ビームス、ナノ・ユニバースなどに学ぶ「直営EC」にしかできないファンづくり
◆ English version: How independent online fashion stores in Japan are gaining ground
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ZOZOTOWNなどモール全盛のいま、直営ECにできることは、ファンづくりとブランド価値の向上だ。化粧品ECの場合は、費用対効果の高い販促施策が新規顧客獲得や売り上げにつながりやすかったこともあり、ファッションECが得意とする「ファン作り」とは違った形で発展を遂げてきた。しかし今、化粧品ECにも、ファン作りや長期視点で見たLTV向上が求められていることは間違いない。「ナノ・ユニバース」「ビームス」「北欧、暮らしの道具店」それぞれの独自の世界観をもつEC事例は、そのまま化粧品メーカーの直営ECにも取り入れられる要素に満ちている。
繊研新聞社は創業70周年を記念し、2018年6月7日、都内で、「ファッションECアワード」授賞式、及び受賞企業を招いたセミナー・イベントを開催した。同アワードは、ファッションブランド・小売り、ITベンダーを対象にしたアンケートから、優秀・注目サイトと支援ツールを選ぶというもの。当日セミナーに参加した優秀・注目サイト受賞企業は、「ナノ・ユニバース」(ナノ・ユニバース)、「ビームス」(ビームス)、「北欧、暮らしの道具店」(クラシコム)の3社。モール全盛期の今だからこそ、サイト・ブランド価値を高める直営ECの意義を、3社の事例から見ていく。
独自のストーリーコマースで北欧ファンを増やしつづける
生活雑貨やアパレルなどをECで販売する「北欧、暮らしの道具店」は、この5年ほど平均して、前年比1.5倍の成長を続けている。一般的なECサイトは、新規顧客獲得のために広告や販促施策に依存することが多いが、同サイトの売り上げに対する出稿比率は2%を切る。広告への投資を抑える理由は、新規顧客以上に、「常連層」を育てることに注力しているからだ。
出典:北欧、暮らしの道具店
また、ECサイト(=物販収入)だけでなく、メディア(=広告収入)の両方の顔をあわせ持つユニークなビジネスも成長を支える要因となっている。運営元のクラシコム・青木耕平社長は、「広告出稿をしたくなるようなサイトを作り、国内のナショナルクライアント向けに広告枠を販売している」と話す。現在、営業利益の25%は、広告収益だという。2018年7月期の売上高は、前年比25%増の22〜23億円ほどを見込む。2018年5月の月間UU数は、170万UU。月間PV数は約1,600万PV。アパレル関連商品の売り上げは全体の半分を占める。
クラシコムの青木耕平社長
一方、売上に占めるEC化率を前年の39%から43%に伸長させるなど、全社を上げてEC強化に取り組んでいるのは、ナノ・ユニバースだ。ZOZOTOWNのようなECモールの売り上げが多い同社が直営ECサイト運営で意識するのは、「ファンのためのサイトになること」(ナノ・ユニバース経営企画本部WEB戦略部長・越智将平氏)。
ナノ・ユニバース経営企画本部WEB戦略部長・越智将平氏
SNSや動画共有サイトなど、人々のスマートフォン利用目的が多岐にわたる昨今、ファッションECサイトのライバルは他のECサイトだけではない。そのなかでどう興味を引くコンテンツを提供できるかが、同社にとっての課題だ。また実店舗という資産を活かし、スマホアプリと店舗を連携させるため、2017年12月にスマホアプリをリニューアルした。
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