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始まりつつあるメタバースコマース、α世代Z世代との新しいコミュニケーション手法【NRF2022】

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NRF2022レポートの最終回は、同ビジネスショーで開かれた「メタバースコマース」の現在と未来を語る登壇セッションを取り上げ、「アバター経済」と呼ばれる、小売業界における新しい市場と目されるメタバースについて、すでに始まっているさまざまな取り組み事例とともにみていく。

2024年までにメタバース市場はグローバルで約92兆円へ

Facebookが社名をMetaと改めて以来、「メタバース」は業界の垣根を超えた最大のトレンドワードになっており、ブルームバーグ・インテリジェンスによると、2024年までにメタバース市場はグローバルで8,000億ドル(約92兆4,200億円)に到達する可能性があるという。

NRF2022でも、開催された多くの登壇セッションでメタバースが取り上げられた。なかでもコンサルティング企業WGSN Insightのシニアストラテジストであるカサンドラ・ナポリ(Cassandra Napoli)氏のセッションでは、「Retailing in Metaverse」というテーマで、小売業界においてメタバースがどんな意味を持ち、どのように利用すべきか、最先端の取り組みを数多く紹介しつつ、今後の展望が語られた。

ナポリ氏は、メタバースの市場拡大を牽引するのは、メタバースが身近にある環境で育つ最初の世代となるα(アルファ)世代(2010年以降生まれ)とZ世代であるとする。WGSNが最近実施した調査では、18歳~29歳の51%がメタバースに参加することに興味があると答え、どの年齢層よりも高い結果となっている。だが、世代間でメタバースを利用するマインドは異なっているとナポリ氏は指摘。ミレニアル世代やZ世代が、退屈で厳しい現実から異世界に逃避(エスケープ)する手段としてメタバースを利用する一方、α世代は、自己表現や創造性を試す場としてメタバースを好んで選ぶだろうとする。

「アバター経済」は、小売における新しいコミュニケーション戦略

メタバースは、ブランドや小売業者にとって、次世代の消費者への新しいコミュニケーション手段であり、業界全体の市場を成長させる機会となるのは間違いない。実際、現在注目を浴びているエンゲージメント戦略の1つに「アバター経済」がある。オンラインで過ごす時間が長くなり、多様なメタバースへのアクセスが簡単になれば、誰もがバーチャル世界の“自分”としてのアバターを持つようになり、ソーシャルメディアのアカウントと同じくらい一般的になるだろうと考えられている。

シティグループの一員であるCiti Venturesのシニアバイスプレジデントのジェレーナ・ゼック(Jelena Zec)氏が書いたレポート「The Metaverse Mall: From Science Fiction to Retail Reality」によれば、物理的(フィジカル)な商品をオンラインを介して直接消費者へ販売するD2C(Direct to Consumer)型のEコマースモデルが一般化した現在では、バーチャルでメイクや服やアクセサリーを試用したり、家具などの大きさや室内に配置した様子を確認するなど、Eコマースでのデジタル体験が進化している。その次の段階の、消費者がアバターとして参加するメタバースでは、直接アバターにデジタルファッション、アート、コレクターズアイテムなどを販売し、アバターでバーチャルトライアル体験をするD2A(Direct to Avatar)が主流になるとする。

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