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20年目のルナルナ、月経・妊娠にまつわる精度の高いサービスで日本のフェムテックを牽引

◆ English version: In sync: Fertility app Luna Luna has laid the foundation for femtech in Japan for 20 years
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2020年も3月8日の国際女性デーにちなみ、
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フェムテックという言葉が誕生する以前から、生理日や排卵日の予測・管理ができるサービスとして、国内で不動の地位を築いてきた「ルナルナ」。スタートから20年たった今も、毎年ダウンロード数が右肩上がりの理由は、日本人女性に特化した生理トラッキングアプリでは当時唯一であったこと、その後も大規模なデータの蓄積でユーザーサービスを磨きあげつつ、ブランド力を高めていることにある。その背景を探った。

携帯端末向けコンテンツ配信事業を展開する株式会社エムティーアイが運営する「ルナルナ」は、生理日や排卵日の予測・管理をはじめとした女性の健康情報サービスとして2000年にスタートした。当初は、同社が手がけるガラケーそしてiモード®のコンテンツのひとつとしての存在だったが、現在は、テクノロジードリブンな生理トラッキングアプリとして新規ユーザーを増やしている。

2008年にいち早く「新技術開発室」と呼ばれる専門の研究チームを立ち上げ、2018年にはベトナムにAIラボ「MTI TECHNOLOGY Co.,Ltd.」を設立して、データ解析に積極的に取り組んできた。

同社 執行役員 ヘルスケア事業本部ルナルナ事業部 事業部長 日根麻綾氏は、「ルナルナでは、長年蓄積されたデータを解析して独自のアルゴリズムを開発している」と話す。たとえば、「排卵日」については、生理周期の異なるユーザーのデータ※1から平均生理周期が同じ人のデータをグルーピングし、そのグループごとに排卵日の記録※2をかけあわせることで導き出している。これにより、昭和初期に考案され定説とされてきた「平均月経周期から予測される次の月経開始日から14日前を排卵日」とするオギノ式による予測の改良に成功し、より高精度で行うことが可能になった。

「このアルゴリズムで、排卵予定日から割り出した妊娠確率の高い期間(仲良し日)がわかるようになっている。仲良し日機能は有料会員のみのサービスだが、排卵日予測のみの無料会員と比べて生理周期あたりの妊娠率が1.2倍というデータもある」(日根氏)。

※1 約300万人のうち排卵日が特定できた5万5,000人の中から、予測に十分な過去データがある月経サイクル約2万件を活用
※2 病院での検査や市販の排卵日検査薬で排卵日と特定された日

高精度という観点からいえば、月経周期に関する大きな発見もあった。国立成育医療研究センターとの共同研究で、2016年から2017年にルナルナに登録された月経周期(約30万人、約6百万周期)に関する情報を分析して、月経周期と季節、居住地、年齢などの相関性を調べたところ、日本人女性の月経周期は、季節や居住地による影響をほとんど受けないことや、年代によって正常月経周期の範囲(25日〜38日)に含まれる女性の割合が変化することなどがわかった。この2020年に発表した調査結果により、年齢を考慮して月経周期を捉えることで、きめ細かいヘルスケアや医療の提供に役立てられる可能性を示したのだ。

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月経周期の平均値は25歳頃に
最も長くなり、その後45歳にかけて
約3日間平均値が
短くなることがわかった。
提供:エムティーアイ


女性のライフステージや悩みに合わせたサービス設計

現在、ルナルナはダウンロード数1,500万に迫る勢いで成長しており、ライフステージごとの健康課題にフォーカスした「ルナルナ ベビー」「ルナルナ 体温ノート」「ルナルナ スポーツ」の各アプリをシリーズで展開している。

ルナルナには、生理日予測を中心とした無料版と、最も妊娠しやすいタイミングである「仲良し日」の表示や、医師のQ&Aコンテンツ、生理周期によって変化する体調や排卵日などの予測日をパートナーと共有できる機能などが追加された有料版があり、有料版利用者の半数が妊娠を希望している女性やカップルだという。

利用者の年代は、約7割が20〜30代で、毎日利用するアクティブな利用者が約5割で、アンケートや調査への協力にも積極的なのが特徴だ。現在、東京大学と進めている「妊産婦のうつ予防に関する研究」でモニタリングする妊娠16週から20週の妊婦を募集したところ、すぐに数千人の協力者が集まったという。

日根氏は、「アンケートや調査はノーインセンティブ、または薄謝で募集することが多いが、毎回多く方にご協力いただいている。『登録したデータを、日本人女性のよりよいヘルスケア実現のために役立ててほしい』『自分のデータを未来のために投資したい』と考えてくださる利用者が多い」という。

女性のライフステージや悩みにあわせたサービスを提供し、利用者のブランドロイヤリティを高め、かつ利用者に参加を促し巻き込むことで、次世代の女性たちのヘルスケアや女性が生きやすい社会の実現につながっていく、という好循環を生みだす仕組みがあるのも、ルナルナの強みをより強固にしているといえよう。

背景窓_日根麻綾

株式会社エムティーアイ 執行役員
ヘルスケア事業本部ルナルナ事業部
事業部長 日根麻綾氏

個人のサポートと医療との連携を両軸で進める

いまでこそ「日本のフェムテックの先駆け」として知られるルナルナだが、はじめから市場にスムーズに受け入れられたわけではなかった。iモード®立ち上がり期である2000年に同社が始めた200以上ある携帯コンテンツのひとつとしてスタートするも、月経というテーマを扱うことは当時タブー視され、キャリアの公式サイトのコンテンツとして認められなかったという。そんななか、2000年にau公式サイトリリース時に掲載が決まり、その後も継続的に提案・交渉したことで、2006年にソフトバンク、2007年にドコモと続き、一気に会員数が急増した。

当時、日根氏は同社子会社の出向社員として広告代理店でルナルナのデジタルマーケティング施策を担当しており、「テレビCMなどに広告宣伝費をかけて一気に知名度をあげ、さらに2011年のスマホアプリのリリースが後押しとなって、ルナルナは女性の体と心をサポートするサービスとして国内最大規模に成長した」と当時を振り返る。

日根氏が本社に戻り、ルナルナの事業部長に就任した2012年からは、同社が運営する5つの健康管理サービスを集めたヘルスケア事業のひとつとして位置づけられ、点在する健康や医療に関する情報をシームレスにして健康管理をサポートするサービスの実現を目指している。

現在は高い知名度を生かし、広告出稿をほとんどしなくても、新規ユーザー数が増え続けている状態だという。

ヘルスケア事業の全体図_1

エムティーアイが目指す
ヘルスケア事業の展望
提供:エムティーアイ

ルナルナは医療との連携にも力を入れており、2017年に導入された「ルナルナ メディコ」もそのひとつだ。婦人科を受診する時に聞かれることが多い生理日や基礎体温について、受診時に6桁の番号を医師に伝えるだけで、ルナルナに記録しておいたデータを医師に簡単にみてもらうことができる。現在は、全国にある約800の導入施設で使用することが可能だ。「婦人科受診のハードルを下げ、医療との連携をシームレスにすることで、婦人科を受診するべきか悩んでいる女性や、すでに通院している女性が、婦人科を受診しやすくなるようにサポートしたい」(日根氏)。

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「ルナルナ メディコ」の画面

また、2019年に追加されたピルモードは、現代女性に多い月経困難症の軽減に効果が認められつつ、日本ではなかなか浸透しない低用量ピルの服薬を支援する一方で、ピルを服薬するとその期間は生理がごく軽くなったり止まったりするためルナルナを使う理由がなくなるのではないかというジレンマから誕生した、いわば服薬のための支援機能だ。服薬や通院のスケジュール管理のほか、服薬期間に応じたメッセージ通知、薬や疾患に関する医師監修のコラム配信などを行い、ピル服薬の不安を和らげ、安心して服薬を継続できる環境づくりを目的としている。

さらに同社は、女性社員向け福利厚生制度として、オンライン診療を活用した婦人科受診と低用量ピル服薬の支援プログラムを2020年2月に開始した。同社グループ会社である株式会社カラダメディカ※3が提供する産婦人科向けオンライン診療システム「ルナルナ オンライン診療」を活用し、生理痛やPMSなどの症状に対して気軽に婦人科に相談できる環境をつくると同時に、通院にかかる負担を軽減し、女性特有の症状による課題を改善して、働きやすい職場づくりを目指す。同プログラムは半年間の実証期間を経て本格運用を開始し、福利厚生パッケージとして他社にも横展開していく予定だという。

※3 株式会社カラダメディカは、株式会社エムティーアイと株式会社メディパルホールディングスの合弁会社

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「オンライン診療を活用した
婦人科受診と低用量ピル服薬の
支援プログラム」の全体像
提供:エムティーアイ

ルナルナが目指すゴールについて、日根氏はこう語る。

「ルナルナの存在意義は、健康や妊活という切り口から、利用者1人ひとりの幸せの実現に貢献することにある。そのためにも、将来の健康リスクに早めに気づき対処できるように、今後は医療との連携もさらに強化していく考えだ。また、データの強みを活かして他機関との共同研究を積極的に進め、女性が生きやすい社会の創造や考え方の啓発にも貢献していきたい」

20年間のデータの分析からの知見は、世界でも類をみない。医師向けの教科書などに掲載されている月経や妊娠に関する基礎的情報は、1950年代に米国で実施された研究結果が参照されていることが多いという。その意味でもルナルナが提示している分析やサービスの先見性がいかばかりかがわかる。

Text: 小野梨奈(Lina Ono)
top image: Marta Shershen via Shutterstock

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