進む化粧の低年齢化、中国「00后」に既存のマーケティング手法は通用しない
◆ English version: Makeup Marketing Needs Facelift to Target China’s post-00 Crowd
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少し前まで「化粧をしない」のが当たり前だった中国で、スキンケアやメイクの習慣化とともに早くも化粧品ユーザーの低年齢化が進んでいる。それを象徴するのが「00后(2000年代生まれ)」の存在だ。コスメ業界を中心に、「80后(1980年代生まれ)」や「90后(1990年代生まれ)」とは異なる考え方や価値観を持つ00后の特徴を解説するとともに、企業が「00后」にリーチするための取り組み方について紹介したい。
化粧品業界専門メディア「品観網」の調査によると、00后の80%は、14~16歳(中国は数え年のため、満年齢では13~15歳)で化粧品を使いはじめているという。90后の場合、80%が16~18歳(満15~17歳)で化粧品を使いはじめていたので、2年ほど早まっていることになる。
低年齢化の理由は、大人への憧れからくる背伸びではない。なぜなら購入者の90%は化粧品に求めるものを「効果」と答え、さらに「自分の肌に問題がある」と答えた人は95%にのぼり、肌トラブルを解決するために化粧品を購入していることがわかったからだ。加えて、購買力も上がっている。化粧品に対する年間支出額は、00后の80%が1,000元(約1万5,000円)以上、そのうち40%が4,000元(約6万円)以上を支出し、さらにそのうちの14%が1万元(約15万円)以上だ。
再生回数が40万回を超える小学生のメイク動画も
なぜ低年齢化が進んでいるのだろうか。1つには、インターネットへの依存度の高さがあげられる。幼少時からスマートフォンを持つことが当たり前の環境で育っているのは、日本などほかの国と変わりはないが、中国特有の事情がそれに拍車をかけている。00后は親子2代にわたって一人っ子が多いという点である。
一人っ子政策が始まったのは1979年だが、最初の世代である80后の親世代は兄弟が多いため、いとこも多く、身近に遊び相手がいた。ところが00后は、両親も一人っ子というケースが大多数のため、親戚が少なく、学校以外での人とのつながりが極端に少ない。その学校の友達とも、校外で会うことはあまりない。受験戦争の激化で勉強に割かれる時間がますます増えているからだ。そうなると友達との交流は、もっぱらサイバー空間ということになる。「RED(小紅書)」などのSNSからメイクやファッションの情報を得て、自分も試してみようと思うのに時間はかからないだろう。
00后が情報を得るのはSNSだけでない。この世代がとくに利用しているのは中国版ニコニコ動画と呼ばれる「bilibili(哔哩哔哩)」だ。運営するBilibili Inc.が2018年、米ナスダックの上場申請の際に提出した目論見書によると、ユーザーの81.7%はZ世代(1990~2009年生まれ)だ。同社が8月に発表した2019年第2四半期決算報告によると、同期の月間平均アクティブユーザー数(MAU)は1.1億だったので、単純計算すれば9,000万人がZ世代ということになる。そのうちの4~5割くらいを00后が占めていると推察される。
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