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アルデバランがめざすSDGs時代のソーシャルコスメティクスは地域発、地域に還元

◆ English version: Aldebaran’s socially-conscious cosmetics help revitalize local economies in Japan
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地方が抱える課題を化粧品製造で解決する、いわばソーシャルコスメティクスを創出するというミッションのもと、その土地の素材の化粧品原料化から商品企画、開発、製造、販路開拓までをワンストップでサポートするOEM会社がある。成分や製造過程がオーガニックであるだけでなく、事業そのもののあり方もエシカルでサステナブルにこだわるアルデバラン株式会社だ。

アルデバランには、日々、日本の各地域から地場の農産物が化粧品原料として使えないかという相談が持ち込まれる。同社代表取締役 暮部達夫氏が、こういった声に直接向き合うところから、プロジェクトがスタートする。

「分析から化粧品原料としての抽出、製品づくりのアドバイスから生産、販売までのアドバイスを行っている。デザインやマーケティングなど含め、都度、人材を集めてプロジェクト化し、それがまわっていくまでをプロデュースしている」と暮部氏は事業の全体像を説明する。

暮部氏がここまで尽力する理由は、こういったプロジェクトが地域に根づけば、化粧品を軸として経済活動が生まれ、雇用機会が広がり、地域コミュニティが活性化するという好循環がうまれるからだ。

象徴的な事例のひとつが、北海道十勝郡にある人口約4,500人の町、浦幌町の「まちなか農園」で肥料や農薬を使わずに栽培された「はまなす(Japanese Rose)」の花を使って開発されたオーガニックコスメ「rosa rugosa(ロサ・ルゴサ)」である。

人口減少に悩む浦幌町では、町内唯一だった高校が10年前に閉校となり、多くの子どもたちが、高校進学のタイミングで町を離れてしまうのが課題だった。一度は町を離れても、いつかまた戻ってきたいと思えるように、地域への愛着を育み、子どもたちが夢と希望を抱ける町を目指して、町内の小中学生を対象に「うらほろスタイル」の取組みが2007年度からスタートした。そのプロジェクトの一つである「若者のしごと創造事業」が、町の花である「はまなす」を使った化粧品開発だった。

FireShot Capture 055 - 【オーガニックコスメ通販】 ハマナスと天然由来成分のオーガニック化粧品 rosa rugosa - rosa-rugosa.jp

出典:rosa rugosa

商品開発では、地域おこし協力隊の隊員として浦幌町に移住した株式会社ciokay 代表取締役 森健太氏が中心となり、地元の主婦たちを巻き込んで「ハマナスコスメブランデイング会議」を定期的に開催。植樹や花摘みを行い、商品のコンセプトや価格帯、使用感についてのディスカッションを重ね、約1年半かけて商品が完成した。パッケージに描かれた花の絵は、町内の写生会で子どもたちが描いたはまなすの絵をモチーフにデザインされたもので、まさに「オール浦幌」のオーガニックコスメブランドとなった。

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町内で開かれた写生会の様子
提供:株式会社ciokay

2018年6月の販売開始後も、主婦たちはサポーターとして催事に出向き、PR活動にも積極的に協力している。2019年には、町内に蒸留工場を設立。将来的には、化粧品工場も町内に建設して収穫から生産まで一貫してできる体制を整え、さらなる雇用を生み出すことが次の目標だという。

地方が抱える社会課題を化粧品で解決

アルデバランでは、この浦幌町のケース以外にも、愛媛の柑橘の果皮から抽出した精油を使ったオーガニックコスメ「yaetoco(ヤエトコ)」をはじめ、地方の特産品から化粧品原料を開発し、それを活用して地方の課題解決型化粧品を約30ほどプロデュースしてきた。現在進行中のプロジェクトは、20を越える。どれも数年がかりのプロジェクトで、担当者や地域とのつながりが深いのが特徴だ。

社長・暮部達夫ポートレイト

アルデバラン株式会社
代表取締役 暮部達夫氏
提供:アルデバラン株式会社

暮部氏の豊富な化粧品製造のノウハウは、母である暮部恵子氏が立ち上げた国産オーガニック化粧品ブランド「クレコス」を製造・販売する株式会社クレコスで培ったものだ。そこで得た化粧品の企画・製造・販売のノウハウを活かして、化粧品OEM会社であるアルデバラン株式会社を1993年に設立した。

2018年には、佐賀県唐津市の「唐津コスメティック構想」の一環で、唐津市からクレコスが10年間賃借するかたちで「唐津コスメティックファクトリー(FACTO)」をオープン。工場を持たない企業でも自社工場のように使用できるセミファブレス工場として、農産物素材の化粧品原料化から商品企画、開発、製造、販路までワンストップで完結できる体制を備えた。また、FACTOでは、就労支援施設と連携して障害者就労にも積極的に取り組んでおり、電気は、唐津市湊町の風力発電所の自然電力を使用するなど、地域全体を巻き込んだサステナブルな循環型産業を形成する拠点にもなっている。

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唐津コスメティックファクトリー外観
出典:EDITORS SAGA

開発者の思いや地方の協力体制がパートナーシップの決め手に

前述したように暮部氏のもとには、地方に移住し、移住先の特産品を使って化粧品が作れないかと考える地域起こし協力隊の隊員や、森林組合、農業を営む個人など、実にさまざまな人が相談に訪れるという。もちろん、すべてが引き受けられるわけではない。

「ただ化粧品を作って終わりではない。売れないものをつくっても、地域にとって意味がない。そのため、何度もその土地を訪問して、関わる人の思いを知り、地域の人々がどれくらい協力的かなども含め総合的に判断して、パートナーシップを結ぶかどうかを決めている」と暮部氏はいう。

「国内市場が縮小しているなかで、大きな予算をかけて大ヒットを狙う時代ではない。地域ブランドには適切な売上規模やゴールがある」と暮部氏。たとえば、愛媛県のyaetoco(ヤエトコ)」のケースでは、化粧品開発の目的は「地域の協同組合的な存在である無茶々園の取組みを広く知ってもらうこと」だった。暮部氏は、目指すべきゴールを最初に可視化してチームで共有し、それを達成するための商品開発であることを意識しながら、一つひとつのプロセスにていねいに寄り添うことを心がけたという。

まれに思いがけない素材が持ち込まれることもあるが、これまでの知見をもとに、化粧品成分を抽出することはだいたい可能だという。成分の抽出や分析については、暮部氏が理事を務める唐津市の一般社団法人ジャパン・コスメティックセンター(JCC)とアライアンスを組んでいる。

地方発コスメのスケールへ、アイスタイルとの協業で試みる

とはいえ、地方発コスメブランドにはさまざまな課題がある。多くのブランドが抱えている一番の課題は、事業がなかなかスケールしないという点だ。地域ブランドの場合、いかにバーティカルに深いファンを作れるか、そのための接点を多くするかが問われており、そこを推進しなければ真の意味でサステナブルなビジネスとはいえなくなってしまう。

そこで暮部氏は、同社がプロデュースする地方発コスメブランドを集めたポップアップショップを展開する試みも始めており、羽田空港第2ターミナル国際線出発ロビーにある「Japan Mastery Collection」内に常設コーナーをオープンした(現在は、新型コロナウィルス感染拡大の影響で閉鎖中)。暮部氏は、@cosmeをはじめ、美容領域で幅広く事業を展開する株式会社アイスタイルとも連携し、「今後、EC、店舗などさまざまな商流を持つアイスタイルとのアライアンスを強化して、地方発コスメと市場をつなぐ役割を担っていきたい」と語る。

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「Japan Mastery Collection」内の
常設コーナー
提供:アルデバラン株式会社

また暮部氏には、FACTOでのコンセプトをパッケージにし、石鹸、クリームなどの汎用性の高い製品に特化した工場を地方に展開して、化粧品生産のネットワークをつくる構想もある。「ワンストップ完結型のFACTOが地方にできることで、そこに雇用と循環がうまれ、その地域が少しずつ変わっていく。一つひとつの変化は小さいかもしれないが、アルデバランはそれをまとめるハブになりたいと考えている」(暮部氏)。

地方や人の思いを軸にした社会貢献性の高いアルデバランの事業は、プロジェクトの初期こそクレコスという自社ブランドでの知見や収益によって支えられているが、各プレーヤーと共に開発した化粧品成分を新たな原料としてクレコスで販売するなど、Win-Winの関係が築けていると暮部氏はいう。

クリーンビューティ、化粧品原料のトレーサビリティ、地域の循環経済は、グローバルでも関心の高いテーマであり、そのテーマに共感する熱いファンを味方に地域のD2Cブランドが成長していく。アルデバランのサステナブルなものづくりのあり方はSDGs時代の化粧品づくりの大きなヒントだ。

Text:小野梨奈 (Lina Ono)
Top image:提供アルデバラン

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