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中国で「マスクメイク」が大きなトレンド、アイメイク製品やスキンケアも好調な売上

◆ English version: Mask-conscious makeup boosts eye makeup and skincare sales in China
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世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、人々の生活様式は一変した。中国の美容業界も例外ではない。大きな変化の1つは「マスクメイク」トレンドである。外資、内資の各ブランドがブームの兆しをいち早く読み取り、競い合うようにプロモーションを展開、好調な売上につながっている。また、マスクによる肌荒れから敏感肌向けのスキンケアも伸びている。

近年、深刻な大気汚染に見舞われている中国だが、微小粒子状物質(PM2.5)の数値が多少高くても、これまでは街中でマスク姿を見かけることは非常に少なかった。しかしCOVID-19の感染が拡大すると、地下鉄やオフィスビルなど公共の場での着用が義務付けられ、マスクは欠かすことのできない存在になった。これが引き金となり、マスクを着けるのを前提としたメイクアップが、中国でも注目されるようになったのだ。

SNS上にはマスクメイクに関する膨大な数の投稿が見られ、Weiboではマスクメイクを意味する単語が入ったハッシュタグが多数存在する。最近では人気女優・張予曦の動画が話題になり、ハッシュダグ「張予曦マスクメイク」の閲覧数は4億を超える。

マスクメイクを指南するメイク動画の多くは、アイメイクの仕方や化粧崩れしにくいメイクの方法などを紹介するものだ。現地の報道によると、アリババグループの「タオバオ(淘宝)」で2020年2月19日に配信されたマスクメイクのライブ動画は、820万人が視聴したという。

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人気女優・張予曦が公開した
マスクメイクの動画

ロレアルはブランドごとにマスクメイクを提案

マスクメイクの流行は市場にも変化をもたらした。アイメイクが強調されるようになり、関連アイテムの販売量が増えている。

家電量販中国大手の蘇寧グループによると、同社のECサイトでは、2月9日~3月5日のアイブロウ用ペンシルやパウダーの売上は前年同期比で112.7%増え、アイライナーは129.6%増、マスカラは106.2%増、アイシャドウは126.3%増と軒並み増加している。ブランド各社がマスクメイクを念頭にしたプロモーションを積極的に展開していることも一因だ。

ロレアル チャイナはWeiboの公式アカウントでさまざまなマスクメイクを提案している。ロレアル パリに加え、グループ傘下のアルマーニ、イヴ・サンローラン、シュウ ウエムラなどの、ファンデーションからアイメイクまでをそれぞれのブランドで統一したメイクのビフォー/アフターの画像を投稿。それをリツイートして、自分なりのマスクメイクのコツを披露した投稿者1名にアルマーニのリップをプレゼントするキャンペーンを展開した。これにより、同グループのアイシャドウの売上が伸びたという。

また、仏ロレアル傘下の中国ブランド「羽西(YUESAI)」は、TikTokの本家中国版「Douyin(抖音)」で13日連続のライブ配信を行なったが、マスクメイクもテーマの1つに取り上げられた。

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ロレアル チャイナによる
マスクメイクに関するWeiboの投稿


M・A・CはSNS上でコンテストを開催

一方、M・A・Cは2月にSNS型ECアプリ「小紅書(RED)」でマスクメイクイベントを実施した。同ブランドのアカウントをフォローしたうえでハッシュタグ「口罩戦疫(マスクで疫病と戦う)」、「画眉点睛(画竜点睛をもじった造語)」を付けて自分のマスクメイク画像を投稿すると、3名に同社のアイメイク商品がプレゼントされるというものだ。

また、感染拡大で多くの店舗が休業を余儀なくされたことから、M・A・C店舗に所属する8名のメイクアップアーティストがマスクメイクの技を競うコンテストを開催。参加アーティストに「いいね」をしたユーザーのなかから抽選で1名に商品をプレゼントした。いずれのメイクもクリエイティブ重視ではあったが、フォロワーからの反響は大きかった。

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M・A・Cのメイクアップアーティストの
コンテスト

中国ブランドも積極的にプロモーションを展開している。「PerfectDiary(完美日記)」はTmallと共同でマスクメイクのキャンペーンを展開。アイシャドウパレットやマスカラなどをPRし、Weiboでも告知した。とくにアイシャドウの販売が好調だったという。

同じく新興ブランドの「Judydoll(橘朵)」は、REDでマスクメイクがテーマのライブ動画を配信。商品購入者先着1,000名にアイシャドウをプレゼントするキャンペーンを展開した。また、Weiboでも同ブランドの商品を使用するマスクメイク動画を投稿したところ、2万回以上再生された。

HUDA BEAUTYのアイシャドウパレットが1秒で完売

アイメイクの市場拡大は、新規参入ブランドにも追い風となっている。イラク系米国人の美容系ブロガーが立ち上げた「HUDA BEAUTY(フーダビューティー)」は3月25日、アリババ傘下の越境EC「天猫国際(Tmall Global)」に旗艦店を出店。オープン初日には30万以上のユーザーがアクセスし、人気のMercury Retrogradeアイシャドウパレットは649元(約9,700円)と高額ながら、わずか1秒で完売した。

創業者のフーダ・カタン氏は「Tmall Globalへの進出は、ブランドが中国市場で展開するための大事な一歩だ。これによって、中国の市場と消費者への理解をより深めたい」と述べている。

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わずか1秒で完売した
アイシャドウパレット
出典:Tmall Globalの
HUDA BEAUTY公式ショップ

アイメイク商品はほかの海外ブランドも好調で、Charlotte Tilbury(シャーロット・ティルブリー)のTmall Globalでの1~3月の売上は前年の同じ時期の10倍、Anastasia Beverly Hills(アナスタシアビバリーヒルズ)は30倍と驚異的な伸びを示している。

スキンケアブランドの売上もアップ

マスクメイクの流行がもたらす影響はアイメイクだけではない。長時間のマスク着用が肌荒れの原因ともなることから、スキンケア用品の売上も伸びている。

EC大手の京東集団(JD.com)傘下の「京東美粧」は4月19~24日、美容のエキスパートがスキンケアについての消費者からの質問に答えるオンラインイベントを実施した。マスクメイクに関する質問も多数寄せられ、長時間マスクをつけていると皮膚バリアが傷つき、敏感肌の症状が悪化する場合があるので、スージング(鎮静)効果のある機能性スキンケア用品を使うことで修復効果を得られるなどのアドバイスがあった。

同時に京東美粧では、アベンヌやセタフィル(Cetaphil)、WINONA(薇諾娜)など、国内外のスキンケアブランドとともに敏感肌向け化粧品のセールイベント「敏感肌品類盛典」を開催。同期間の売上は前年同期比111%増となった。なかでもアベンヌが226%増、WINONが329%増と大幅に売上を伸ばした。

影響は中国本土にとどまらない。昨年、アリババグループとの提携を発表したARメイクアプリを提供する台湾発Perfect Corp.は4月8日、「YouCam Makeup」がマスクメイク対応の機能を実装したと発表した。画面上で黒、紫、赤など多彩な色柄のマスクを着け、それに合わせたアイメイクをバーチャルで試せるようになった。同社の張華禎総経理は「実用的で美しいマスクメイクを世に送り出し、防疫を進めつつ、マスク着用をファッショナブルにする」と狙いを明かす。

4月の輸出統計が4カ月ぶりに前年同月の水準を上回るなど、中国では経済活動が戻りつつあるが、人々がマスクを手放すまでには至っていない。新規の感染者がほとんど発生していない上海市でも、いまだに地下鉄などでのマスク着用が義務付けられているのが現状だ。「しばらくコロナ禍は続くだろうし、生活スタイルもそれに合わせざるをえないので、どうせなら楽しもう」という考えが、消費者の間に生まれてきているとの見方もある。

中国では秋頃から再び感染が広がる可能性も指摘されているだけに、とくに若年層には、このままマスクが日用品として定着しそうだ。このことからもマスクメイクブームは当面の間、継続しそうである。

Text: チーム・ロボティア(Team Roboteer)
Top image: WAYHOME studio via Shutterstock

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