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「幹細胞」「CBD」「ヴィーガン」「OEM独自ブランド」国際化粧品展2021の4大トレンド

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リアルとオンライン会場を併設して開催された大規模見本市、2021年の国際化粧品展から浮かび上がる4つのキーワード。幹細胞、CBD、ヴィーガンなど注目の処方や、OEM企業が提案する自社開発ブランドなど、今季のヒットが誕生しそうなジャンルを探る。

国際化粧品展2021はオンライン/オフラインを併設して開催

2021年1月13日~15日、東京ビッグサイトにて「第9回 国際化粧品展」が開催された。同時開催の「化粧品開発展」「美容・健康食品EXPO」「国際エステ・美容医療EXPO」とあわせて349社が出展、3日間の来場者は速報値で1万人を超えた。

化粧品製造・販売業、OEM、美容機器製造・販売業などが出展し、小売店、通販、サロン等のディーラーやバイヤーとの商談を行う本展は、化粧品専門の展示会としては国内最大級で、東京と大阪でそれぞれ年1回開催されている。コロナ禍以前の段階ではアジア、中東など海外からの出展も増加していた。

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東京ビッグサイト会場での商談風景
提供:リード エグジビション ジャパン

2度目の非常事態宣言下で行われた今回は、オンライン会場も設けられた。オンラインでの出展企業ブースでは、展示商品の資料などを閲覧・ダウンロードできるほか、企業担当者とチャットで会話して説明を受けることや商談のアポイントを取ることも可能にした。

リアル会場では特別セミナーも開かれ、日替わりで業界をリードする企業トップなどが登壇。「THREE」「Amplitude」などを擁する株式会社ACRO 代表取締役 宮崎稔章氏、「@cosme」を運営する株式会社アイスタイル 代表取締役 吉松徹郎氏、発売35年を迎えた「雪肌精」のリブランディングを行った株式会社コーセー コンシューマーブランド事業部長 鎌田昌人氏などが講演を行った。

オンラインで参加し、出展企業や商品をもとに、化粧品を「つくる側」のトレンドをみていくと、4つのキーワードが浮かび上がった。「幹細胞コスメ」「CBD製品」「ハラル&ヴィーガン」、そして「OEM企業のオリジナルコスメ」である。

1.バイオ技術の進歩により発展する幹細胞コスメ

iPS細胞など再生医療が注目された時期から、美容業界でも「幹細胞コスメ」をうたう製品・施術がみられるようになった。ヒトや動物の幹細胞から得られる成長因子(グロースファクター)により、コラーゲン、エラスチンなど真皮の構成成分を生成する真皮幹細胞、肌のターンオーバーを正常に促す表皮幹細胞の働きを高めることが期待されている。

また、植物由来の幹細胞は高い抗酸化効果がみられ、こちらもエイジングケアに効力を発揮すると見込まれる。ヒアルロン酸注入などの人工的な方法ではなく、生体に本来備わる細胞の力を引き出すというアプローチは、ユーザーにとって抵抗感が少ないのも利点のひとつだ。

細胞培養技術はもちろん、ヒトや動物の幹細胞を使用することから高い安全性も求められるため、メーカーにとっては技術力のアピールにもつながる。また、美容クリニックやエステサロンではこうした「グロースファクター」を注入する施術や、機器を使用して効率的に皮膚に浸透させる施術も行われており、施術とあわせてのホームケア商品としても需要が高い。

出展ブランドのなかでも注目の1つは、琉球大学医学部の幹細胞研究から生まれた「COSME ACADEMIA(コスメアカデミア)」で、ヒト脂肪肝細胞培養に成功し、自社製造した脂肪肝細胞培養エキスを配合しているのが特徴だ。自社サイトから一般向けにオンライン販売もしている。

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出典:COSME ACADEMIA公式サイト

また、「seins mous(セインムー)」は、2種の植物幹細胞エキスのほか、ボルフィリンなどの有効成分を高濃度に配合したサロン向けブランドだ。エイジングによる肌のしぼみに対応するほか、バストやヒップのボリュームアップにも有効としている。

2.海外では一般化が進むCBD製品、その日本展開

CBD(カンナビジオール)は鎮静・抗炎症作用があるとされる大麻由来の成分で、海外ではリウマチなど炎症性の疾患やストレスケアにも用いられている。これまでは個人輸入など購入方法が限られていたが、昨年から国内でも流通が広がっており、「ビープルバイコスメキッチン」などオーガニック・ナチュラルコスメを扱う店舗でも展開されている。

オリーブオイル等で希釈したオイル状のサプリメントがポピュラーだが、化粧品にも配合され、消炎効果・抗酸化効果を生かした敏感肌・トラブル肌のケアとしても有効とされる。今回の国際化粧品展で、とくに新規の出店企業が目立つ分野だった。

精神作用のある成分は取り除いてあるとはいえ、品質・トレーサビリティがもっとも問われるCBDは、美容・健康意識の高い層には受け入れられつつあるが、一般誌などには「大麻サプリ」といった短絡的な記述もまだ散見される。さらなる普及のためには、消費者と販売者双方の先入観や誤解をいかに払拭できるかが課題になるだろう。

米ポートランド発のCBD製品ブランド「grön」は、ベーシックなCBDオイルのほか、フェイス、ボディ、ヘアケアアイテムも展開。グミやチョコレートなど食べるサプリとして摂りやすい形状にしたものもある。日本での販売はgrön japanが手がけ、厚生労働省の許可のもと正規の手順で輸入した製品であるとしている。

リポソーム化したCBDとグリコール酸との相乗効果で、経皮吸収性を高める独自処方のスキンケアを提案するのは、サイラが販売元の「MIU CBD」だ。美容液、スカルプローションのほか、即効性で注目を集めているマイクロニードルパッチにCBDを加えた製品もある。

3. オーガニックの次としてハラル&ヴィーガンが躍進

世界的な「クリーンビューティ」のトレンドが続くなか、オーガニック・ナチュラルコスメのなかでもとくに「ヴィーガン」をうたう製品やブランドが増えている。食におけるヴィーガンは、ベジタリアンのなかでも最も厳格で、肉・魚だけでなく、卵や乳製品、ハチミツなど動物性の食材を一切避けるが、化粧品においても同様で、動物性の成分を使用せず、開発・製造にあたっても動物実験を行わないことが必須条件となっている。

こうした「ヴィーガンコスメ」のブランドは、同時にオーガニック認証を受けているものやSDGsへの取組みに積極的なケースが多く、エシカル志向をもつ層にも受け入れられている。ECOCERT、USDAなどのグローバルなオーガニック認証を取得していることは、オーガニックコスメブランドにとってもはや当たり前だ。一般の関心もSDGsに向けられつつあるなか、「ヴィーガン」は新たな差別化ポイントにもなりそうだ。

また、数はまだ少ないが、イスラム教の教義にもとづく「ハラル認証」を取ったコスメもみられた。禁忌とされる豚由来の成分やアルコールを含まない処方で、生産・流通段階もハラルにのっとっていることなどが条件となる。

国際的にはすでに複数のハラル認証機関が存在し、それぞれに異なる認証基準をもつという、やや複雑な状況になっている。また、教義をどれだけ厳密に実践するかも個人によって幅があるため、どこまで対処すべきかの判断もまだ明確ではない。こうしたことから、宗教意識が比較的薄い日本国内では理解が遅れている分野でもあり、今後時間をかけて取り組んでゆく必要があるだろう。

インドネシアをはじめとする、イスラム教徒が多い国々の経済的な発展などを背景に、5年後には「ハラルコスメ」の市場は5兆円を超えるともいわれており、グローバル市場での成長をねらうには考慮すべき分野といえる。コロナ禍で海外との交流が一旦途絶えている状況だが、宗教や信条の多様性を尊重したビューティ商材のニーズはこの先ますます高まっていくと考えられる。

ヴィーガン認証およびハラル認証を取得した国産のメイクアップブランド「精進コスメ」は、コメヌカ油、チャ種子油、ユズ果皮油など、日本で伝統的に用いられてきた自然由来の美容成分を配合。ハラル認証を受けた自社工場で生産されている。

保湿成分としてポピュラーなコラーゲンに豚由来のものを使用せず、「海洋性コラーゲン」を配合した「Ocean」は、25カ国のハラル認証機関と相互認証している日本のムスリムフレンドリー認証「MPJA認証」を取得している。

4.技術力の証しともなるOEM企業のオリジナルコスメ

国際化粧品展にはOEM企業も多数出展しており、成分開発や処方、生産技術など、自社の得意分野を活かしたオリジナル製品を展示している。会場には化粧品ブランドの立ち上げを目指す企業や個人が多く来場するため、OEM企業にとってオリジナル製品は自社の実力をアピールするための「サンプル」の役割もあわせもつ。

美容クリニックやエステサロンのオリジナルブランドのほか、近年はIT関連企業などの異業種からの参入や、BtoCブランドの台頭、インフルエンサーがプロデュースするブランドなども増え、OEMそのものへのニーズが高まっている。独自成分や技術力だけでなく、各種グローバル認証や小ロット生産への対応など、多様化するニーズに応えることができるかが「選ばれる」OEM企業の決め手となりそうだ。

OEM企業発のオリジナルブランドとしては「SHIRO」が大きな成功例だ。明確なブランディングにもとづいたオリジナル製品をつくり、メディアリレーションにも力を入れることでビジネスチャンスは広がる。

植物療法士の森田敦子氏が代表を務め、フィトテラピーを応用した製品の開発とOEM事業を行うサンルイ・インターナッショナルによるブランドが、女性のデリケートゾーンケアに特化した「INTIME ORGANIQUE(アンティームオーガニック)」だ。森田氏はこの分野にいち早く着目し、著書やメディアを通じて啓発を行っており、近年市場が拡大している「フェムテック」の草分け的存在となっている。

炭酸ガスがもつ血行促進などの効果を美容分野に応用した「炭酸パック」の開発者である医学博士 日置正人氏との連携で開発された「Mediplorer」は、炭酸美容の理論から生まれたスキンケアシリーズだ。ほかにもバラエティショップ向けのスキンケアブランド「Dr.Medion」を展開し、チャネルの幅を広げている。運営元のメディオン・リサーチ・ラボラトリーズは、炭酸パックを中心とした美容商材やシャワーヘッドなどのヘアケア商材のOEM・ODMも手掛けている。

オンラインによる展示会開催の課題と今後

国際化粧品展をはじめとした展示会は、商品や機器を直接手に取ることができ、その場で具体的な商談が行える場として機能してきた。そのため、参加者、出展企業の双方とも実際に会場に足を運びたいのが本音ではないだろうか。一方で、コロナリスクがある現状で、参加を控えたい個人や企業が少なくないことをかんがみ、主催者側としては、商談機会を少しでも増やすという前向きな考えからオンライン併催を決めたという。実際、移動の手間や物理的なブースの設営が必要のないオンライン会場は、参加や出展のハードルを下げた側面も大きい。

ただ、慣れないためか、オンライン会場の企業ブースは、製品の情報量が企業によって大きく異なっていたり、自社サイトへのリンクが正しくない部分も散見されたほか、海外からの出展企業のなかには日本語に対応できていないケースも見受けられた。チャットでのコミュニケーションも企業によって温度感が異なり、ブースにアクセスした瞬間、複数の担当者から矢継ぎ早にメッセージが飛んでくる企業がある一方で、質問がくるまで「待ち」に徹する企業もあった。

出展企業によっては、時間帯や人員体制など制限があり、状況によってはリアルとオンライン両方の参加者に同時に対応できないこともあったと考えられる。参加者と出展企業の双方に、直接コミュニケーションをとれないもどかしさがみえる場面もあった。

だが今後、リモートコミュニケーションが日常化していくことは自明で、地方や海外の企業にとってはチャンスといえる。リアルとオンラインの垣根をできるだけなくし、より幅広いビジネスイベントとしての可能性を見出す方法の模索が望まれる。次回の国際化粧品展は9月29日~10月1日、インテックス大阪での開催が決定している。

Text: 弓気田みずほ(Mizuho Yugeta)
Top image: リード エグジビション ジャパン

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