米国美容業界に広がりつつある「Only for you」サービス。カスタマイズ需要は化粧品にどんな変革をもたらすか
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米国の美容業界では「Only for you」を特色に出すサービスが急速に増えている。たとえばファンデーション。数年前に登場した、店頭でユーザーの肌色を診断し適切な色味のファンデーションを作るサービスは、スマホの進化により自宅でもできるようになり、ボトルにユーザーの名前も入って送られてくる。この動きは、世界的なパーソナライズドの潮流に先駆けての“カスタマイズ戦略”と呼んでもいいだろう。かつては高価格アイテムとして一部のセレブに許されたカスタマイズは、誰でも気軽に利用できるようになってきた。ファンデーションのカスタマイズ志向は、化粧品にどんな変革をもたらすのだろうか。
スマホで肌色診断&専用ファンデを販売
2017年1月に資生堂(本社東京都中央区)が、アメリカ地域本社であり連結子会社であるShiseido Americas Corporation (本社米国デラウェア州)を通じて買収したのが、米国のベンチャー企業MATCHCo(本社米国カリフォルニア州)だ。MATCHCoは、ユーザー自らがスマートフォンアプリを使って自身の肌色を計測し、その肌色に合ったカスタムメードのファンデーションを製造、オンラインで販売し、顧客に届けるというビジネスを展開する。同サービスは、MATCHCoが特許を取得した技術を基に行われている。
買収発表時の資生堂のプレスリリースによると、MATCHCo社は、2013年にパーソナライゼーションとデジタル技術の専門家であるDave Gross氏とAndy Howell氏が創設。2015年11月のアプリ配信スタート以降「ベストニューアプリ」や「月間ベストアプリ」などに選ばれているという。また『ティーンヴォーグ』、『グッドハウスキーピング』などの雑誌でビューティー関連の賞を受賞している。
MATCHCoでファンデーションをカスタムメードする際の手順はこうだ。まずスマートフォンアプリ「bareMinerals」を立ち上げ、Scanボタンを押す。すると自動でカメラのフラッシュが点灯し、アプリから音声が流れる。その音声に従い、5回白い紙の上にスマートフォンのカメラを押し当てていくと、Calibration(キャリブレーション)という色再現のための調整・準備が整う。続いて手首の内側、おでこ、頬(右・左)、顎のライン(右・左)でも同じように、カメラを押し当て自身の肌色を測定していく。
この7ステップであっという間に、専用のファンデーションが完成する。完成イメージにはユーザーの名前も入っており、気に入れば各種クレジットカードやApple Pay等を使い決済し、配送先情報などを入れるだけで注文は完了する。価格は1本あたり(内容量30ml)、49ドル(約5,500円)。30日以内であれば返品も受け付けるという。
画像:著者撮影
2017年11月29日現在App Store、Google Playでダウンロードできるが、デバイスは、iPhoneとSamsung Galaxyのみ対応。商品は小型の箱に入って送られてくる。
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