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ライブ感重視の「リモテン」で加速する、ファッション&化粧品のオンライン展示・発表会

◆ English version: Online exhibition platform service REMOTEN puts business networking at your fingertips with the real feel of fashion and beauty events
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新型コロナウイルス感染症による外出自粛要請に対応するため、リアルで実施していた展示会やイベントをオンラインに代替する動きが出ている。これまでに経験したことのない状況下で、ブランドはどのようにして自社の世界観を伝え、新商品の情報を届けていけばよいのか。その悩みに応えるように博報堂マグネットが、主にファッションと美容ブランド向けにオンライン展示会サービス「リモテン」を開発した。その紹介とともに、これからのブランドコミュニケーションのありかたを考える。

シーズンの新商品を知ってもらう“出発点”となる展示会だが、新型コロナウイルス感染症による外出自粛が求められ、2020年春は中止や延期が相次いだ。リアルの場でブランドの世界観を伝えることができず、プレスやバイヤーとの交流からトレンドを探ることもできない。これまで当たり前に行ってきた展示会ができなくなったことによる影響は、ブランドにとって小さくなかった。

ブランドの頭を悩ませた外出自粛下の展示会

ファッション・美容などの領域を得意とする広告会社の株式会社博報堂マグネット 執行役員 黒原康之氏は、現在の状況を次のように説明する。

「ファッション業界ではコミュニケーショントレンドが一気に変わりつつある。これまで、ラグジュアリーブランドはソーシャル上でのビジビリティ(visiblity, 可視性)を獲得するために、リアルとバーチャルを掛け合わせる施策がトレンドになっていた。しかし、コロナ禍では、2019年までのそうした成功手法も通用しなくなってしまった」。

オンラインで展示会ができる「リモテン」
 
こうしたなかで博報堂マグネットは、オンライン上で開催するリモート展示会サービス「REMOTEN(リモテン)」を2020年6月15日にローンチする。利用料金は50万円(クリエイティブ制作費等は別途)。準備は管理画面から全てリモートで完結し、最短で申込みから約2週間で展示会が開ける。

「とにかく困っているクライアントにソリューションを提案したい」という一心でリモテンの企画から開発までを手がけたのが、博報堂マグネット統合プランニング部シニアコミュニケーションプランナー 佐々木裕也氏だ。既存のオンライン展示会ツールとは一線を画し、わかりやすく、かつ臨場感あふれるサービスにしようと考えたという。

「既存のオンライン展示会サービスは受注管理の効率を考え、ECカタログ的な側面を重視したものが多かった。そこで、簡単な操作で、リアルな展示会の雰囲気をできるだけ再現できるオンラインサービスを作ろうと思ったのがきっかけだ」(佐々木氏)。

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「リモテン」ファーストビューの
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展示会のトップページには、動画や画像でブランドの世界観を伝える「ブランドエリア」とその横に「コミュニケーションエリア」を配置した。

佐々木氏は「ブランドの展示会は世界観の演出が欠かせない要素であるため、各ページのデザインはカスタマイズ可能で、またメインビジュアルには画像だけでなく動画を使うこともできる。アイデア次第でさまざまな表現ができるようにした。もちろん化粧品の発表会などでの引き合いもある」と説明する。

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化粧品でのカスタマイズ例

オンラインで臨場感あふれる体験を

一方、「コミュニケーションエリア」には、会場を俯瞰するイメージのマップがあり、サイトの訪問者がリアルタイムで表示される仕組みとなっている。参加者がプレスの場合は、アイコンをマウスオーバーすると会社名と氏名がわかり、来場者同士でのチャットやビデオ通話ができる。

バイヤーの参加者については、競合等への配慮から、個人名は表示せず、来場者間でのコミュニケーションもできない仕組みをとっている。展示会を主催するブランドの担当者には別の管理画面があり、一覧で来場者を把握でき、気になる来場者には担当者から声をかけられるようになっている。

もちろん、参加者からもアパレルや美容企業の担当者が見え、話を聞きたい人の名前をクリックしてつながることができる。担当者は一度に16人までと会話をすることが可能で、リアルの展示会で担当者が会場を案内するように、オンラインでもライブなコミュニケーションをとりつつ応対ができる。現実世界の展示会を彷彿とさせるインターフェースだ。

「展示会としての機能面だけをみれば、商品がわかりやすく見える、買い付けができる、プレゼンテーション動画がみられるだけで事足りるかもしれない。しかし、我々は機能だけでなく、ライブ配信機能や複数人数でのコミュニケーションを可能にして、ライブ感を出すことにこだわった」と佐々木氏は強調する。

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「リモテン」コミュニケーションエリア
のイメージ

オンラインの特性を生かした利便性の向上にも努めた。商品のリースや貸し出しについては、「リモテン」の商品一覧ページ上で予約可能な仕組みを実装している。また、バイヤーやプレスの商品の閲覧数をランキング形式で表示するページもあり、何がプロたちの目にとまっているのかなどを知ることができるのは、オンラインならではの付加価値だ。

また、リアルな展示会は会場の場所や日程による制約を受けるが、リモテンであれば、スケジュールをフレキシブルに設定できるのも参加者にとって魅力のひとつ。動画の閲覧やリリースのダウンロードなどであれば、24時間いつでも利用可能だ。

さらに、リアルな展示会を上回るメリットとして挙げられるのが、リモテンを使用しているほかの展示会への回遊性を持たせている点だ。訪問していた展示会から退場すると、リモテンのトップページへ飛び、他に開催中の展示会一覧を見ることができる。そこで気になった展示会があれば、即時に参加を申し込むことができ、ブランド側にとっても、これまでコンタクトのなかったバイヤーやプレスとの接点を持つきっかけになる。

新型コロナウイルス感染症の流行下で、リモテンは発案から実装まで6〜7週間ほどで立ち上げられた。Zoomのようなオンライン会議システム「V-CUBE」をベースに、STANDFOUNDATION Co., Ltd.IRKA Inc.という技術に強いパートナー企業との協力や、デジタル施策の知見を活かし、短い準備期間でローンチまでこぎつけた。引き合いも好調で、同社ですでに取引きのあるクライアントを中心に利用が始まるという。

化粧品PR領域のデジタルシフト加速

新型コロナウイルス感染症の影響は、化粧品ブランドのPRコミュニケーションにも及んだ。ブランド側は思うように撮影用の商品の貸し出しができなくなり、メディア側は従来のようにスタジオや屋外での撮影が行えなくなったことで、なかには月刊を2ヶ月の合併号にする美容誌もあったという。

その一方で、「アナログが基本だったPR領域で、デジタルシフトが加速した」と語るのは、化粧品に特化したPRサービスを提供する株式会社メディア・グローブ 代表取締役 小田直人氏だ。

「たとえばブランドが行うPR活動としてメディアを訪問するプレスキャラバンも、オンラインに切り替わった。当初は戸惑う声もあったが、今では当たり前の行為になっている。外出自粛が解除されてもこの動きは定常化する可能性が高い」とみる。

この春は、イベントや発表会が軒並み中止となり、製品とリリースの送付のみの対応だったが、2020年秋冬の発表会からはオンラインで実施する動きが徐々に出てきているという。6月中旬には、ステディスタディが、PR 業務をオンラインで完結できるデジタルショールームシステム「ENCHANCE (エンチャンス)」をローンチする。メディア・グローブでもブランドのニーズにこたえるため、オンラインツールの検討や、ブランドの世界観を伝える表現の工夫のためのテストを続けており、7月にもメニュー化の予定だという。

「メディアに直接会うことのニーズはもちろんあり、リアルなイベントもなくならない。ラグジュアリーブランドのなかには、プレミアム感を出すためにリアルを活かすケースもある。ただ、今後、新型コロナウイルス感染症の収束がある程度みえたとしても、物理的な制約を受けないオンライン開催は、プレス側にも都合がよい面もあり選択肢として残るだろう。肌感覚としては、現在付き合いのあるブランドの7割はオンライン展示会に好意的だ」(小田氏)。

新型コロナウイルス感染症は、ブランド側、プレスやバイヤーも含めオンライン活用を急激に加速させた。ブランドコミュニケーションにおけるニューノーマルが、すでに見え始めている。

Text: 清水 美奈(Mina Shimizu)
Top Image: wanpatsorn via Shutterstock
画像提供:博報堂マグネット

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