2021「ダブルイレブン」速報。若年層が牽引し消費力は堅調、注目の中国ブランドは?
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2021「ダブルイレブン」速報。若年層が牽引し消費力は堅調、注目の中国ブランドは?

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中国で「独身の日」とされる11月11日までの11日間、恒例のセールイベント「ダブルイレブン(双11)2021」が開催された。恒大集団の経営危機や電力不足など中国経済は試練を迎えているが、中国の消費者の購買力は底堅かった。今年のダブルイレブンで目立った化粧品業界の動きを速報する。

2021年のダブルイレブンは過度な割引が姿を消し、中国政府によるIT企業規制を意識してか、急激に上昇する取扱額の速報を取りやめるなど、かつてみられた“煽り”が乏しく、各報道でもアリババのサステナビリティへの取組みなどが強調されるなど、お祭り感が薄い印象は否めなかった。しかし、最終的な販売額など結果をみると各プラットフォームとも堅調だった。

最大手であるアリババグループ(阿里巴巴集団)のダブルイレブン期間中(2021年11月1〜11日)のGMV(流通取引総額)は、前年比8.5%増の5,403億元(約9兆6,173億円)。伸び率は縮小したものの、過去最高を記録した。同社のプレスリリースによると、今年のダブルイレブンには29万ブランドが参加し、うち65%が中小企業だったという。

ダブルイレブンに次ぐセールイベント「618」の2021年では、アリババはデータセンターにクリーンエネルギーを使用したり、宅配ボックスを増やすなどしてCO2排出量を前年比17.6%削減したことをアピールしたが、今回のダブルイレブンはさらに踏み込んだ施策を行った。

プラットフォーム内に「グリーン(緑色)会場」という特設コーナーを設け、省エネ性能に優れる家電をピックアップして並べた。アリババのオウンドメディア「天下網商」によると、同コーナーでは、省エネ性能が最高レベルの「国家一級」の家電が30万台以上売れたが、これらが継続的に使用されることで、年間3,000トンのCO2排出削減につながるという。

出典:天下網商

また天下網商によると、今回はECプラットフォーム「Tmall(天猫)」での成約額が100億元(約1,780億円)を超えるブランドが初めて登場。それはロレアルグループとアップルだった。

一方、業界2位のJD.com(京東集団)のGMVは、アリババを上回る28.6%増を記録し、3,491億元(約6兆2,140億円)と大きく伸びた。プレスリリースによると、同プラットフォームでもアップルが成約額100億元を超え、31のブランドが10億元(約178億円)超えを達成した。4万3,276店の成約額が前年の3倍に達し、新たに参加した中小ブランドの数は昨年より4倍以上増えた。

Tmallで最も売れた中国の美容ブランドはWinona

Tmallでの成約額が100億元(約1,780億円)を超えたのはいずれも海外ブランドだったが、その下をみると、躍進ぶりが目立ったのは中国ブランドだ。成約額10億元を超えたブランドは36あり、シャオミ(小米科技)やファーウェイ(華為技術)など、そのほとんどが中国ブランドで、美容ブランドではWinona(薇諾娜)が入った。Winonaは2012年創業、皮膚科医とともに開発した天然植物成分配合の敏感肌用スキンケアブランドだ。

出典:Winona公式サイト

中国ブランドが好調な一方で、越境ECプラットフォーム「Tmall Global(天猫国際)」も堅調だった。天下網商によれば、235の海外ブランドが成約額1,000万元(約1億7,800万円)を超え、100万元(約1,780万円)を超えたブランドの数は前年から46%増えた。

お祭り感が薄かったとはいえ、ライブコマースは今年も盛り上がった。ライブ配信プラットフォーム「タオバオライブ(淘宝直播)」では10万以上のブランドがライブコマースを行い、43ブランドが成約額1億元(約17億8,000万円)を突破。510のブランドが1,000万元(約1億7,800万円)を超えた。ジャンル別では女性アパレルのボリュームが最も大きく、化粧品は2位となった。

今年もライブコマースは隆盛
出典:天下網商

衰えることのないトップKOLの影響力、新興のQUADHAも

ライブコマースの影響も大きく、化粧品分野は極めて好調だった。報道によると、Tmallでの化粧品のGMVは初日の11月1日午後8時時点で、昨年の開始からの3日分を上回った。

11月1日の成約額は、エスティ ローダーとロレアルが10億元(約178億円)を超えた。5億元(約89億円)を超えたブランドはランコム、資生堂、The History of 后(Whoo) 、ゲラン、OLAYで、中国ブランドではWinonaが入った。

1億元(約1億8,000万円)超えを達成したのは36ブランドあったが、日本ブランドではコスメデコルテ、エリクシール、フリープラス、イプサ、ドクターシーラボ、資生堂の中国専用ブランドAUPRES、キュレルが入った。

中国ブランドではPROYA(珀莱雅)、Dr.Yu(玉澤)、Ulike、CHANDO(自然堂)UNISKIN(優時顔)パーフェクトダイアリー(完美日記)Florasis(花西子)PECHOIN(百雀羚)などが1億元超えを達成した。いずれも常連だが、そのなかで注目したいのはスキンケアブランド「QUADHA(夸迪)」だ。

華熙生物が2018年にローンチしたQUADHAは、ヒアルロン酸を配合した製品コンセプトが特徴でアンチエイジングをうたい、エステサロンにも商品を納めている。報道によると、予約販売開始の10月20日の販売額が3億3,400万元(約59億4,500万円)に達した。とくにエッセンスが人気で、それだけで1億3,000万元(約23億1,400万円)以上を売り上げたという。

ヒットの要因は、KOL(キー・オピニオン・リーダー)の活用にある。トップKOLのAustin(李佳琦)氏が中国のさまざまな土地に赴いて、現地の女性たちからのリクエストにもとづき地場の企業らと化粧品を開発していくという、インターネット番組「すべての女性へのオファー(所有女生的offer)」に取り上げられたことで、QUADHAは大きな話題になった。

さらにAustin氏は自身のライブコマースでもQUADHAを販売。トップKOLの影響力は絶大で、QUADHAのTmall旗艦店のダブルイレブン期間中の売上の92%は、このライブコマースによってもたらされたという。また、Austin氏が予約販売開始日の10月20日に扱った商品のなかでも、QUADHAの販売額が圧倒的1位だったという。購入者のコメントでも「Austinがきっかけで買った」というユーザーが多かった。

健闘した中国新興スキンケアブランド
「QUADHA(夸迪)」
出典:QUADHA公式サイト

JD.comも美容ブランドが好調で、現地メディアは予約販売期間中の10月31日午後8時からの4時間の間に、前年の1日分の美容商品を販売したと報じている。また、中国のSNS・Weibo公式アカウントでの投稿によると、ダブルイレブン期間中、265の美容ブランドの成約額が前年の10倍以上に伸びた。

ジャンル別トップ10は海外ブランドが優勢

天下網商は、ダブルイレブン期間中のTmallでのジャンル別販売額トップ10を発表した。それによれば、スキンケアカテゴリーの販売額トップ10は以下の通りだった。Winona以外はすべて海外ブランドで、ロレアルグループのブランドが3つ入り、強さが際立った。

1位 ロレアル
2位 エスティ ローダー
3位 ランコム
4位 The History of 后 
5位 資生堂
6位 Winona(薇諾娜)
7位 OLAY
8位 SK-Ⅱ
9位 ドゥ・ラ・メール
10位 ヘレナ ルビンスタイン

 出典:天下網商 ジャンル別販売額トップ10

そうしたなか、韓国ブランドThe History of 后の人気が根強いのも目立つ。韓国メディアによると、ダブルイレブン期間中の売上は61%増の3,294億ウォン(約329億円)だった。とくにエッセンスやアイクリームなどの7点を詰め合わせたセットが人気で、88万セットが売れたという。

好調の理由は、やはりライブコマースにある。10月20日には、Austin氏と双璧をなすトップKOL、viya(薇娅)氏がライブコマースで販売をし、同セットの販売額は1,000億ウォン(約100億円)に達した。また、TikTokの本家中国版「Douyin(抖音)」では30万セットが売れたという。

viyaのライブコマースで売上を伸ばしたThe History of 后
出典:タオバオライブのアプリ

メイクアップカテゴリーの販売額トップ10をみると、パーフェクトダイアリーとFlorasisが中国新興ブランドの筆頭としての存在感を示したが、ほかはすべて海外ブランドだった。

1位 イヴ・サンローラン
2位 エスティ ローダー
3位 3CE
4位 パーフェクトダイアリー(完美日記)
5位 Florasis(花西子)
6位 ジョルジオ アルマーニ ビューティ
7位 ランコム
8位 M・A・C
9位 クレ・ド・ポー ボーテ
10位 ジバンシイ

出典:天下網商 ジャンル別販売額トップ10

近年、中国で市場が急拡大しているフレグランスカテゴリーの販売額トップ10には、中国の新興ブランド2つが5位以内に入り人気の高さを示したが、他カテゴリーと同じくほかは海外ブランドだった。

1位 ジョー マローン ロンドン
2位 THE BEAST(野兽派)
3位 トム フォード ビューティ
4位 BOITOWN(冰希黎)
5位 イヴ・サンローラン
6位 メゾン マルジェラ フレグランス
7位 ブルガリ
8位 ジョルジオ アルマーニ ビューティ
9位 ディプティック
10位 ペンハリガン

天下網商 ジャンル別販売額トップ10

中国ブランドが躍進しているとはいえ、上位はやはり海外ブランドが強いのが現状だ。

「90后」「00后」の取り込みが急務

セールの熱狂という意味では盛り上がりに欠けながらも、アリババのGMVが前年を上回ったのは、「90后(1990年以降生まれ)」と「00后」の購買力にあるとみられる。前出の同社のプレスリリースによると、90后と00后が購入者全体の45%を占め、とくに00后は昨年より25%増えた。

また、JD.comのWeiboでの投稿によると、予約販売開始の10月20日の4時間における購入者の年齢分布は、18〜35歳が前年比70%増加した。若い世代の購入が増えたことが、中国ブランドのプレセンスを高めた一因になっていると考えられる。

しかし美容分野に限ると、現時点の情報からは、中国ブランドが大躍進したという印象をあまり受けない。依然として、グローバルで知名度のある大手海外ブランドが強かったのが実情だ。しかしながら、トップを追う中位グループには中国ブランドがひしめき合っており、し烈な競争が繰り広げられていることが想像される。

その状況において、日本を含む中堅規模の海外ビューティブランドが売上を拡大させていくことは容易ではない。11月1日時点で1億元を超えた日本ブランドの多くは資生堂傘下で、資生堂以外の日本ブランドの存在感が低下しているようにもみえる。人気KOLのライブコマースで日本製品が取り上げられることも少ないなか、ますます購買力を高める90后と00后に向け、どのようにアプローチし、ファンとして取り込んでいけるかが、中国市場での成功を左右する重要なカギとなる。

Text: チーム・ロボティア(Team Roboteer)
Top image: DEEMKA STUDIO via Shutterstock


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