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オルビスもBAのワークウェアで採用。シタテルが手がけるビジュアルブランディング

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2014年に創業したシタテル株式会社は、デザイナー、パタンナーのほか、700社近い縫製工場、資材メーカーなどと連携し、アパレルの知識がなくてもワンストップで服作りができ、D2Cブランドも立ち上げられるプラットフォーム「sitateru」を運営する。服を作りたい人と生産者をつなぐサービスは、企業が抱える課題を解決するためのビジュアルブランディングなど幅広く事業を展開中だ。

シタテルは、これまで閉鎖的だったともいえる衣服づくりを、テクノロジーによってオープンにし、人と人をつなげて仕組み化することで誰もがイマジネーションのままに服が作れる世界の実現を目指して「sitateru」をローンチした。当初は、ウェアを作りたい個人や事業者と縫製工場のマッチングを主としていたが、次第に企業が抱える課題をウェアで解決するビジュアルブランディングの取組みも増えていった。そうした事例をみたビューティーブランドのオルビスから声がかかったのも、ちょうどその頃だ。

ブランドコンセプトを体現するBAのワークウェア開発

オルビスは創業以来、“肌が持つ本来の力を信じ、不要なものには頼らない”という信念をもつ。一人ひとりの美しさを引き出す商品を生み出すと同時に、この思想をブランドの価値として、BAの接客やコミュニケーションを通じて伝えていきたいと考えていた。そこで、2018年秋から取り組んでいるリブランディングの一貫として、BAのワークウェアのリニューアルをsitateruで行った。

シタテル株式会社 営業企画 吉村郁乃氏は、「リニューアルに際し、オルビスには既存の枠組にとらわれないワークウェアを作りたいという要望があった。そこで、ブランドのコンセプトを表現するだけでなく、BAが毎日着るのが楽しみになり、誇りをもって働けるワークウェアを目指し、自身でもコレクションを発表しているウィメンズブランド『スエサダ(SUÉSADA)』のデザイナー末定亮佑氏をマッチングした」と話す。

sitateruの強みは、衣服を作りたい事業者がダイレクトにアプローチするのが難しいデザイナーやパタンナーなどのネットワークをもち、課題解決のために必要なリソースを、必要な分だけ提供できる点にある。

FireShot Capture 036 - シタテルについて|sitateru - シタテル - - sitateru.com

提供:シタテル株式会社

末定氏は、「一人ひとりの美しさを引き出す」ことをポイントにデザインコンセプトを構想し、服自体に色をつけるのではなく、影を活かして自然にできる色のグラデーションを引き立たせるデザインを採用した。BAが顧客にタッチアップするときの動きやすさへの配慮に加え、襟元をあけたりしめたりして複数の着方ができる可変性をもたせた。これにより、BAがその日のコンディションや気分に合わせて着方を変えることで、髪型やメイクにも変化がつけられ毎日楽しく着ることができるワークウェアに仕上がった。

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約8ヶ月の製作期間を経て
開発されたワークウェア
2019年5月初旬から現場での
着用がスタートしている
提供:シタテル株式会社

新しいワークウェア導入後にBAにアンケートを実施したところ、デザイン性に対する満足度は、5点満点中4点以上が80%となり、旧ワークウェアの22%と比較して3.6倍にUPした。「毎日着るのが楽しくなった」「ビューティブランドとしての意識が高まり、働くモチベーションがあがった」という声がBAから寄せられたという。

また、顧客からの反応もよく、店舗の雰囲気が明るく変わったことで、これまでブランドと接点がなかった属性の顧客も訪れるようになった。今後は、店舗での売上の推移や採用へのインパクトについても、引き続き、定量的に追っていく予定だという。

ブランドの世界観統一に欠かせないユニフォーム

最近は、2020年の東京オリンピックや2025年の国際博覧会(万博)の開催に向けて、ホテルや旅館のオープンラッシュが続いており、そのユニフォームのプロデュース案件が増えている。「宿泊費の安さで差別化するのではなく、コンセプトをしっかりと定め、店舗や内装含めた世界観を前に出していくことがトレンドになっている」と話すのは、シタテルのマーケティング部 部長 及川尚子氏だ。

大阪心斎橋のカプセルホテルを2019秋にリニューアルオープンした「ホテルモーニングボックス大阪心斎橋」は、リニューアルに伴い、スタッフジャケットを一新したいと考えていたが、既存のカタログでは選択肢が少なく、オリジナリティが出しにくいと感じていた。

そんな時にシタテルの展示会に参加し、ホテルのイメージに合ったユニセックスなデザインと、生地の色選びでオリジナリティが出せることがわかり、sitateruの利用を決めたという。コーポレートカラーに近い色で、さまざまな国籍の外国人スタッフの肌の色にもマッチするスタッフジャケットは現場でも評判で、自宅に近い感覚でくつろいでもらいたいというホテルのコンセプトにあったカジュアルさのなかにも、適度なフォーマルを感じさせるデザインに仕上がった。

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提供:シタテル株式会社

及川氏は、企業がビジュアルブランディングに取り組むべき理由は2つあると話す。1つは、ブランドコンセプトをビジュアルで表現する際、店舗の内装だけでなく、スタッフのユニフォームも含めてトータルでプロデュースすることで世界観が統一できるところだ。それが差別化につながり、とくに、顧客と直接に接する機会が多いスタッフが何を着ているかは、ブランディングにおいて重要な鍵となる。そして2つめは、社内向けに経営者の思いや会社の価値観を従業員に伝えるツールのひとつになりえるという点だ。

「たとえば開発段階から社員を巻き込むことで『自分も会社のブランドづくりに参加した』という経験が社員の働きがいになる。また、自身も気に入っているユニフォームを毎日着ることから、仕事へのモチベーションアップや社員の定着にもつながる。長期的に見れば、統一された世界観によって『あのブランドで働きたい』という憧れとなり、採用にインパクトを与えうる取組みにもなる」(及川氏)

想像力さえあれば、誰でも服が作れる未来へ

シタテルは現在、ユニフォーム等のカスタムオーダーサービス「CSTM(カスタム)」の開発も進めている。ゼロからオリジナルで衣服を作ろうとすると、デザイン料やパターン料などのイニシャルコストがかかり、納期も長くなってしまうことが多いが、CSTMはシタテルが連携するファッションデザイナーがデザインしたベースとなる型を選び、生地やボタン、ロゴの刺繍などを自由に組み合わせることで、短期間で、かつ30着からという小ロットで衣服を製作することが可能なサービスだ。

また、アパレルの過剰生産・大量廃棄問題に対しては、「SPEC」という受注生産一体型コマースで問題解決を試みている。SPECは欲しい人の数だけ生産・販売するため、無駄な在庫を生まず、世界中で課題となっているゴミの削減にも配慮したものづくりを行うことができる。

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シタテル株式会社
営業企画 吉村郁乃氏(左)
同社 マーケティング部
部長 及川尚子氏(右)

「シタテルのプラットフォームを使って、想像力さえあれば、誰もが自由に、1着からでも服作りができるような未来を目指したい」と及川氏は今後の展望を語る。シタテルの自由な服作りの仕組みによって、企業の規模によらず、課題解決型ビジュアルブランディングにより取組みやすくなる。

そして、美容業界においては、サティス製薬のようにD2Cに特化したOEM企業CosmepolitanのようにOEM企業をネットワークするスタートアップの登場で、化粧品プロデュースのハードルが年々低くなってきている。個人や異業種でもD2Cブランド立ち上げに挑戦でき、既存の業界企業も効率化やさらなるブランディングに利用できるというフレキシブルな動きは、ファッション業界においても今後さらに加速していくだろう。

Text: 小野梨奈 (Lina Ono)
Top Image: pina messina via unsplash

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