見出し画像

KINSは悩みに応える「菌ケア」で美容とヘルスケアを融合し、医療領域にも挑戦へ

◆ New English article
◆ 新着記事をお届けします。以下のリンクからご登録ください。
Facebookページメルマガ(隔週火曜日配信)
LINE:https://line.me/R/ti/p/%40sqf5598o

年々注目が高まっている菌の世界で、美容とヘルスケアの融合領域に挑むスタートアップが株式会社KINSだ。「菌をケアすることが当たり前の世界」の実現を掲げる同社 代表取締役社長 下川穣氏に、未来の菌ケアプラットフォーム構想について聞いた。

美容と健康をつきつめると同じ「腸内環境」が大事

2018年12月に創業し、肌の菌の状態をチェックできるスキンテストとコンシェルジュ相談によるライフスタイルの提案がセットになったサプリメントのサブスクサービス「KINS BOX」からスタートしたKINSは、「菌ケア」という新しい視点で、美容とヘルスケアの融合領域にアプローチし、ウエルネスに関心を寄せる30代女性ユーザーの支持を集めている。おもにInstagramだけのプロモーションで、ローンチ1年半でサブスク会員数は1万人まで成長した。

「菌の変態」と周囲に呼ばれるほど菌の研究にのめりこんできた下川氏がKINSを始めたきっかけは、歯科医師を経て、あるクリニックの医療法人で理事長を務めていたときの経験だ。2015年頃から腸内菌叢の研究が学会などでも体系化されはじめ、そのクリニックでもいち早くアトピー性皮膚炎や潰瘍性大腸炎などの慢性疾患患者に対し、乳酸菌の処方や食生活や生活習慣の改善指導を行って、対症療法にとどまらず根本治療を目指していた。

腸内環境を整えることで、20年来の悩みだった患者の症状が改善されるなどのケースを目の当たりにした下川氏は、「腸内環境を整えることで、予防医療や根本治療になり、結果として美容にもつながるということを、クリニックの患者だけではなく、より多くの人に広めたい」と考え、会社設立を決意した。

画像1

株式会社KINS 代表取締役社長 下川穣氏

下川氏がKINSでまず取り掛かったのは、皮膚常在菌を調べるスキンテストと、乳酸菌サプリメントの開発だ。

「腸内に棲む細菌は1,000種以上あるといわれており、それぞれの関連性はまだ研究し尽くされていない。一方、皮膚常在菌は腸内よりも解析対象とするべき細菌の種類が限られており、かつ腸内細菌の代謝産物として皮膚に影響が出てくることがわかっている。つまり、腸内環境が改善すれば、皮脂や皮脂腺から出る生産物質の量と質が変わり、それを餌にしていた菌が増減するという相関関係がある。健やかな肌を保つために、まずは腸内環境に目を向けてほしいという思いで、サプリメントの開発からスタートした」(下川氏)

サプリメントは、22種類の乳酸菌と、酵母菌、乳酸菌生産物質を配合しており、その配合率は菌ケアの観点からすべて下川氏がベースを作り、OEM企業とやり取りをしながら完成度を高めていった。

ユーザーは、スキンテストとサプリメント(60粒)、LINEによるコンシェルジュがセットになったサブスクコース「KINS BOX」(税込6,578円)か、単品購入(60粒、税込10,152円)を選べるようになっている。当初、サプリメントは1種類からスタートしたが、ユーザーアンケートや蓄積されていくスキンテストのデータ分析から、肌タイプを6つに分類し、現在はそれぞれの悩みにあったサプリメントを選べる。まずはスタンダードな1製品を発売し、その後、アンケートをもとに商品をセミカスタマイズしていくのがKINSの商品開発手法となっている。

現在、KINS BOXユーザーは約1万人で、その95%が女性、継続率が93%と非常に高いのが特徴だ。下川氏は、KINSのコンセプトや菌ケアの重要性を地道に伝えていくことを大事にしており、自らInstagramライブに登場するほか、Instagramでの質問BOXやDMなどでユーザーとも1対1でコミュニケーションをとり、KINSへの思いやユーザーが抱く菌ケアの質問などに答える取り組みをローンチ当初から続けている。菌ケアの話に共感したユーザーの発信は内容が濃いため、SNSやクチコミサイトなどでのUGC(User Generated Contents / 一般ユーザーが作成したコンテンツ)が生まれやすく、そこから認知が広がっていると下川氏は分析する。

また、30代女性を意識したパッケージデザインにもこだわりがある。「“菌ケア”という新しい概念で馴染みのないものなので、パッケージが素敵でなかったら、知ってもらうきっかけすら与えてもらえない。雰囲気だけでもなにこれ?と興味をひくもので、信頼できそう、試してみたいと手にとってもらえるものにするために、デザイン・イノベーション・ファームのTakramに依頼して相当こだわってつくった」(下川氏)

Instagramで得られるデータやアンケートをフル活用

KINSでは、ターゲットユーザーの多くがInstagramを利用していることから、Instagramをメインに発信を行っており、フィード投稿とストーリーズの両方を活用して、商品やプロモーションのアンケートを頻繁に実施している。

「商品やサービス、プロモーション手法の良し悪しについては、ほぼリアルタイムで反応が得られるので、週1で定例会議を実施してデータを分析し、商品やサービス、UIなどの問題点の改善に役立てている」(下川氏)

そのユーザーアンケートは、商品開発にも活かされている。当初KINSのブランド戦略として、サプリメントのみに絞って展開していく案もあったが、肌トラブルに悩むユーザーのなかには、間違ったスキンケアをしている人が非常に多いことがアンケートの内容からわかった。いくら腸内環境が整っても、間違ったスキンケアを続けていては効果も半減してしまうと考え、急遽、自社でスキンケア商品を開発することになったのだという。

画像2

Instagramで実施した
ニキビ時のケア方法についての
アンケート結果
出典:下川穣氏のnote

現在は、KINS BOXのほかに、エッセンス、ブースター、セラム、フェイシャルマスク、シャンプー&トリートメントなど、サブスクコースも含むと14SKUあり、サブスクコースで6つのアイテムを同時に契約しているユーザーもいるという。「KINSを一度手に取って試し、実感して、『KINSから新しい商品が出るなら信頼できる』というスパイラルをつくりたい」(下川氏)。サービスに満足して継続してもらうことで、ユーザー自身の健康管理になると同時に、KINSにとっては広告宣伝費をあまりかける必要がなく、その分の費用を商品の処方に反映することができ、双方にとってWin-Winとなるビジネスモデルを描いている。

医療機関と連携した菌ケアのプラットフォームを構想

菌ケアとしてのアイテムは拡充する予定で、2021年8月には、ペット用の菌ケアブランド「KINS WITH」を、冬にはメンズブランド「KINS HIS」をリリースする計画だ。人間だけでなくペットにおいても、ペットフード主体の食生活に変化したことにより口内や腸内の細菌叢が乱れていて、それが原因で胃腸障害や皮膚障害、口腔内トラブルにつながっているという。「KINS HIS」は男性の悩みにアプローチするもので、現在リリース中のKINSは女性向けブランドと位置づけ、婦人科領域をも視野に入れた商品展開を検討中だという。

同時に、スキンテストで蓄積されたデータの活用については皮膚科と連携を進めており、2021年4月にオープンしたKINSの自社ラボで、クリニック目線で項目を精査したスキンテストキットを開発中だ。将来的には、オンライン診療を組み合わせた菌ケアのソリューションを提供するプラットフォームへと発展させていく構想もあり、KINSを皮膚科クリニック向けに卸販売し、皮膚科からKINSの認知拡大を狙う。

画像3

KINSの自社ラボ
出典:下川穣氏のnote

「腸内環境を整えることは、肌、頭皮、アレルギー、ダイエット、膣内環境、不妊・妊活などの身体の悩みに寄与すると考えている。腸内環境から始まる菌をトータルケアするヘルステックブランドとして、菌をケアするという文化を広め、予防医療、根本治療に貢献していきたい」(下川氏)

Text: 小野 梨奈(Lina Ono)
Top image: KINS

ありがとうございます!メルマガで隔週で更新情報配信中。ぜひご登録を!
美容業界の国内外のイノベーションを発信するメディア。2021年7月19日より月・水・金の週3回配信となり、9月1日にリニューアルを予定しております。詳しくは → https://goo.gl/7cDpmf