LUSHがデジタルを通じて実現する”ネイキッド”、心に響くサステナビリティ

◆ English version: LUSH opens largest Asian flagship store in Shinjuku, Tokyo
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2019年6月1日、新宿東口にオープンしたLUSHの旗艦店「LUSH 新宿店」。デジタルツールを導入し、自然へのこだわりとテクノロジーを融合させたリテール空間には、グローバル規模のサステナビリティを目指すLUSHの哲学が垣間見える。

世界最多の乗降者数を誇る新宿駅前に登場したLUSHのアジア旗艦店。英国リバプール店に次ぐ世界2番目の規模を誇る同店は、コスモポリタンな街・新宿に集まる異なる国籍、宗教、人種の人々に向けて、「All are welcome」というメッセージを発するLUSHの最新基地である。

外壁には4階にわたりLEDスクリーンが光り、店内の照明や音楽にも東京のポップなイメージが反映されている。フロアを見渡すと、文字表示が極端に少ないことに気づく。その代わりにネオンサインのアイコンが輝き、随所に設置されたデジタルスクリーンには、商品イメージや使用法がスタイリッシュな映像で映し出される。読んで分かるのではなく、見て分かる店作りで、誰もが言葉の壁を超えて買い物が楽しめるよう工夫されているのだ。

画像提供:LUSH

1,200種類以上の多彩な商品&サービス

「フレッシュ」「オーガニック」「ハンドメイド」にこだわる英国のコスメブランドLUSHは、世界48の国と地域で約930店舗を展開。動物実験反対、脱プラスチック包装など社会的メッセージを発信する企業としても業界をリードしている。

新宿店の1階から4階のフロアを埋める1,200種類以上の商品やサービスは、いずれもそうしたLUSHのポリシーを反映させたものだ。

たとえば「Discovery and Innovation」をテーマにした1階では、日本国内で調達した生花や鉢物を販売するフラワーショップのコーナーが設けられている。フラワーショップを持つのは、リバプール店以外では新宿店のみだ。日本の花き産業に占める割合はわずか1%という、オーガニックフラワーの生産者から旬の花を直接買い付け、LUSHが重視するトレーサビリティの確保とオーガニック産業への支援を表明する意図を持つ。

お菓子のような見ための洗顔料
画像提供:LUSH

このほか、新鮮な野菜や果物を使用して手作りするフェイシャルマスクなど、フレッシュで要冷蔵保存のスキンケアアイテムや、これまでオンライン限定で販売していたメイクアップラインをカラーバリエーションも豊富にずらりと並べた棚など、1階は注目度の高いアイテムを集中的に展開。

各種テスターをトライできるのはもちろん、メイク担当スタッフに相談したり、お試しメイクをしてもらえるメイクアップカウンターや、イベントスペースもある。LUSHの最先端を発信し、ガラス張りでオープンな路面店という立地を活かして通行人の目を引き、思わず店内に足を踏み入れさせる仕掛けなのだ。

100%ヴィーガンのソリッドファンデーション
「スラップスティック」は全40色。
さまざまな肌色にマッチする
豊富なカラーが揃う

ゴミを減らす環境配慮がデジタル導入を推進

LUSHの商品の特徴は、新鮮なフルーツや野菜を原材料に用いて手作りするところにある。いずれの製品も神奈川の工場で1つずつ人の手で作られ、資源の使用を極力減らすことを目的とした簡素なパッケージには、作り手の名前と似顔絵イラストが明記されている。

さらには、その容器すらなくしてしまおうと生み出されたのが、「ネイキッド」と呼ばれるむき出しの商品だ。ソープをはじめ、シャンプーやマッサージオイル、ファンデーションなど、意外なものまで“ネイキッド” 化、水分量を減らして固形化したものを無包装の状態で販売している。同じくネイキッドのリップは専用のリップケースを別売りする。

スリーピー ネイキッド シャワージェル
石鹸のように肌にすべらせて使用。
使い切ると植物性ワックスでできた
黒いキャップ状の部分だけが残る

風呂敷にヒントを得たという、ラッピングやエコバッグなどとして何度でも再利用可能な「Knot Wrap(ノットラップ)」もデザイン豊富に揃えるなど、ゴミを減らして環境に配慮する企業姿勢が随所に表れている。

だが、パッケージも商品説明もない状態では買い物がしにくいのではないか?そんな心配を解消するのが、容器ゼロのスマートリテールを目指して自社開発したアプリ「Lush Labs」というデジタルツールである。すでにバスボムのコンセプトショップである原宿店で取り入れられているが、今回の新宿店では対象商品を大幅に拡大して本格的に導入された。
 
棚に並ぶ商品から気になるものにスマホレンズで焦点を合わせると、AIが自動認識して原材料など製品情報を表示するとともに、動画ではどうやって使うのかがみられ、さらに進むと購入画面が現れる。デバイスの設定によって、日本語、英語、韓国語、中国語など各国語にも対応。製品情報は店外でも24時間閲覧可能で、まさにデジタルが紙パッケージに取って代わったわけだ。 

Lush Labsアプリで商品情報をチェック
提供:LUSH

ショッピングにデジタルで遊びの要素をプラス  

このほか、商品イメージを体感できるインタラクティブコンテンツも登場した。

浴槽でバスボムが湯に溶ける様子にヒントを得た「Lush Moods」は、「意欲的」「安らぎ」など6つのキーワードからなりたい気分を選ぶと、流動的に動く色彩が壁面に投影される。この映像は、手を振るなど目の前に立つ人の体の動きを察知すると連動して変化し、ムードに合わせたおすすめ商品も提示される。この機能はLush Labsアプリにも搭載されており、ショップを出た後も同様の体験ができる。

また、巨大なシャワージェリーはタッチセンサーを装備、触れたり叩いたりするとジェリーから音が流れる仕掛けが買い物客を湧かせていた。

これら遊び感覚あふれるデジタル体験をリテール空間に取り入れることで、感覚を刺激しながら商品イメージを伝えていく。テーマパークさながらの体験を通して商品選びができるのだ。

左:触れると振動で音を奏でる
シャワージェリー
右:カラーセラピーとバスアートから
着想を得た「Lush Moods」

パーティ形式の新サービスもスタート 

さらに新宿店では、リバプール店で好評な顧客参加型の新サービス「Lush Party」もスタートする。
 
パーティは2種類あり、「Treat Yourself」は、スキンケアについて学びながら、参加者それぞれが肌に合った商品をトライアルできる。もう一つの「Fun & Games」は、ゲーム感覚でシャワーアイテムのハンドメイド体験ができるプランだ。いずれも新宿店限定のサービスで事前予約制、参加者には限定アイテムがプレゼントされる。 

友人同士が集まって、楽しみながらエステやメイク講座を受けるビューティパーティは欧米ではポピュラーだが、日本でも火がつくのか気になるところだ。

また、8月下旬には4階にスパトリートメント施設がオープンする。これまで、代官山店と京都四条店で行われていた10種類のプログラムに加えて、新宿店では2種類の椅子に座ったまま受けるチェアトリートメントが登場する。施術時間は30分程度で、仕事帰りや買い物の合間に気軽に利用してもらうことを想定している。いずれも9月からの開始に向けて、予約受付中という。

オープニングイベントでは、
シェフと呼ばれる作り手が、
料理さながらにスキンアイテムを
ハンドメイドするパフォーマンスを披露


LUSHの哲学を具現化した旗艦店
 
このように、新宿店は体験要素を豊富に盛り込んでいるのが特徴だ。ほぼ全商品にテスターを用意するほか、壁面にズラリと並んだバスボムなどカラフルなディスプレイはSNS映えを意識。デジタルツールを利用する新奇性もあり、顧客とのインタラクティブを実現することで販売促進を目指すリテール空間としている。

「デジタルとリアル店舗の垣根をできるだけなくし融合させていきたい。最先端の街、新宿らしい挑戦だと思う」と、新宿店でのイベント企画などを担当するMikey氏は話す。

「スタッフはお客様のニーズをダイレクトに感じられ、お客様は非日常の体験を通して、今までなら選ばなかった商品にたどり着くこともある。リテールの場には双方に新しい発見がある」(Mikey氏)とも語り、デジタルツールはこうした両サイドの新発見に大きな役割を果たしていると示唆する。

「顧客の声が一番正しい」というのは、LUSHの創業者のマーク・コンスタンティン(Mark Constantin)氏をはじめ、スタッフ全員が共有する信念だ。利便性はもちろん、利用客がいかに楽しくショッピングできるかを第一に考えてデジタルを取り入れているという。そして、この「楽しいと思えるショッピング」のなかには、製品の安全性や透明性、ゴミを減らすという環境への配慮に対する共感も含まれる。
 
オーガニックや自然志向は一見、テクノロジーと相反するイメージだが、LUSHはあえてデジタルに積極的な姿勢を選んできた。「人も地球も、社会のトレンドも変わっていくなかで、共に歩んでいくというのが我々のポリシー。All are welcomeで共存していこうという考えだ。だからテクノロジーもウェルカム」。変化のなかで人も自然も科学技術も互いに支えあっていくことが、LUSHの理想とするサステナブルにつながっていくと、Mikey氏は説明する。

イベントスペースにもなる
シャワージェリーコーナーには新宿店限定品も

LUSHのグローバルなビジネス展開からみても、日本はポテンシャルの高いマーケットとして期待が大きい。訪日外国人や在留外国人が数多く訪れる新宿に、LUSHが今やろうとしていることを1カ所で凝縮して見せるアジア最大の旗艦店を置いたのにも、ハブとしての東京の位置付けがあるのではないか。実際、オープニングイベントには、香港や韓国などアジア各国のメディアも多数取材に訪れていた。

デジタルフォーカスでサステナブルを追求するLUSHの新店舗は、クリーンビューティという大きな潮流にあわせて舵をきる美容業界にとって、多くのヒントに満ちている。
 
Text&Photo:大西 美貴(Miki Onishi)
Top image: LUSH 新宿店 画像提供:LUSH

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