コーセー「Spawake」、インド市場での絶妙なポジショニングと成長戦略
13億を超える人口を持つインドの化粧品市場は、2025年までに200億ドル(約2兆2,000億円)に達すると予測されている。今後さらなる拡大が予想される巨大マーケットへの参入を試みるビューティ系企業は少なくないが、多宗教、多民族、多言語の複雑な国柄が大きな壁ともされている。そんな状況下で右肩上がりの成長をしている日本ブランド、それがコーセーの「Spawake」だ。ブランドのポジショニングとこれからのマーケティング戦略をひもとく。
「インドでは、ロレアルやユニリーバなど欧米勢ブランドがパーソナルケアのトップシェアを押さえてはいるものの、インドの消費者はインド国産ブランドを好むという点が大きな特徴だ」と話すのは、KOSE Corporation India(以下、コーセー・インディア)代表取締役兼CEO 稲見卓哉氏である。
そして、このローカライゼーションを示唆する言葉こそ、日本で企画開発し製造はインド国内で行うインド専用スキンケアブランド「Spawake」を、2015年4月にローンチしたコーセーの考え方を物語る。
巨大なインドビューティ市場の攻略を目指し進出した日本の大手化粧品ブランドはいくつかあるが、そのほとんどは撤退や事業縮小を余儀なくされている。そのなかで、コーセーは着実にインドでの認知を広げ、売上を伸ばしている希少な存在だ。
インドに着任前は、日本本社から海外へ向けたコーセーブランドのマーケティング活動に従事し、中国への6年間の赴任経験もあわせ持つ稲見氏に、インドビューティ市場で成長し続けるために、どのようなマーケティング戦略を進めているのかを聞いた。
インドの消費者ニーズとターゲットに絞った商品開発
インドビューティ市場において、海外ブランドのマーケティング活動が困難とされる理由は多々あるが、その最たるものは、日本とは大きく異なるインド独自の市場特性や消費者ニーズがあげられる。
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