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バルクオム、2019年をメンズコスメ普及元年にする立役者の戦略

◆ English version: Bulk Homme charges ahead, bringing men’s cosmetics into the mainstream
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2018年は「メンズコスメ」が頻出ワードだった。一人ひとりの男性の意識のなかで、あるいはネットでの静かな盛り上がりといったものが、表面に出てくるほどの「ブーム」になりつつあるといっていいだろう。2回に分けて、男性用スキンケアとメイクアップ市場の状況をさぐっていく。

アジアでは韓国がメンズコスメ先進国であり、中国でも市場は広がっている。遅れていた日本は2019年が普及元年となりそうだ。

拡大するメンズフェイスケア領域。市場の20%に迫る勢い

まずは男性用化粧品全般を俯瞰してみよう。整髪料、制汗ケア、育毛剤が主流だったメンズコスメ市場が盛り上がりをみせている。シンクタンクの富士経済は、2018年の市場売上見込を1175億円(前年比1.9%)と予測。これは2008年の965億円と比較すると121.7%の成長率になる。とくに成長が著しいスキンケアやメイクなどの「メンズフェイスケア」領域の売上は231億円(前年比4.5%増)と見込まれ、市場全体の20%に迫る勢いだ。

それを裏付けるものとして、「メンズコスメ」「メンズメイク」の検索ボリュームは前年比で1.5〜2倍に増加。掲示板サイト「2ch」でも「男の洗顔料総合スレ」が立ち上がり情報交換がされているということは、いまや「ごく一般の男性たち」がスキンケアやメイクに関心をもち、自分にとっての正しい情報を求めはじめているといっていいだろう。

男性美容研究家・藤村岳氏によると、「KISSME P.N.Yが2013年から販売しているメンズメイクブランド『ルオモ』のファンデーションは、バラエティショップやECを中心に売上が好調。2018年2月の時点で、出荷数は前年比127%で推移している。購入している人は30〜40代の男性で、一般男性にもメイクの需要があることが、ここからも示唆される」という。

ルオモのサイトでは、高感度アップにつながる
ナチュラルメイク講座コンテンツも
定期的に更新(ルオモのサイトより)

こうした男性の興味が徐々に高まりつつあるのに比べ「男性向けのメイクやスキンケア情報は圧倒的に不足している」と話すのは、ミレニアルズメンズのためのファッション・ビューティメディア「his&」を運営するNEL.INC代表の西田陸氏。自身も日常的にメイクを楽しむミレニアル世代だ。his&では、デイリービューティで使える商品や、実際に男性が使用してみた感想などを紹介する記事が人気で、2018年9月の立ち上げからわずか1.5ヶ月で、月間UU(ユニークユーザー数)3,000UUを突破。そのほとんどが検索からの流入だという。

バルクオムはSNS重視のマーケティング戦略で市場を開拓

こういった状況から、まさに2019年はメンズコスメ元年として特別なものではなく日常になっていくことを思わせる。そのなかでも男性向けスキンケア市場を牽引しているスタートアップが、「バルクオム」だ。

アラミスラボシリーズなどの高価格帯、UL・OS(ウル・オス)などの低価格帯の両極だったメンズスキンケア市場の隙間を狙い、中価格帯かつブランディングを重視したメンズスキンケアブランドとして2013年に登場。OEMで業績を伸ばしていたサティス製薬と組んで、男性が求める化粧品を開発した。「肌に触れた瞬間のサプライズ(Wowファクター)を大事にしている」とバルクオム代表取締役CEO野口卓也氏が語るように、とことん「中身(BULK)」にこだわったブランドの世界観は、ブランド名やロゴ、シンプルなパッケージにも表現されている。

一番の売れ筋は、余分な皮脂や汚れのみを洗浄し、潤い成分を残す洗顔料「THE FACE WASH」。続いて、角質層のすみずみに潤い成分を浸透させるだけでなく、その潤いを⼀定に保つ化粧水「THE TONER」。しっかりと潤いを与え、肌を乾燥ダメージから守りながら、ベタつきや重さを感じさせない仕上がりが人気の乳液「THE LOTION」で、この3つの主力製品を中心に売上を伸ばし、「この6年でメンズスキンケア市場シェア上位に並ぶことができたと考えている」と野口氏は話す。

その急成長の背景には、SNS重視のマーケティング戦略がある。ターゲットとなる20〜30代の男性は雑誌やテレビとの接触時間がほとんどないため、SNS広告に特化し、インフルエンサーに情報発信を促したり、野口氏自らも発信したりしながら、少しずつ認知を広げてきた。そして2016年冬、俳優・三浦翔平氏のインスタグラムで紹介されたことで注目度が高まり、幅広い年代の男性に認知された。

2018年には、ブランドアンバサダーに俳優・窪塚洋介氏を起用。20〜30代男性が憧れる大人の男性像や、やりすぎない美容のかっこよさをアピールし、ターゲティング広告なども実施した結果、CTRが20〜30%増加したという。また、インスタグラムの「UGC(User Generated Contents)」を広告に活用する戦略で、広告経由の獲得件数が1年で10倍に成長した。

こうしたデジタル戦略を着実に積み重ねると同時に、同社では卸販売を2013年ごろから行っている。ロフト、東急ハンズ、ヘアサロン、西武百貨店、ビックカメラなど全国約800店舗で取り扱いがあり、現在の卸の売上比率は50%だ。

「当初は予測していなかったが、ネット経由で購入している既存ユーザーが、『そういえば洗顔料が切れそうだ』と買い物途中に店舗で見つけて購入したり、広告を見た顧客が『ちょっと買ってみよう』というエントリーになるなどよい循環が生まれている。今後もこのバランスのまま、売上を伸ばしていきたい」と野口氏。海外では、台湾・中国・韓国での展開がはじまっており、現在は欧米進出に向けて準備中だという。

男性はライン使いする傾向が高い。コアなファンづくりが大事

バルクオムの売上は、2013年の創業開始から3年目で2億円を超え、その後倍々での進捗だという。3年目を超えたあたりからデジタルマーケティングにおけるCPAが合ってきたと野口氏は話す。メンズスキンケアブランドのなかでも着実に成長し続けることができたのは、D2Cブランドとしての本質であるセオリーに忠実なデジタルマーケティングもあるが、顧客を巻き込んだブランディングにも注目したい。

立ち上げ当初から掲げている「世界一のメンズスキンケアブランドになる」という目標に向かってロゴやパッケージ、Webサイトでブランドの世界観を統一することはもちろん、ユーザーのブランドアセットを高める施策として、カフェや完全紹介制プライベートトレーニングジムなど、リアル店舗の運営にも取り組んでいる。

このことにより、ユーザーの声も直接聞けるようになった。2018年11月からは、沖縄のリゾートホテル「シギラリゾート」とのコラボレーションで、アメニティ提供や「バルクオムツアー」などの企画もスタートした。「男性は、気に入ったブランドがあればラインで揃えて使い続ける傾向が女性よりも強い。ブランドの世界観を気に入り、長く使い続けてくれるコアなファンを今後も増やしていきたい」(野口氏)。

こういったコアなファンの期待に応えるべく、2018年12月には、従来の男性向けヘアケア製品とは一線を画し、育毛訴求ではないシャンプー・トリートメントを発表。スキンケアに続き、ヘアケアでもさらなるヒットを狙う。野口氏は、「シャンプーの会社と認識されるくらい浸透させたい。実は現在も、コンシーラーなどメイクアイテムの要望が寄せられてはいるが、まずはスキンケア、ヘアケアで基盤を固め、その先にメンズメイクへの展開なども検討していきたい」と今後の抱負を語った。

メンズコスメの選択肢が広がることで市場拡大へ

2018年11月には、ドラッグストアに販路をもつ資生堂のメンズブランド「ウーノ」から、肌のトーンアップ効果が期待できるメイクの要素を有したスキンケアアイテム『ウーノ クリームパーフェクション(ゴールド)』が発売されたこともふまえ、藤村氏はこう分析する。

「このウーノの新製品により、百貨店などのプレステージブランド、ロフトなどのバラエティストアで購入できるブランド、ドラッグストアブランドの三つ巴になり、男性にとって選択肢が広がり市場がさらに拡大することが予想される」

これまでは、家族やパートナーのものを一緒に使っていたり、セルフでなにげなく購入していたという男性にとってスキンケアがより「自分ごと化」し、複数の中から自分にしっくりくるブランドや商品を選べる時代がやってきたのだ。次回は、メンズメイク市場の動きについて紹介する。

※ 1/29 に最後の小見出し以下の文章を修正・追記いたしました。
Text: 小野梨奈 (Lina Ono)

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