効成分を配合する処方が多い。製造方法は、専用の金型に美容成分を流し込んで熱や光で乾燥・固形化するマイクロモールディングが一般的だが、ニードルの形状や製造方法で差別化する動きが出てきている。

●コスメディ製薬株式会社:iFデザインアワード2023受賞の富士山ニードル

2001年5月に京都薬科大学との産学ベンチャーとして設立されたコスメディ製薬株式会社は、経皮吸収の基礎研究で培った技術をもとに、医薬品、化粧品及び医療用粘着製品を開発する製薬企業で、2008年に世界でいち早く溶解型マイクロニードル化粧品の販売を開始した。マイクロニードルが肌にしっかり刺さって抜けないように下支えするために、末広の土台をも持つ富士山型をした針形状を採用しているのが特徴で、針の長さは角質層内を越えない範囲の200μmのニードルとし、目もと用のパッチ1回分あたり3,800本*と他社に比べ本数が多いのが特徴だ。「富士山ニードル」と命名されたマイクロニードルは、世界3大デザイン賞であるiFデザインアワード2023を受賞し、世界的にも評価されている。

* コスメディ製薬「ダーマフィラープレミア」の場合

富士山ニードル
出典:コスメディ製薬株式会社プレスリリース

コスメディ製薬は、国内大手化粧品メーカーをはじめ、さまざまな企業のOEM/ODMを手掛けており、人気の高い目元ケア用のパッチのほか、ほうれい線用、しみケア用、唇用、育毛用などがある。形状だけでなくニードルの面積を部位サイズに合わせて設計変更をし、悩みに合わせた成分の組み合わせなどの企画・提案が可能で、国内の自社工場で医薬品クオリティに準拠した製造環境で製品を提供している。

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