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ETVOSやエキップが導入、実店舗に近い接客体験をオンラインで提供するSprocket

BeautyTech.jp

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Web接客ツールを提供するSprocket(スプロケット)では、ユーザーへのサービスをリアルタイムでパーソナライズすることで、ヒトではなくシナリオで店頭に近い接客を行うことに注力している。ETVOSやエキップの事例をもとに、Sprocketが実現を目指す購買体験をひもとく。

連続するポップアップ表示で美容部員に代わる価値を提供

化粧品のオンライン販売では、肌に合う色味や塗った時の手触り、香りなどをいかにユーザーに理解してもらえるかがカギとなる。しかし、Webサイトでは美容部員に相談したり実際に試したりといった店頭と同様の体験を提供することは難しい。Web接客ツールSprocketでは、オンラインであってもユーザー一人ひとりに合わせた接客を行うことで、こうした課題を解決できるとする。

株式会社Sprocket 広報 ティオン晴子氏は、「Sprocketは、サイトを訪問したユーザーをリアルタイムでパーソナライズし、Web上の行動履歴などを掛け合わせて分析することで、個々のニーズに応じた提案や問いかけをポップアップ表示していくことができる」と話す。

一般的なCRMツールとの大きな違いは、1回のポップアップ表示からリンク先へ誘導し、そこで終わらずに、1回目の選択肢から次々と分岐させながら連続表示できる点だ。これにより、店頭での声かけに近い接客体験を提供するところが一番の特長だとする。

株式会社Sprocket 広報 ティオン晴子氏
プロフィール/米国国際教育組織やIT系ベンチャー企業等にて、事業企画やマーケティング領域を経験ののち、広報担当としてSprocketに入社

リアルタイムでユーザーのパーソナライズを行う際には、ユーザー属性、購入履歴、閲覧情報、訪問回数、デバイス、流入元といったデータから分析しているが、なかでも大きく影響するのが、訪問回数とデバイスだ。

「初回訪問か、2回目以降の訪問かでユーザーの行動は大きく変わってくる。前者の場合はコンテンツ全体を見て目指すものを探すか、あるいは直前に見た広告の商品だけをめがけていく場合が多い。それに対して後者は、見たい情報があらかじめ決まっており、それがどこにあるかもわかっているので、マイページなどから真っ直ぐにその情報に向かう場合が多い。つまり、見てもらえない場所に情報を置いても意味がないので、そのユーザーの動線上に必要とされるであろう情報をポップアップ表示するようにしている」(ティオン氏)

また、美容系のECサイトの場合、スマホから閲覧する割合が高く、ビジターの9割を占めることもあるが、だからといってスマホでの見え方だけを重視すればよいわけではないという。

株式会社Sprocket シニアコンサルタント 高坂菜津美氏は、「スマホは若いユーザーが多い。結果として、1人あたりの購入単価が高いのは比較的年齢層が高く、可処分所得の高いPCユーザーという場合も多く、どちらにも適切な接客をきちんと行うことが大切だ。また、スマホは隙間時間や出先での閲覧、PCは自宅などで腰を落ち着けての閲覧という違いがあることからも、ユーザーのニーズが変わってくる。スマホでリサーチしたものを、あとでPCで購入するという利用のされ方もよくあるため、たとえば、スマホではお気に入りボタンを訴求し、PCではクロージングするようなシナリオでポップアップ表示をするといった使い分けをしている」とする。

株式会社Sprocket シニアコンサルタント 高坂菜津美氏
プロフィール/実店舗、百貨店、ECサイト、TV通販など、さまざまな物販の現場を経験後、事業会社のデジタルマーケティング担当を経て、Sprocketに入社。現在はシニアコンサルタントとして、購入・申し込み・資料請求などのコンバージョン率向上を図りながら「ユーザーと企業の関係性を深める」ことを目指し、理想的な顧客体験の実現を追求する

ユーザーにとって最適なショッピングの状況をつくるには、タイミングも重要だ。実店舗の販売スタッフであれば、声をかけてほしくなさそうな人は見守り、質問や相談がありそうな人には声をかけるといったように、来店した顧客を観察して話しかける頃合いにも気を配っている。ポップアップにおいても同様で、適切なタイミングでの表示が鍵となる。

「サイトを訪れているユーザーがスマホやPCを操作する手をしばらく止めて、考えたり迷ったりしているようなときに、ちょうどよいタイミングでサポートのポップアップを表示させる。何秒で表示するのが適切かは各ブランドやECサイトの方針、顧客属性によっても異なるので、ABテストで判断していくが、大切なのは、そのページのその場所でユーザーが何を考えて何をしたいのかを汲み取ることだ」(高坂氏)

ETVOSのECサイトで実現した迷わないファンデーションの色選び

化粧品をECサイトで購入する際にユーザーが悩むポイントの1つとして、色選びがあげられる。店頭ではその場でサンプルを試すことができるが、Webサイトでは微妙な色味の判断が難しい。これも、Sprocketのポップアップによって解決することが可能だ。

ファンデーションやスキンケア製品を販売する国内ブランド「ETVOS」のファンデーション「ミネラルグロウスキンクッション」は、コロナ下の2021年2月の発売となったため、ECサイトからの購入ニーズが高まった。既存ユーザーが多かったことから、ポップアップでETVOSのほかの手持ちアイテムを選択してもらい、その色を参考に適切な色を提案するようにした。

ETVOS「ミネラルグロウスキンクッション」の色選択をサポートするポップアップ

「注目度の高い商品だったこともあり、店舗に行けなくなったユーザーからコールセンターへ『私にはどの色が合いますか?』と色味を相談する電話が相次いだ。しかしこのポップアップ表示によって、問い合わせを減らすことができた」(高坂氏)

また、商品の色の選択肢の多さはユーザーにとって魅力である反面、Webサイト上では選ぶことが負担にもなりうる。ETVOSの唇用美容液「ミネラルリッププランパー」は11色あるため、どの色にするか迷っている様子のユーザーには「人気カラーランキング」「パーソナルカラー(ブルーベース/イエローベース)別おすすめカラー」「なりたいイメージ別おすすめカラー」の3つのメニューを用意し、任意のものを選択していくとおすすめの3色が提案されるシナリオとした。

ETVOS「ミネラルリッププランパー」の色選択をサポートするポップアップ

「ユーザーは選択肢が多すぎると迷ってしまう一方で、1つだけを提示されても『本当にこれでいいのか?』と思ってしまう。あるテーマをもとに3つくらいに候補を絞って提示すると決断しやすくなる」(高坂氏)

そのほかにもETVOSでは、「ミネラルUVパウダー」などのUVケアアイテムのページを閲覧中の“紫外線対策に興味があると思われる人”に対して、さらに本格的な紫外線ケアができる専用美容液を紹介したり、「マスク着用による肌悩み」をもとにしたおすすめアイテムの紹介などもポップアップによって行なったという。

いずれも、「どんなことが気になっているのか」をユーザーが2〜3つの選択肢から選んでいくことで、シナリオが分岐し、最適なアイテムや情報に導く流れとしている。店頭ではちょっとした疑問も目の前のスタッフに聞くことができるが、ECサイトはチャットサービスなどがない限り、基本的に自分自身で理解する“セルフサービス”だ。そのため、それを自然で負担のない形でユーザーに行ってもらうことが、購買へとつなぐキーポイントとなる。

ETVOSの紫外線ケアに興味がある人に向けた専用美容液紹介のポップアップ
ETVOSのマスク着用による肌の悩みを問診して商品をレコメンドするポップアップ

疑問を先回りして解消することで購入への不安を軽減し、売上を1.3倍にしたエキップ

ECサイトに不慣れなユーザーや、初めてそのECサイトを利用するユーザーは、いざ購入しようと思うとさまざまな懸念が出てくることも少なくない。「RMK」や「SUQQU」「athletia(アスレティア)」の3ブランドを展開するエキップでは、カート画面で迷っているユーザーに「送料無料になる?」「ギフト対応できる?」「注文後いつ届く?」「支払い方法は?」という選択肢のポップアップを表示し、さらにその先で発生しがちな疑問をポップアップで分岐していくことで、不安要素を解消していった。

athletiaのカート画面でユーザーのよくある疑問をサポートするポップアップ

「購入する段階で疑問や不安が生じて躊躇するというのは、ECサイトではよくあることだ。もちろんサイトのどこかにはその情報は掲載されているが、買い物に集中している間は気づきにくかったり、購入段階で気になって検索しているうちに、購入ページから離脱してしまうユーザーも少なくない。ユーザーに必要とされるタイミングで手厚い情報提供をすることが、漠然としたユーザーの不安を低減することにつながる」(高坂氏)

実店舗の店頭では、販売スタッフがどの商品を買うか迷っている客の相談を受けたり、購入したいけれどあと一歩踏み出せないという背中を押したりもする。こうした接客に近いこともポップアップで実現できる。

エキップでは、カテゴリーページでしばらく動かない、迷っていると思われるユーザーに、そのカテゴリーと関連性の高いベストコスメ受賞商品のポップアップを表示した。自身ではどれがよいかを判断するのが難しいときには、このような第三者の評価を伝えることで「これがよさそうだ」と思える効果につながる。

SUQQUのカテゴリーページでベストコスメ受賞商品を紹介するポップアップ

「エキップではこれらの例をはじめとしたポップアップ施策を複数行い、売上件数が1.3倍に伸びた」(高坂氏)

社内の半数以上のメンバーがカスタマーサクセスとして伴走

Sprocketの強みは、こうした細やかなシナリオ設定が可能で、かつ具体的なシナリオ設計の提案を含めた運用面でのサポートを、クライアントごとに専任の担当者が行う点にもある。とくに中小規模のブランドで、デジタルマーケティング専任の担当者がおらず、現状の自社ECに漠然と課題感をもっていても、何をするべきなのかわからない、というようなケースにも対応する。

「シナリオ設計については、最初は弊社から提案していくケースが多い。これまでの近い業態や似た課題を持つサイトを手がけてきた知見から、そのクライアントに合いそうなものをピックアップし提案している。もちろんクライアントの意向も丁寧にヒアリングして反映していき、過去に似た事例がないタイプの場合は、ユーザー調査や行動分析を行い、データから課題を明らかにして仮説を立て施策を重ねていく。このようなやり方で半年ほどコンサルティングしていくと、クライアントも勘所を掴み『こういうことがやりたい』という要望が出てくるようになる」(高坂氏)

Sprocketではメンバーの半数以上をカスタマーサクセス担当者が占める。「ツールの使い方を覚えるまでの数カ月間だけではなく、クライアントごとに専任の担当がつき、クライアント社内のデジタルマーケティング担当者のごとく、内側に入り込んで提案を行っている。カスタマーサクセス同士でもお互いのナレッジを共有しているので、多くの勝ちパターンを熟知している」(ティオン氏)

Sprocketの利用料金は、月間のユニークユーザー数や、月に何時間程度コンサルティングの時間を希望するかによっても変わってくるが、基本的に従量課金であり、金額にすると月数十万〜数百万円単位だという。即戦力のデジタルマーケターを雇用する人件費と比較して導入を決める顧客がいるほか、既存のサイトにタグを挿入するだけで利用できるため、運用までのシステム改修費を抑えられる利点もある。

売上向上の先に目指すLTV向上やユーザーのファン化

Web接客ツールの導入は、PDCAを回し最適化を進めることでコンバージョン率を上げられることがメリットだ。そのためには、分析機能の役割も重要になってくる。SprocketはWeb上のユーザー行動を細かく分析する機能を備えており、施策の結果分析や仮説を洗い出すための分析、新たな気づきを得るための分析などが行える。

ECサイトでの購買は、実店舗以上に多くの顧客データを取得できる点も強みであり、そのデータと実店舗の顧客データを掛け合わせれば、さらにきめ細かいマーケティング施策を実現することができる。

「会員機能を持つクライアントの場合は、その会員IDとSprocketを連携することで、より詳細な顧客情報にもとづく接客や分析が可能になる。さらに実店舗のPOSデータをWebにはき出していれば、実店舗とECサイトでの購入情報を連携させるOMO的な使い方も可能だ。その場合、あるユーザーが店頭とECサイトそれぞれで何をどのくらいの額購入したかということがわかるので、その使い分けを踏まえたシナリオ設計をすることもできる。また、MAなどさまざまな外部サービスと連携することができ、ecbeingfutureshopをはじめとするカートサービスとも連携しているので、タグを入れるだけでユーザーの誕生日や保有ポイント数などがユーザーの訪問時にわかる仕組みにし、誕生日クーポンを出すといった施策も行える」(高坂氏)

ECサイトでは新規顧客開拓ももちろんだが、長期的視野からユーザーの気持ちを理解してよりよい関係構築を行うことでLTVを伸ばし、ユーザーをファン化していくことが大事になる。

「最初は、ECサイトでの売上向上、資料ダウンロードや会員登録の促進といった、目の前のコンバージョン率を高める目的で我々のツールを導入するクライアントが多い。しかし長期的には、ブランドの世界観をオンラインでどう表現してファンを育成していくのかを、カスタマーサクセスが一緒に考え取り組んでいくところに我々の真の強みがある。今後もクライアントとともに、オンラインからオフラインまでを含め、ユーザーに提供する体験のさらなる向上を目指していきたい」(ティオン氏)

Text: 平田順子(Junko Hirata)
Top image and photo: 株式会社Sprocket


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