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2023年10月に開催された国際見本市「リュクス・パック・モナコ（LUXE PACK Monaco 2023）」でのさまざまな講演から、プレミアムパッケージ業界で進むイノベーションについて前後編の2回に分けて紹介する。

欧州最大のプレミアムパッケージ展示会、95カ国から出展

2023年10月2日〜4日に欧州最大のプレミアムパッケージ国際見本市「リュクス・パック・モナコ（LUXE PACK Monaco 2023）」が開催された。化粧品や高級酒類などラグジュアリー製品向けの包装・容器等を開発する企業が一堂に会する展示会で、35回目を迎えた今年は1万人以上の業界関係者が来場し、95カ国から先端技術を持つ企業が出展した。

欧州ではCSR（企業の社会的責任）の観点から包装・容器における環境対応の追求は必須であり、消費者も企業姿勢を注意深く観察している。今回の展示会では、環境インパクト削減の取り組みをさらに前進させる設計技術や、顧客体験を損なうことなく、持続可能な変革を遂げようとする企業の試みに注目が集まったほか、成長市場のホームフレグランスのスペースが新設された。会場で行われた講演でシェアされた内容を中心に、前編、後編に分けてレポートする。

世界的なエネルギー価格の高騰、インフレにより原材料の価格が上昇する状況下で、パッケージ業界はコストを下げつつ、同時にサステナブルな製造を実現するイノベーションが必須となっている。消費電気エネルギーやCO₂、廃棄を減らしながら、IoTシステム、デジタル化、生産ラインの自動化を進めるなどのほか、企業ニーズに合わせた少ロット生産の対応も必要であり、AIなど新しい技術を導入しながら競争力のある価格を維持し、ROIを最適化する必要がある。

パッケージ企業にとっては、そうした複合的な課題に向き合いつつ、多くのブランドが求めるエコ・レスポンシブルな容器設計、たとえば、リサイクルしやすいモノマテリアル（製品を構成している材料が単一の素材であること）、バイオ由来や生分解性などプラスチックの代替となる新しい素材、差別化のためのイノベーションなど、高付加価値のある容器の開発が不可欠になっている。

高付加価値な加工と "スマートパッケージ"で多様化するニーズに応える

会期中に開催された「新たなパラダイムシフト：パッケージング産業4.0（Le nouveau changement de paradigme : l’industrie de l’emballage 4.0）」の講演では、高付加価値デジタル印刷技術を持つ仏企業MGI Digital Technologyのヴィクトール・アベルジェル（Victor Abergel）氏が、パッケージ業界が抱える課題と多様化するパッケージの機能、さらに同社の革新的な技術について語った。