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テテマーチと佐々木一憲氏によるエントリー層向けサポート型メイクブランド「BeMe」

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マーケティング支援企業がコスメD2C(Direct to Consumer)事業に進出する事例が増えている。2021年4月には、SNSマーケティング支援サービスを展開するテテマーチがヘアメイクアーティストの佐々木一憲氏とタッグを組み、コスメブランド「BeMe(ビーミー)」を立ち上げた。第一弾として発売したのは汎用性の高いマルチパレットの1SKUのみ。こだわったのは、メイクのやり方がわからない層への手厚いサポートだ。

自分に合ったメイクをパレットひとつで実現する「BeMe」のマルチパレット

「学生時代は禁止されているのに、社会に出ると当たり前になるのがメイク。そこに負担を感じたり、義務感でメイクをしている人も少なくない。どうしたらそれを解決できるのか、行きついたのが『サポート型コスメ』という形だった」

そう語るのは、BeMeの共同開発者でヘアメイクアーティストの佐々木一憲氏だ。美容メディアでの活躍はもちろん、“ササッと簡単にでき、好きな人の心にササる”化粧の仕方を発信する「#ササメイク」で人気の美容インフルエンサーでもある。

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佐々木氏のインスタグラムの
フォロワーは3万9,000人
出典:佐々木一憲氏のInstagram

そんな佐々木氏のメイクのノウハウから生まれたのがBeMeだ。2021年4月6日に発売されたマルチパレットは、ラメ、クリーム、パウダーといった異なる質感のブラウン系4色のシャドウから成り、アイシャドウ、アイブロウ、ノーズシャドウをこのひとつで終えられる。メイクの初心者が色選びに困らないようあえてバリエーションなしの一色展開とした。

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自分にあったメイク方法をサポートするサービスがついているのも大きな特徴だ。商品を購入する際に、利用者は目の形状(一重、奥二重、二重の3タイプ)と顔のパーツ配置の特徴(求心・遠心の2タイプ)の掛け合わせからなる6つのタイプから自分の顔タイプを選択。それぞれのタイプに合ったメイクの方法や使い方のコツを紹介した複数の動画が、1週間ごと約1ヵ月にわたりLINEのアカウントに届き、メイクを学ぶことができる仕組みだ。さらに、ブランドサイドでは利用者からの個別の悩みに1対1で答えられるように準備を進めている。「これまで自分のSNSでは簡単にできるメイクの情報が中心だったが、BeMeではより一人ひとりにあったメイクの提案をしている」(佐々木氏)。

佐々木氏とともにこのBeMeを立ち上げたのが、2015年創業のSNSマーケティング支援企業のテテマーチである。国内外の大手化粧品企業複数社のマーケティング支援として化粧品業界との関わりはあったものの、自社でコスメブランドを立ち上げるのは初めてのことだ。

最近はテテマーチのようにマーケティング支援企業がコスメD2C領域へ参入するケースは増えてきている。総合PR・ベクトルの子会社Direct Techは、モデルの古川優香氏が手掛ける「RICAFROSH(リカフロッシュ )」に続いで「Lillua(リルア)」では人気YouTuber さぁや氏とコラボするなど事業規模を拡大。一方、ライブコマースを手掛けるONPA JAPANは、欅坂46の初期メンバーでタレントの志田愛佳氏とともにサステナブルブランド「pui(プイ)」で攻勢をかけている。

業界や事業者間の垣根が薄れるなかで、マーケティング支援企業にとってD2C事業参入にはどのような意味があるのだろうか。テテマーチの場合は、オンラインの購買行動に対する理解を深めることが、BeMe立ち上げの大きな動機であったという。

その背景にはマーケティング支援企業として、エンドユーザーである顧客の課題に向き合い、解決したいという思想がある。その意味で、プロダクトを手掛けることにより、できるだけ顧客とダイレクトにコミュニケーションして、課題やニーズを深く知ることが可能になる。

佐々木氏のつぶやきから動き出したコスメ開発

「最近の消費傾向として、SNSを入り口にECで購買を完結するケースが増えてきている。テテマーチではブランディングを目的としたSNS運用支援を得意としているが、自社事業としてブランドを立ち上げ、SNSから実売までの一連の流れを把握し分析することで知見を深め、マーケティング支援事業に還元する目的もある」とBeMeのブランド責任者を務めるテテマーチ株式会社 ブランドプロデュース事業部 齋藤香奈氏は語る。

とはいえ、当初からコスメ領域に狙いを定め事業の立ち上げを準備していたというよりも、佐々木氏の2020年2月の次のつぶやきが端緒になったと明かす。

佐々木氏とは以前から一緒に仕事を手掛ける間柄であり、つぶやきをきっかけに佐々木氏とディスカッションを深め、化粧品開発が具現化していったという。

「佐々木さんの想いに共感できたことや、『サキダチ、ヤクダツ。』という”世の中にまだない価値を提供し、良い変化を与える”というテテマーチの企業ミッションと、佐々木さんの目指す方向性が合致したことも事業化を後押しした」(齋藤氏)

佐々木氏も、テテマーチからのリクエストを快諾した。その時点では、テテマーチにモノづくりの知見はなく、ブランド立ち上げの実績もなかったが、「周囲にモノを作っている人はたくさんいて相談できるので、なんとかなると考えた」と佐々木氏は振り返る。

実際、テテマーチにはOEM企業とのコネクションはなく、商品の製造にあたっては、リストアップしたなかから1社ずつアポをとって最終の委託先を決めた。商品のクオリティコントロールは佐々木氏がおこない、OEM先を何度も訪ねて色味を調節したという。マルチパレットにセットされるブラシも、初心者の人が使いやすいコシと毛量を追求。当初はOEM1社ですべて賄うことを想定していたが、結果的にブラシは別注する形で、佐々木氏が思い描く機能を実現した。

一方で、ブランドコンセプトを練り上げる際のテテマーチの妥協なき姿勢に、「ここまでやるのか」と佐々木氏は驚いたという。

「もっと自分を好きになってほしい」、ブランドに込めた想い

「先行ブランドが数多くあるなかで、どうすればお客様に価値提供ができるのか悩んだ末に辿り着いたのが、サポート型コスメというあり方だった。日本人は自分自身を承認するのに苦手意識がある人が少なくないが、BeMeはそんな風潮を払拭するブランドでありたいし、メイクを通じて“その人自身が自分を好きになる”サポートができればと考えている」(齋藤氏)。

BeMeがターゲットとするのは社会人2~3年目のZ世代。ブランドイメージの形成やコミュニケーションはTwitterとInstagramを活用する。

「コスメブランドの場合には通常、そのシーズンのコレクションのテーマや商品情報をメインに押し出した情報発信をするが、BeMeの場合には、顧客の感情に寄り添いたいという想いが強かった。そこでTwitterでは、商品の情報だけでなく、ターゲットのインサイトを深掘りし、”自分のことを理解してくれている”ブランドだと認識してもらえるようなコンテンツを発信していくことにした」(齋藤氏)。

20代半ばの等身大の姿を
キャッチコピーで表現

一方、Instagramでは双方向性を重視したコミュニケーションを展開しているという。

「BeMeは店舗のような顧客とのリアルなタッチポイントは持っていない。そのかわりにストーリーズやライブ配信などInstagramを通じ、密なコミュニケーションをとりたい。また、最近は公式のブランドページを見ないケースも増えているため、フィードの投稿でブランドのことがわかるように配慮している」(齋藤氏)。

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出典:BeMeの公式Instagramアカウント

ローンチタイミングにおけるマーケティングの重点施策は、佐々木氏を中心としたコスメコミュニティでの話題醸成だ。「メイク初心者の方は、広告のような一方的な発信ではなく、インフルエンサーの投稿からメイク情報を収集していることが多い。そのためユーザーの話題形成が鍵になる」(齋藤氏)。そこで現在は、BeMeに関する佐々木氏からの情報発信や、佐々木氏とつながりのあるインフルエンサーから情報を拡散してもらえるよう取り組んでいる。

BeMe育成の先に描くブランドプロデュース事業の強化

事業としては、まず初回ロットを売り切ることが目標だ。「美容業界では商品を売るのがブランドで、ハウツーや商品の使い方を届けるのはインフルエンサーやメディアといった棲み分けができているが、自分としてはそうではなく全てをパッケージにして届けたかった。BeMeの役割はメイクを楽しむ機会を提供すること。BeMeを通じてメイクの楽しさを知ってもらい、新しいメイクに挑戦するきっかけを作れればと思う」(佐々木氏)

BeMeでは、今後は目元だけではない別の悩みにフォーカスした商品展開や、ユーザーとブランドをつなぐコミュニティを形成し、ユーザーを巻き込んだ商品企画をしようとの構想もある。

一方、テテマーチとしては、BeMeを契機として、既存事業であるインフルエンサーマーケティング事業との親和性も高い分野を選び、化粧品以外のブランドプロデュース事業着手の計画もある。同社広報 井村桃子氏は「インフルエンサーの夢や思想をどうしたら体現できるか、また、そのプロダクトがいかに顧客の課題を解決するのか、そのためにテテマーチとして何ができるかについて、社内でも日ごろから議論しているところだ。今後は、インフルエンサーのブランドや企業の新興ブランドなどを、世に送り出すサポートをさらに充実させたいと考えている」と意気込みを語る。

Text: 清水美奈(Mina Shimizu)
Top image & photo: テテマーチ

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