中国ではセフォラがひとり勝ち。化粧品小売チェーンのプライベートブランド考
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中国の化粧品市場では、ECと並ぶ成長チャネルが化粧品小売チェーンだ。ワトソンズやセフォラ、そして地方都市を本拠地にする内資系企業が入り乱れて、競争が繰り広げられている。そこで各社が力を入れているのがプライベートブランド(PB)だ。コロナウィルスの感染拡大で小売業への影響も心配されるが、現状の主要プレイヤーとそれらのPB戦略について紹介する。
中国の化粧品市場では、ECのプレゼンスはますます強まっている。国元証券が公表した「家庭・個人用品業界研究レポート」によると、2018年の全販売チャネルにおいてECの占める割合は27%で、初めて首位に躍り出た。それまでトップだった「KA(Key Account)」と呼ばれる総合スーパー(GMS)は、2007年の45%をピークに下がり続け、2018年は25%にまで低下。化粧品市場が拡大を続けるなか、売上規模は2013年から1,000億元(約1兆6,000億円)前後と横ばいだ。しかし、すべての実店舗のチャネルが振るわないかというとそうではない。EC同様に右肩上がりのチャネルがある。それが「CS(Customer Satisfaction)」カテゴリーに入る化粧品小売チェーンだ。
「数」のワトソンズ、「利益率」のセフォラ
競争が加熱する化粧品小売チェーン業界でもっとも店舗数が多いのは、「ワトソンズ(屈臣氏)」だ。香港に本社を置くA.S.Watson(長江和記実業)が運営する同店は、ドラッグストアとうたっているものの、実際には医薬品を扱っておらず、商品は美容関連がメインだ。同社のウェブサイトによると、2019年11月に中国本土での3,800店舗目をオープンさせた。
そのPBブランドに目を向けると「Watsons」ブランドのほか、他社と共同開発したものを加えると17ブランドにも及ぶ。現地の報道によると、2015年時点でPBは売上の20%を占めている。ワトソンズはほかのブランドの売れ筋商品を模倣し、PBとして安く販売することで売上を伸ばしてきたが、その手法が飽きられ、若年層を中心に顧客離れが起きているとの指摘もある。それは業績にも現れており、決算資料をみると2016年と2017年の売上高はマイナス成長だった。
幅広いジャンルで展開する
ワトソンズのPB
(ワトソンズ台湾のウェブサイトより)
ワトソンズとは逆にその勢いを増しているのは、「セフォラ(絲芙蘭)」だ。世界で1,300店舗以上を展開しているセフォラは、1970年にパリで創業し、1997年にLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)の傘下に入った。日本では2001年に撤退しているが、中国では好調だ。2004年に中国法人・絲芙蘭(上海)化粧品銷售を設立すると、2005年に上海に1号店をオープン。2019年10月現在、中国の76都市で243店舗を展開している。
ワトソンズとの店舗数の差は大きいが、1店舗あたりの売上ではセフォラが優っている。前述のレポートによると、ワトソンズの1店舗あたりの売上高は年々減少し、2018年時点で484万元(約7,600万円)。一方、セフォラは順調に業績を伸ばし、2019年4月時点で1店舗あたり売上は1,669万元(約2億6,000万円)に達する。その差はまず、客単価の違いにある。セフォラの取り扱い商品の多くが海外ブランドであり、価格帯がハイエンドのものが多く立場の強さも生かしマージンも高い。ただし、近年はハイエンド製品の比率は低下してきており、ミドルエンド以下の価格帯をカバーするPB「Sephora Collection」が売上を押し上げている。
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