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活況のスリープテック&世界を変えるベビーテック。生活の質はこう高まる【CES2019】

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ここ数年で急速に注目されるようになったスリープテックとベビーテック。今年のCESでもそれぞれ専用エリアが設けられ多くのブースが賑わいを見せるなど、出展者、参加者ともに熱気が感じられた。2019年のトレンドを見ていく。

スリープテック3つのキーワード

昨年から20%展示規模が拡大したというスリープテック分野では、今年も多数の関連製品が出展された。機能性と利便性を兼ね備えたスマート寝具や、パートナーの睡眠不足を解消するいびき対策製品が増えるなど、より実用性の高い商品が揃った印象だ。

その意味で2019年のスリープテックのキーワードは、「寝具のスマート化」「いびき対策」「脳波モニタリング」の3つが挙げられる。

●寝具のスマート化

寝具そのものにセンサーを内蔵しスマートフォンと連携させるものと、市販の寝具をそのまま使えるように付属のマットレスや枕をスマート化させるという2つのアプローチが見られた。後者については、マットレスの上に敷いて体温をコントロールするシートや、枕の中または下に入れ、いびきを検知すると枕に傾斜をつける製品などがあった。

イタリア発の「MagniSmartech」は、スマートフォンから操作しベッドの角度を調整するほか、連携するスマートマットレスを使うことで心拍数、呼吸のリズム、寝相、体温、睡眠時間、部屋の温度、明るさと周囲のノイズレベルをモニタリングする。

MagniSmartech」ブース
(撮影:鈴木麻里子)

ベースとなるベッドは一台でも、マットレスを乗せる可動台がそれぞれ異なるので、パートナーと同じベッドで寝ていても各自の状況や好みに合わせた角度調整ができる。

またアラーム機能といびき検知機能もついており、アラーム時刻になると片側のマットレスが動き起床を促したり、いびきを検出した側のマットレスのみ自動的に動き、寝返りを誘うことでいびきの軽減につなげるなどの機能を備える。

●いびき対策

前述のMagniSmartechのようにいびき対策マットレスのほか、枕を活用したソリューションも多く見られた。

枕そのものがセンサーを内蔵し、頭部の位置を変えることでいびきを軽減するもの。また、手持ちの枕を使えるように、枕の中や下にバッドを挿入することで、眠りやすい温度に調節したり、いびきを検知したら上下または左右に膨らんで寝返りさせるものも見られた。そのほかいびき対策ではないが、ヒーリングサウンドによってリラックス効果を促すものや、心拍数や圧力を検知して眠りをトラッキングするものまで、枕が担う役割は多岐にわたっていた。

AIを搭載した「motion pillow」はユーザーの頭の位置を動かすことで、いびきの軽減を試みる。

独自アルゴリズムによって導き出された、“いびきを防ぐポジション”に頭を移動させるため、枕に内蔵された4箇所のエアーバッグのうち都度最適な箇所が膨らみ、自然にユーザーの頭を左右に動かすという。

(撮影:鈴木麻里子)

●脳波モニタリング

ヘッドセットを装着することで脳波をモニタリングし、意図的に眠りやすいリラックス状態を作り出す製品も複数登場している。

Dreemは、専用のバンドを頭に巻いて寝ると、脳波、酸素飽和度、心拍数などのモニタリングと計測を行うというもの。

夜の間に収集したデータは翌朝スマホアプリから確認できるので、ユーザー自らが睡眠に対する課題がどこにあるのかなど気づきを得ることができ、さまざまな対策を講じられる。またバンドを頭につけている間、骨伝導により睡眠の質とリラクゼーション効果を上げる特別な音を流す機能も備えている。

2018年に続き、「瞑想」をテーマにした出展も多く見られた。意識的にリラックスできるようになることで、スムーズに入眠しようという狙いもある。Museは専用のバンドを額にかぶせるようにして着け、スマホアプリと連携させて使う脳波測定デバイスだ。

イヤホンを着用すると、「目を閉じて深呼吸をして」などの音声ガイダンスが流れ、それに従いながら瞑想を行う。ユーザーがどのくらいリラックスできているかは、脳波を察知し、流れてくる「天候の音」でフィードバックされる。リラックスできていなければ、嵐の音。落ち着くと、穏やかな天候に変わるといった具合だ。結果はスマホアプリからも確認できる。

「鳥」マークは、より落ち着いた状態に
なると流れる「鳥のさえずり」が
何回聞こえてきたかを表している

エントリー数88%増。ベビーテックアワードを勝ち取った5社

ベビーテックエリアも、2018年に続き盛況だった。なかでも今年で4回目となるベビーテックアワードは、エントリー数が昨年から88%増えたといい、注目の高さがうかがえる。同アワードはベビーテックサミットとアワードの運営を仕切るLiving in Digital Times社が主催しているが、今年は、新生児向け商品を多く扱い、出産祝いのウィッシュリストがオンラインで簡単に作れるbabylistも主催に加わり、アワードに同社の名前がついた

Living in Digital Timesは、展示会が始まる前に行ったプレスカンファレンスで、ベビーケア製品のグローバルマーケットは、2026年までに1,090億ドル(約11兆9,140万円)になるという予測を紹介。これは、年平均で5%の成長率となる。またベビーモニター製品に限ると、2025年までに10億6,000万ドル(1,158億円)市場になるという。アワードの冒頭で挨拶にたった司会者2人は、2018年は150万人以上がbabylist上で2億ドル(約218億円)以上ものギフトを送ったと説明。こうした巨大市場に対し、どれだけベビーテック製品がマーケットシェアを拡大していけるかに注目が集まる。

アワードの冒頭で挨拶した司会者2人。
ともに母親という二人からは、
ベビーテックに対する期待が語られた

これだけ注目され、後述する受賞者が口を揃えて「ベビーテックは世界を変える」と発言するのは、育児をするなかでの課題や両親の負担、また目では判別しにくい子どもの体調といったものが、テクノロジーで解決しやすくなるからだ。

今回紹介する受賞サービスを見ても、今子どもがどこにいるのか分からないといった不安を解決したり、1日に何度も「なぜ?」を繰り返す子どもに対し、親の代わりに愛らしいロボットが答えてくれるなど、両親にとってストレスになりがちなポイントを無理なく解消する。また子どもの睡眠を常時見守ってくれるモニターは、両親の睡眠不足解消を助けるだろうし、正確な基礎体温を計るデバイスは、不妊治療に奮闘するカップルの精神的・身体的負担を軽くするかもしれない。コードレス搾乳機は、新生児や乳児を抱える母親にとっての搾乳問題を劇的に改善する。なぜなら搾乳は、従来は場所も選び、かつ時間もとられる負担の大きなものだったが、コードレスでどこでも使える搾乳機があれば、早期に職場復帰しやすくなるなど行動範囲が大きく広がるからだ。

つまりベビーテックがもたらす、子育てのしやすさと、親も子どもも精神的負担が少ないなかでのびのびと生活できるメリットははかりしれない。また、世界的に市場が広まるなかで、このベビーテックアワードで受賞企業としての認証を得るのは、間違いなく業界でのプレゼンスを上げるだろう。

アワードは、①「BABY HEALTH & SAFETY」、②「BABY PLAY & LEARN」、③「BABY SLEEP」、④「FERTILITY & PREGNANCY」、⑤「PARENTING」の5部門からなる。今年のCESでは最優秀企業の発表と同時に、受賞企業参加によるトークイベントが開催され、それぞれ自社プロダクトの内容や今後の抱負などが語られた。

受賞者によるトークイベント。
「ベビーテックは世界を変える」と口を揃えた

各部門の最優秀商品は以下のとおり。

①「BABY HEALTH & SAFETY」部門:Jiobit

子どもの居場所をリアルタイムにトラッキングする小型デバイスと、親がスマホから位置情報を確認できるスマホアプリを提供。位置情報というセンシティブな内容を扱うが、米国政府の基準を満たす高度なセキュリティと暗号化技術により、安全性を担保しているという。通学路や塾など、子どもの普段の行動範囲を設定しておくと、目的に着いたときや出発後に、親のスマホ宛にアラートが届く。また設定場所以外で子どもと一緒にいる場合でも、親のスマホを基点に行動範囲を設定できるため、人が多い場所で子どもが一人で遠くまで行ってしまったなど、危険を察知し警告するといった使い方もできる。

②「BABY PLAY & LEARN」部門:WOOBO

声で操作するWOOBOは、子どもたちの疑問にフレンドリーに接し答えるロボット。また、歯磨きが終わるまでの時間をカウントしたり、歌う、クイズを出すなど、家族のような距離感で見守ったりもする。開発元企業によると、子どもは6歳までに1万3,000語を理解するが、その全てを話すわけではないといい、WOOBOを通じて子どもたちに積極的な会話を促す。また米国では3歳から9歳の子どものうち、40万人が発達遅延により特別な支援を受けているとされ、こうした支援を必要とする子どもたちをWOOBOが優しく見守ることで、成長の手助けをする。ピンク、緑、紫の3色展開。耳が生え、コロンとした丸い形が愛らしいロボットだ。

③「BABY SLEEP」部門:MIKU

ウェアラブルのように身体に装着することなく、赤ちゃんの呼吸や睡眠パターンをトラッキングして表示するモニターデバイス。親は、連携するスマホアプリから、赤ちゃんを撮影した動画と呼吸パターンなどのトラッキング情報を常時確認でき(上記動画参照)、何か異常を検知した場合にはアラートを受ける。デバイスには双方向マイクがついているため、隣の部屋から子どもに話しかけて安心させたり、また子どもの寝かしつけに最適な子守唄を再生したりすることも可能。改ざん防止機能が組み込まれた暗号チップによって録画情報を保護するほか、クアルコムのプロセッサを採用し、万が一ネット接続が切れた場合でもローカルに切り替えて記録し続ける。これら2つの機能がMIKUの大きな特徴となっている。

④「FERTILITY & PREGNANCY」部門:Tempdrop

妊娠を望む女性の基礎体温測定を容易にするデバイス。排卵日を特定するために基礎体温をつけている女性は多いが、体調が悪い、夜通し幼い子どもの面倒を見て寝不足、夜型の仕事をしているなど、毎朝決まった時間に基礎体温を測り続けるのは簡単ではない。Tempdropは脇の下に貼り付けて寝るだけで、高度なセンサーと個人の睡眠パターンを学習する機械学習アルゴリズム、寝具や寝る位置など正確な体温測定の阻害要因を排除する特許出願中のアルゴリズムの組み合わせにより、正しい基礎体温測定を行う。使い続けることでより精度が高まっていくという。普段使用している他の妊活アプリとの連携も可能だ。

⑤「PARENTING」部門:Elvie Pump

コードレス搾乳機。小型で音も静かなのでブラジャーのなかにボトルごと入れて搾乳しためておくことができる(上記動画参照)。これで、外出時や仕事中などでも人目を気にすることなくいつでも搾乳できるようになる。また電源のオン・オフはスマホから操作できるため、わざわざ下着のなかに手を入れる必要がない。それぞれの胸から一度にどれくらいの母乳を出したか記録でき、以前に比べて量が少なくなったなど、自身では気づくにくいポイントも可視化される。母乳をためておくボトルは洗って繰り返し使えるだけでなく、蓋を閉めればそのまま冷蔵庫で保管もできる。

日本からもベビーテックスタートアップが出展

今回は日本からも、ジェトロ主導のJ-Startupパビリオンで、押すだけでクラウド上に赤ちゃんの排泄を記録するボタン「うんこボタン」が出展されていた。また、まだCESへは出展しないまでも日本国内で関連スタートアップが出始めている。たとえば2019年1月には、クラウドファンディングから始まり、現在ベビーフードのD2C事業をリリース予定の 「MiL」がエンジェルラウンドでMTG Venturesや元陸上選手の為末大氏などから資金調達を実施した。市場活況をうけ、来年のアワードには日本企業の姿も出てくるのではないだろうか。

Text&Photo:公文紫都 (Shidu Kumon)
スリープテック取材協力:鈴木麻里子(すずまり)

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