見出し画像

クリーンビューティ先駆けとして28年の信頼感、米国「OSEA」のコミュニケーションと成長

◆ 新着記事をお届けします。以下のリンクからご登録ください。
Facebookページメルマガ(隔週火曜日配信)
LINE:https://line.me/R/ti/p/%40sqf5598o

1996年、米カリフォルニアで設立されたクリーンビューティの先駆けのひとつであるスキンケアブランド「OSEA(オーシア)」。資生堂が買収を検討しているとの報道も流れた同ブランドがいかにして成長を維持し、ファンコミュニティとの関係を深めてきたのか、美容コーディネーターの弓気田みずほ氏が、代表的な商品を実際に試用したレビューとともに解説する。


自然の力を活用したビューティウエルネスに早い段階で着目し家族で創業

OSEA」は、1996年に米カリフォルニア州マリブでジェニファー・パーマー(Jenefer Palmer)氏とメリッサ・パーマー(Melissa Palmer)氏の母娘によって設立されたスキンケアブランドだ。ブランド名は「Ocean(海)」「Sun(太陽)」「Earth(地球)」「Atmosphere(大気)」の頭文字からとられている。多種類の海藻など100%植物由来成分を配合したヴィーガンでクルエルティフリー処方がコンセプトで、その製品は、北米をはじめとし世界30カ国以上に配送可能な自社ECサイトのほか、アルタビューティや百貨店、化粧品専門店などで販売されている。

ブランドの原点は、米国のカイロプラクターの第一人者であったジェニファー氏の祖母が足の怪我が原因で寝たきりの状態になった際、当時住んでいたロングアイランド湾の極寒の海に足を浸けるという療法を思いついたことにあるという。リハビリの過程で得た知見を家族で共有したことが、海の恵みを活かす化粧品という発想につながったとされる。

ジェニファー氏は考古学者のキャリアから転身して指圧などのマッサージセラピーを身につけ、南カリフォルニアで最初のウエルネスコンセプトのスパのひとつでディレクターとなる。祖母を癒した海の力に着目して自宅でスキンケアを作り始め、抗酸化効果や保湿効果をもつ海藻をベースにした製品を完成させて、1996年に「OSEA Malibu」のブランドを立ち上げた。娘のメリッサ氏も共同設立者となり、10年ほどは自宅のガレージで梱包、出荷などすべての業務を行っていたという。

有名セレクトショップ「フレッドシーガル」での取り扱いをきっかけに、スパやホテルをはじめ、卸売やオンラインにも販路を拡大。ブルーミングデールズ、ノードストロームなどの百貨店、ブルーマーキュリー、アルタなどのビューティセレクトショップを通じて、全米に1,000拠点を持つまでに成長した。2020年末にはオーストラリア、ニュージーランドにも進出を果たしており、直近の年間売上高は約1億ドル(約143億円)とされている。

2024年7月には、資生堂が買収を検討しているというニュースも一部で流れた(後日買収は中止)が、クリーンビューティの王道をいくコンセプトとユニークなブランドストーリー、消費者からの製品への高い評価、世界展開の伸びしろなどを考えると、グローバル大手のビューティ企業がブランドポートフォリオに加えたいブランドのひとつであることは間違いないだろう。

ここから先は

3,756字 / 4画像

このマガジンを購読すると、バックナンバー記事を制限なくご覧いただくことができます。

BeautyTech.jpは最新1カ月の記事は無料、それ以前の記事は全文閲覧が有料です。「バックナンバー読み放題プラン」をご利用ください。

このマガジンを購読すると、バックナンバー記事を制限なくご覧いただくことができます。

「バックナンバー読み放題プラン」の法人・企業様向けプランです。社内限定で転用・共有していただけます。