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「発酵」「アンチエイジング」がキーワード。原料レベルから未来の化粧品を先取り【CITE Japan2019】

◆ English version: All about fermentation and anti-aging: CITE Japan 2019 shows off the cosmetic ingredients of the future
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2019年5月15日から3日間にわたって開催された「化粧品産業技術展CITE JAPAN 2019」。昨今のJ-Beauty、とくにスキンケアに対する期待から最新の化粧品原料の動向に関心を寄せる関係者が国内外から数多く訪れ、会場は熱気に包まれた。なかでも編集部が注目した「発酵」と「アンチエイジング」をキーワードにした化粧品原料をピックアップして紹介する。

「化粧品に関連する多種多様な素材、技術、サービス等の展示と技術発表の場」として2年ごとに日本で開催され、今年で9回目を迎える化粧品産業技術展は、アジアを代表する化粧品原料展のひとつだ。今年の出展者数は313社で、そのうち海外からの出展者は10カ国から36社と過去最大を記録。来場者数も年々増加しており、今年は4万1,586人(延べ人数)がパシフィコ横浜の展示ホールに足を運んだ。

出展対象分野は、化粧品原料、香料、容器・包材、製造装置・測定装置、化粧用具、受託試験・分析、業界誌紙の7つのカテゴリーで、各社がいまの段階で最も自信を持っている原料や技術、製品サービスが披露された。

提供:化粧品産業技術展 事務局

展示会場2階にあるアネックスホールでは、出展者によるセミナー形式の技術発表会が行われ、6会場で1日10コマ、3日間で180近いプログラムがあり、来場者は無料で聴講することができる。今回のプログラムで目立ったテーマは「常在菌」「サステナビリティ」「発酵原料」「マイクロプラスチック代替」「アンチエイジング」など、グローバルなトレンドに沿ったものだった。

ここでは、会場の展示でも目にとまったアンチエイジング成分と発酵成分を4つ紹介したい。

【アンチエイジング成分】

●センソリアリン(仏・シラブ社/セティ
天然由来の化粧品有効成分市場でグローバル展開するフランスの化粧品原料メーカー「シラブ社」の日本総代理店をつとめるセティからは、ココナッツ由来の糖脂質である「センソリアリン」という新成分が展示された。これは近年、皮膚にも嗅覚受容体、味覚受容体が存在することが解明された事実に着目して開発されたものだ。このセンソリアンは、加齢とともに低下する皮膚の味覚・嗅覚受容体の発現を回復させ、これら受容体が関係するケラチノサイト(角化細胞)の増殖・移動・分化を活性化することで、肌のバリア機能を強化し、見た目の印象が改善する効果があるという。

●エコビオティス(仏・シラブ社/セティ)
セティのブースでもう一つ、多くの来場者が集まり盛り上がりを見せていたのが、肌の微生物叢(そう)に着目した成分「エコビオティス」だ。光沢のある星型の花をたくさんつける観葉植物サクラランの花蜜の微生物叢ネクタロビオータ™から単離した酵母から抽出したエキスで、老齢肌で割合が増加してしまうコリネバクテリウム属の常在菌が、エコビオティス塗布後の28日後には約20%減少。結果的に肌の常在菌のバランスを整え、バリア機能を高める効果が確認されている。

●ステムクローバーRF®(テクノーブル
「ステムクローバーRF®」は、加齢とともに皮膚が乾燥し薄くなる「菲薄(ひはく)化」にアプローチする成分だ。菲薄化の原因が、表皮幹細胞の未分化維持機能の低下にあることに着目し、表皮幹細胞の未分化維持に効果のあるレッドクローバー由来の成分を開発。培養皮膚に添加したところ、3週間後には生細胞層が厚くなり、皮膚の厚みが改善され、角層水分量も上昇することが証明されたとする。

【発酵原料系】

発酵成分とは、カビ、細菌、酵母菌といった微生物によって、素材に含まれる成分が低分子化または化学修飾されたもので、一般的には酸やペプチドやアミノ酸、アルコールなどを生成するとされている。

日本では古くから味噌や醤油、納豆などが、海外ではヨーグルトやキムチなどの発酵食品があり、食味の良さだけでなく、その機能性にも近年注目が集まっている。「健康志向の高まりによって発酵成分のイメージの良さが上がったこと、そして微生物の力を借りて発酵させることにより、生体親和性が高まることから、化粧品にも取り入れられるようになった」と話すのは、発酵成分を前面に打ち出した展示ブース(下記画像)が印象的だった、片倉コープアグリ株式会社 化学品本部 有機素材部 美健素材販売課 柿坂雄一氏だ。

提供:片倉コープアグリ

近年みられるトレンドとしては、従来から化粧品用原料としてポピュラーであったものに発酵を加えることにより、新たに機能が見出されたり、新しいストーリー性が加わった原料が人気となっている。同社は、今回ワサビ、オリーブ、イチョウ、ナシに関する発酵物4品目を発表。発酵成分に狙いを定めてブースを訪れる人も多く、来場者の関心の高さがうかがえたという。

●醗酵ワサビエキス/醗酵オリーブ葉エキス(片倉コープアグリ
希少な国産わさびを、乳酸菌を用いた独自の発酵技術で発酵させた「醗酵ワサビエキス」には、体臭の原因菌の繁殖を抑制する作用がある。また、抗酸化成分を多く含むオリーブの葉を、酒造りに使用される天然酵母ガラクトミセス属により発酵処理を加えた「醗酵オリーブ葉エキス」は、過剰な皮脂分泌を抑え、過酸化脂質の生成を防ぎ、肌の健全なターンオーバーを促進して、総合的に毛穴の目立ち改善を促す働きがある。

Photo By karins via Shutterstock.com

海外進出を意識した原料開発がJ-Beauty進化を支える

9度目の出展となるセティ株式会社健康科学部 ヘルス&ビューティ課 課長 郡司冴佳氏によれば「前回に比べて、サステナブルやクリーンビューティなど、環境や倫理面に配慮する取組みが、原料レベルから、より広まってきていると感じた」という。

また、「海外からのビジターへの対応が一層進み、グローバル化を意識した展示が多かった」とも郡司氏は振り返る。具体的には、展示物やサービスにおいて、英語や中国語への対応が進んだほか、和を意識した展示ブースもみられ、来場者を楽しませてもてなす演出に富んだブースが多かった。「来場したメーカーのなかには、海外展開を見据え、海外での注目度、使用状況や使用可否に関する質問も多かった」と片倉コープアグリの柿坂氏も振り返る。

化粧品製造もグローバル化が進むなかで、総じて日本の原料メーカーの高い技術開発力が感じられた展示会だった。こういった技術にもとづく高品質な成分をどのように使い、トレンドにのせて発信していくかが、今後のJ-Beauty発展の大きな鍵といえそうだ。

Text: 小野 梨奈(Lina Ono)

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