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「小売店舗のミライ」がなぜ必要なのか、これから書きたいこと

こんにちは、アイスタイルの吉松徹郎です。

前回、この連載をスタートするにあたっての理由を書きましたが、今回は、この連載を通じてこんなことを伝えていきたいという全体像をお伝えしたいと思います。

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まず、
「なぜ今後、リアル店舗が超重要になってくるのか?」
ということですが、すごくシンプルに言ってしまえば

「オンラインよりリアル店舗のほうがユーザーへの接触コストの効率がよくなる」

と考えているからです。ここでいうユーザーへの接触コストとは、AIDMAやAISASのAIにあたる部分です。

これから5年10年、生活者が接するデジタル上での情報量は圧倒的に多くなっていきます。

ただし、です。これだけ情報量が増えても生活者の方々が一度に処理できる情報量は変わりません。オンライン上で100のブランド・商品を次々に探しながら見ていくことを考えてみてください。きっと途中で嫌になってやめてしまうでしょう。

一方、@cosme TOKYO、原宿駅前のあのお店には約600ブランド、2万SKUというたくさんの商品が並んでいます。そこでPOPや接客で、顧客とコミュニケーションしています。

ここであれば、100のブランドに接するのにわくわくしながら1時間あっというまに経つのを実感いただけると思います。スマホなどで検索しながら何か探すというより、リアルのほうが圧倒的に大量の製品と情報に接することができるのです。また店頭にいる美容部員はブランドをまたがった豊富な知識を持っており、商品を探している人はより詳しい情報やプロとしての意見も聞けますし、思いもかけなかった商品に出会うこともできるでしょう。

これは「リアル店舗のほうがユーザー接触コスト効率がよい」の一例にすぎません。皆さんもご自分の体験から確かにね、と思う部分もあるかと思います。これからもっとリアル店舗の進化は進んでいくでしょう。

問題なのは、その
「リアル店舗の進化のコストを誰が負担するのか」
ということなのです。

リアル店舗の市場が縮小していく中で、新しいユーザーとの接点・体験を誰が作っていくのか、それが事業として成り立っていくのか、このことを、小売店側の視点、ブランド側の視点、生活者の行動パターン、そしてそれらをふまえて私たちが考えるco-store戦略について書いていけたらと思います。

■いま小売店舗に起きていることは何か
■いまブランドに起きていることは何か
■その背景にある生活者の行動パターンの変化
■アイスタイルが考えるミライの小売店舗、co-store戦略

私たちはECを2002年から、リアル店舗を2007年から展開しています。そして、2021年のパンデミック直前に原宿で@cosme TOKYOというリアル旗艦店をオープンさせました。その過程において、うまくいったこと・いかなかったことの経験をふまえ、私たちは小売店舗のミライ、つまりビジネスモデルの変革を本気で考えていかないといけないと心から思っています。

では、次回から本題に入っていきたいと思います!
6/21(火)更新予定です。

次回予告:いま、小売店舗に起きていること(1) - 2020年に旗艦店を開いた理由

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<著者プロフィール>

吉松徹郎
株式会社アイスタイル 代表取締役社長 兼 CEO


東京理科大学基礎工学部卒業後、アクセンチュア株式会社入社。1999年7月に有限会社アイスタイル(現:株式会社アイスタイル)を設立し、代表取締役社長に就任。同年12月、コスメ・美容の総合サイト「@cosme」をオープン。2012年、東証一部上場。現在は「Beautyの世界をアップデートしながら、多くの人を幸せにしよう」をミッションとして事業を拡大、アジアを中心にグローバルにビジネスを展開。また、公益社団法人 経済同友会東京オリンピック・パラリンピック 2020 委員会副委員長、公益社団法人 経済同友会幹事を務めるほか、公益社団法人アイスタイル芸術スポーツ振興財団を設立し、理事長として現代アートの制作・展示への助成支援やスポーツイベント開催活動への助成支援を行うなど、活動の幅を広げている。「第6回ニュービジネスプランコンテスト」優秀賞(1999年)、ICS「第14回 ポーター賞」(2014年)、「EY Entrepreneur Of The Year Japan 2018」 Growth部門 特別賞(2018年)など、受賞歴多数。

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