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サプリのパーソナライズ化が加速。生体情報やWeb問診で挑む日本の6ブランド

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サプリメントのサブスクリプションサービスが日本でも続々と登場している。尿や脈など取得した生体情報の数値と各社が保有するデータを比較し、Web問診の結果も考慮して不足しがちな栄養素を処方したり、Web問診でユーザーの生活習慣やライフスタイルにあったカスタマイズ処方のサプリメントを提案。着目する課題点にもそれぞれ特徴がある新興6社のサービスを紹介する。

健康食品市場の中でも、サプリメントを含む機能性表示食品市場の拡大が市場全体を押し上げている。2018年度の機能性表示食品市場は2,240憶5,000万円(前年度比25.3%増)で、そのうちサプリメント市場規模は51.1%の1,145億円を占める。さらに、2019年度の機能性表示食品市場は6.3%増の2,382億円が見込まれている(矢野経済研究所調べ)。そして近年、サプリメント市場拡大の加速を予想させるサブスクリプションサービスが続々と登場している。パーソナライズの手法は多岐に渡っており、各社の差別化戦略にもつながっている。

生理周期に連動したパーソナルサプリサービス「fem server」

生理周期のホルモンバランスに着目した「fem server(フェムサーバー)」は、2018年11月にIoTによるパーソナライズサプリのhealthServerの販売を手がけたドリコス株式会社と、葉酸サプリ売上No.1(※1)のBELTAブランドを運営する株式会社ビーボが共同で開発したサービスだ。2020年2月末まで、クラウドファンディングプラットフォームMakuake上で先行予約を受け付けている。
※1 2018年4月 TPCマーケティングリサーチ株式会社調べ 

ドリコス株式会社 代表取締役 竹康宏氏は、「アプリを使って生理周期を管理している女性は約9割(※2)もいるが、女性たちが本当に求めているのは、生理を管理するだけでなく、『痛みが来る時期に備えたい』『肌荒れやむくみなど身体の変化に対応したい』など、不調を和らげてもっと快適に過ごすためのケアではないのか。そこにドリコスの持つテクノロジーを使ってアプローチできると考えた。葉酸サプリで妊活から産後まで幅広い女性の健康サポートに知見を持つBELTAブランドと協業することで、それが実現できると確信している」と語る。
※2 2018年ミュゼマーケティング調べ

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fem serverでは生理周期に合わせて
必要な栄養素が処方される
提供:ドリコス株式会社

fem serverでは、専用アプリで管理する生理周期や生活習慣などの「身体情報」と、専用サーバーにあるセンサーで計測する「自律神経のバランス」、さらに、解決したい「悩み」をライフステージの変化に合わせて、ダイエット、美容、妊活、お疲れサポート、集中力サポートの5つのカテゴリーから設定し、その実現に導く最適なサプリメントが抽出される。

専用アプリでは、生理周期だけでなく、天気や歩数といった環境や生活リズムなどの情報を自動連携できるほか、BELTAスタッフの有人チャットサポートに直接悩みを相談することもできる。将来的には、美容についてはエステティシャン、ダイエットについてはトレーナーといったように、外部サービスと連携し、設定した目標に合わせて専任スタッフを選択できる仕組みも取り入れていく予定だ。 

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専用アプリの画面イメージ
提供:ドリコス株式会社

IoT化されている専用サーバーには、ICチップ一体化型カートリッジを最大8本までセットでき、賞味期限や残量、一日の摂取上限も自動で管理される。期限切れの場合は自動で抽出が中止され、残量が少ないカートリッジを配慮した内容が定期配送される仕組みだ。また、ユーザーの実感評価を蓄積しながら抽出レシピをアップデートしたり、同じ生理周期や悩みをもつユーザー間でサプリメントの配合や実感値を共有したり、ほかの人の配合を試しにとり入れたりすることで、サプリメントの実感を高めていくことが可能だという。サービス提供価格は、月額6,578円(税込)からとなっている。

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サーバーのセンサー部に指で触れて
わずか数十秒で自律神経の
バランスを測定することができる
提供:ドリコス株式会社

尿からわかる栄養吸収量をもとに処方する「VitaNote FOR」

尿検査キットで栄養バランスや吸収量を検査し、その結果に基づいてオーダーメイドサプリメントを提供する「VitaNote FOR(ビタノートフォー)」を2017年8月より販売している株式会社ユカシカドは、2019年に資生堂のイノベーションプログラムfibona(フィボナ)にも採択された注目のスタートアップだ。サービス開発のきっかけは、同社 代表取締役 兼 CEO 美濃部慎也氏が学生時代に抱いた栄養改善に対する課題感にある。

「関西学院大学アメフト時代に、トレーニングや休養などが科学的なアプローチに基づいていたのに対し、栄養に関しては勘と経験に頼る手法になっていた。また発展途上国で、栄養価の高い野菜や魚が安く手に入るにも関わらず、少額のお金を手にした子どもたちが糖質や脂質の高い飲み物やお菓子に飛びつく実情を目にし、栄養は状態の把握やリテラシーの問題であると思い至った。このことから、栄養改善を適切に行うための栄養検査、現状把握手法の開発の必要性を感じた」(美濃部氏)。

そこで美濃部氏は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」の策定などでビタミン・ミネラルなどの栄養素研究を牽引してきた滋賀県立大学との共同研究により尿解析技術を開発。それを用いた自宅で簡単にできる尿検査キット「VitaNote」では、15項目の栄養バランスや栄養摂取量を測定できる。栄養吸収量は、採尿日前3日間の平均値が示されることが研究の結果わかっており、普段どおりの生活習慣でどの程度栄養バランスがとれているかがチェックできる。

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レーダーチャートで
栄養バランスの傾向をチェックできる
提供:株式会社ユカシカド

その結果をもとに、不足栄養素を補えるオーダーメイドのサプリメントを提供するのがVitaNote FORだ。購入すると、基本的な10種類のビタミンやミネラルに加えて、栄養スコアを改善するために足りない栄養素を配合したサプリメントが毎月30包(1日1包・約1ヶ月分)届く。お試しコースでは、キット単体 8,250円、サプリ1ヶ月分 8,100円、定期チェックコースは、キット(毎月〜3ヶ月ごと) 4,950〜6,600円、サプリ(毎月)5,378円(すべて税込価格)となっている。

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カスタマイズ処方された
サプリメントが個包装されて届く
提供:株式会社ユカシカド

「栄養吸収力には遺伝や環境、体質により個人差がある。VitaNoteとVitaNote FORをセットで利用することで、サプリメントの効果を数字で把握することができ、より効果を実感しやすく、無駄なくサプリメントを摂取することが可能になる。検査データをもとに、オーダーメイドサプリメントに限らず、さまざまな栄養改善ソリューションを国内外に向けて展開していきたい」(美濃部氏)。

皮膚の常在菌検査で菌ケアのサプリを推奨する「KINS BOX」

KINS BOX(キンズボックス)」は、株式会社KINS 代表 下川穣氏が理事を務めた菌の専門クリニックでの経験から、「健康も美容も、身体中のさまざまなことを菌が司っているという事実を多くの人に伝え、菌ケアが当たり前の世の中にしたい」という思いで誕生したサービスだ。東京大学分子生物学研究所のDNA研究から生まれたベンチャー企業TAK-Circulator株式会社と協業しており、皮膚の常在菌の分布を検査する検査キットと、20種類の乳酸菌と酵母菌、乳酸菌生産物質で構成されたサプリメント(60粒・1ヶ月分)、LINEによる菌コンシェルジュサービスを月額5,980円(税抜)で提供している。

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KINS BOX
提供:株式会社KINS

検査キットでは、顔面表皮にある「全体の菌数」「表皮ブドウ球菌の菌数」「アクネ菌の菌数」「コリネバクテリウムの菌数」の4つを測定する。それをもとに、過去に行った1,000以上の検体データと照らし合わせて、菌状態のスコアと肌に起きやすいトラブルを知ることができる。さらに肌や体の悩みについて菌コンシェルジュに相談すれば、最新論文など医学的根拠がある信頼できる情報を普段の生活に落とし込めるよう噛み砕いたアドバイスが受けられる。

コンシェルジュサービスを提供する理由について、下川氏は「サプリメントを摂取するだけで、菌のコントロールがすべてできるとは考えていない。サプリメントはあくまで手段のひとつ。LINEでのヒアリングを通して、食生活の見直しなども提案している」と話す。

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SKIN TESTは、朝、洗顔前の肌に
一分間貼り付けて行う
提供:株式会社KINS

2020年3月からは、カスタマイズサプリの発売も計画している。KINSサプリメントを3ヶ月使用したあとの体感や悩みのアンケートをもとに成分調整をしたサプリメントを4ヶ月目に届けるサービスを開始する予定だ。「体調管理=菌の働きをコントロールすることと考え、菌を最適な状態に保つためのトータルケアを広めていきたい」(下川氏)。

貧血に着目し、血力アップのムーブメントを仕掛ける「Revol」

「貧血」に着目した増血サプリメントを展開する「Revol(リボル)」は、全国5都市近郊で働く7,000人以上の働く女性の健康データをベースに処方設計・開発された。「日本が貧血大国(女性の約50%が該当)であり、その症状が“病気ほどではない体の不調”になっていることが認知されていない。国としてその改善にほとんど取り組んでいないことを知り、日本女性を栄養面からサポートできないかと考えた」と話すのは、株式会社cart COOの越智幸三氏だ。2020年1月末までMakuakeでクラウドファンディングを実施し、「増血」に必要な5つの栄養素、貧血症状を和らげる4つの栄養素を配合したサプリメント(60粒入り・2980円・税別)の提供をスタートしている。 

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提供:株式会社cart

Revolのブランドサイトでは、自分の今の「血力」がわかる「血力テスト」を無料提供しており、その結果に合わせて摂取粒数を調整することで、今現在必要な量の栄養素を無駄なく摂取することができる。毎月血力テストを受け直すことで、血力スコアの変化を把握でき、粒数の増減が可能だ。

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血力テストの結果画面
提供:株式会社cart

「今後は、多くの企業やサービスを巻き込んで、貧血を日本の社会問題として見える化し、大きな増血ムーブメントを起こしていきたい」と越智氏。飲食店やキッチンカーなどで「増血メニュー」を提供する企画なども現在進めているという。

無料の肌診断から美容サプリメントを処方する「FUJIMI」

FUJIMI(フジミ)」は、20問程度の質問で構成される肌診断の結果から肌状態を分析し、ビタミンACE、ビタミンB、コラーゲン、プラセンタなど11種類のサプリの中から5種類をカスタマイズ処方し、5粒入りの個包装にして1ヶ月分を提供するサービス(月額6400円・税別+送料)で、2019年3月にスタートした。サプリメントは、120人以上の女性へのヒアリングと、米国ISNFサプリメントアドバイザー資格を持つ専門家の指導のもと処方が組まれている。 

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提供:トリコ株式会社

運営するトリコ株式会社 代表 藤井香那氏は、横浜国立大学在学中に美容商品を紹介するメディアの立ち上げからバイアウトまでの経験を持つ起業家で、当時多忙で肌荒れに悩み、サプリメントを飲んで肌の改善を実感したことがFUJIMIのビジネスアイディアにつながった。FUJIMIは、20〜40代の「キレイを目指す」男女をメインターゲットとしており、初年度売上は4億円が目標だ。

今後は肌診断をベースに、サプリメントだけでなく、カスタマイズスキンケアなどさまざまな商品を開発し、クロスセル展開していく予定だ。

メディアから誕生した医師監修ヘルスチェック付きサプリ「wellvis」

月間UU1,200万人を超える女性向けのウェルネス・メディア『MYLOHAS』が実施したサプリメントに関するアンケートによると、8割以上のユーザーが「飲んでいるサプリメントが自分に合っているかわからない」「安いサプリメントは品質に心配がある」「サプリメントを購入したいが選び方がわからない」「相談できる相手がいない」といった声が多く寄せられた。

これらの問題や課題を解決するために2019年12月に誕生したのが「wellvis(ウェルヴィス)」だ。医療機関向けサプリメントを研究開発・製造する分子生理化学研究所と、予防医療の先駆者である上符正志医師(内科医 米国抗加齢医学会専門医 日本抗加齢医学会専門医 評議員)と、『MYLOHAS』を運営する株式会社メディアジーンの3社共同で開発を行った。

wellvisは、「スマートエイジング、軽やかに美しく歳を重ねていくために」がコンセプトで、Web上で医師監修による26問程度のヘルスチェックでユーザーの生活習慣の状況や悩みを吸い上げ、現在の健康状態のチェックや改善のアドバイスを行うと同時に、必要な栄養素をサプリメントとして提供する。

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提供:株式会社メディアジーン

サプリメントは、健康の土台をつくるビタミンやミネラルのベースサプリメントと、個人ごとに必要なオプショナルサプリメントを組み合わせた処方になっており、1日分の必要量が個別包装されて30日分届く仕組みだ。価格は、単品8,000円(税別)で、定期便にすることで、15%OFFの月額6,800円(税別)になる。現在は「美容が気になる」「元気をキープしたい」といった5種の悩みに対応しているが、今後は悩み別のオプショナルサプリメントを拡充し、よりカスタマイズ性の高いプランを目指している。

米国では、ライフスタイルに関するWeb問診だけでなく、DNAテストの結果に基づき処方する「Rootine」や、自宅でできる血液検査でわかる栄養レベルをベースに処方する「Baze」などもあり、パーソナライズの手法はより多岐にわたっている。

2020年に入り、国内では、クリニックと連携してサプリメントから低用量ピルなどの処方薬までをカバーする、女性のウェルネスのためのクリニカルブランド「sai+」をはじめとした新たなサブスクリプションサービスがローンチしており、サプリメントのパーソナライズ需要の高まりに合わせて、今後も大手企業含め、さまざまなプレーヤーの登場が予想される。

Text: 小野梨奈(Lina Ono)
Top image: RobsPhoto via shutterstock

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