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オルビスのIoTサービス「カクテルグラフィー」、3カ月めの手応えとこれからの展開

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独自開発のIoT肌測定デバイスとアプリにより、パーソナライズしたスキンケアを届けるオルビスの新サービスがリリースされて約3カ月。ユーザーの反応や、みえてきた課題、今後の展望についてレポートする。

オルビスがリーチできていなかった層の取り込みに成功

オルビスは、いつでも自宅で自分の肌測定ができるIoTデバイス「skin mirror(スキンミラー)」を用い、一人ひとりにパーソナライズしたスキンケア3本セットを1カ月ごとに届けるサブスクリプション(定期販売モデルサービス)「cocktail graphy(カクテルグラフィー)」を、2021年4月12日にスタートした。

そこから約3カ月を経た現在、販売状況やユーザーの反応など、初動はどのようになっているのか。プロジェクトリーダーであるオルビス株式会社 新規事業開発グループ グループマネジャー 田村陽平氏に聞いた。

「手応えとしては、良い面と今後の課題の両方がみえてきたというのが、率直なところだ。良かったこととしては、獲得ユーザーの構成比率で、これまでオルビス商品を使用されたことがない新規顧客が3割を占め、一度以上は購入されたが、過去1年は買っていただけていない“スリーパー”と呼ばれる層が約2割となった。オルビスのコアファンだけではなく、新しいユーザーにもリーチするという目標は達成できていると思う」(田村氏)

あわせて田村氏は、年代別のユーザー構成についても「30代45%、40代25%、20代20%」となっていると明かし、「30代がメインであるのは、ほぼ想定どおりで、むしろ、20代が思った以上に興味を持ってくれている」と話す。

一方で、「カクテルグラフィーがどんなサービスなのか、何をやってくれるのかということなど、市場に対して、提供価値を十分に伝えられていない」ことを、田村氏は課題に感じているとする。

スキンミラーとアプリを連動させパーソナライズを実現

まずは、カクテルグラフィーのサービスの概要をみていこう。

田村氏によると、カクテルグラフィーの着想は2019年末、1枚の洗面所のイラストから始まった。洗面所という日常のスキンケア空間を基点に、「自分の肌だけに向き合える」パーソナライズスキンケアという考え方の原点だ。

カクテルグラフィーのブランドサイトからサービスを申し込んだユーザーの自宅には、オルビスが独自開発した肌測定IoTデバイス、スキンミラーが届く。手のひらサイズのデバイスを頬に当てるだけの簡単な動作で肌画像の撮影と解析ができ、結果は「うるおい」「なめらかさ」「バリア機能」「ハリ・弾力」「透明度」の5項目で表示される。洗面所の鏡に接着できる本体デザインは、肌状態が気になると思った瞬間や、日々の洗顔のあとのルーティンとして、気軽に肌の測定をしてもらうためだ。

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スキンミラーによる肌測定イメージ

肌測定には2つの大きな意味がある。1つはユーザーが最新の自身の肌状態をいつでも知ることができること。2つめは、定期的な測定を続けることで、肌の変化をトラッキングし、より効果的なスキンケアのあり方を導き出せる点にある。

このスキンミラーで取得した肌のセンシングデータは専用アプリに自動連携する。加えてアプリでは、ユーザーが住む地域の天候データ、肌悩み、生活習慣データを加味して総合的に解析したバランススコアとして肌状態が確認できる。こうした解析結果をもとに、数百とおりの組み合わせから一人ひとりの肌状態にあわせて3本のパーソナライズスキンケア商品が毎月届けられる仕組みだ。さらに、肌の変化に合わせて、3本の組み合わせは毎月アップデートするため、測定を重ねることで、日々変わりゆく肌に応じて、毎月届くパーソナライズスキンケアを更新させていくのも可能である。

3本の構成は「今の肌の悩みにアプローチする美容液」「未来の肌のトラブルをケアする美容液」、そして「肌性と好みのテクスチャーにあわせた保湿液」となっている。美容液2本のボトルには、さまざまに用意された機能のうちのどのタイプかを示すカラーが付されているが、同じ色のボトルでも中身の選定はユーザーによって異なるほか、保湿液もパーソナライズされている。

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美容液2本+保湿液の3本セット

手持ちの化粧水を使ったあとに、3本をそれぞれ付属のスポイトで適量を手のひらに垂らして混ぜてから使用する。肌の状態や気分に応じて、美容液や保湿液の量や割合を変えたり、あるいは、目元の乾燥など気になる箇所にポイント使いをするといった、自分なりの調整もできる。このように使い方にいわば“余白”を持たせたのは、パーソナライズした商品だからこれが最適と押し付けるのではなく、ユーザーが自分の肌と向き合いながら、毎日のケアを楽しみ、それぞれにとっての“正解”をみつけてもらいたいという願いを込めてのことだ。

一人ひとりのユーザーの歩みをサポートする姿勢は専用アプリにも反映されている。スキンミラーによる肌測定結果は記録され、“肌の持つ力”を示す5項目はバランススコアに加えて、項目ごとの推移をグラフで確認できる。これにより、自身の肌のリズムを直感的に理解し、変化の過程を追ってより良いケアにつなげていける。また、1日の始まりと終わりには、各自の今の肌状態にあわせた時間帯別のおすすめお手入れ情報も届く。さらに、1シーズン(3カ月)利用後には、そのシーズンの肌データを分析し、肌の傾向と次のシーズンに向けたアドバイスをまとめたシーズンレポートが配信される。

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肌の解析結果としてアプリに表示される
バランススコア

より手厚いユーザーサポートと認知拡大を推進

ユーザーからのフィードバックとしては、「簡単に肌状態を測れるところがいい」「美容液のテクスチャーや香りが好き」といったポジティブなコメントの一方で、「肌測定をどのくらいの頻度ですべきか?」「美容液を混ぜる順番はあるのか?」などの質問や、とくに使い始めは「使い方がわかりにくい」とする声もあったという。「実際に顧客に利用してもらうことで、カバーできていなかったサポート体制も明らかになり、それらの声を真摯に受け止め、日々の改善に反映していく」と田村氏は話す。

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使い方をストーリーズでも紹介
出典:Instagramのカクテルグラフィー
公式アカウント

カクテルグラフィーの販促としては、サービスの概要のほか、スキンミラーでの正しい測定方法や美容液の使い方、アプリに表示されたバランススコアの見方などを、実際に現物を使用しながらオルビス社員が説明するInstagramライブを、これまでに3回開催している。「スキンミラーを起点に『自分の肌だけに向き合える空間』が自宅にやってくることで得られるベネフィットや、カクテルグラフィーがあることで広がるスキンケアの楽しみ方など、日々の生活に取り込んでもらえるような訴求をしていく」(田村氏)として、こうしたSNSを活用した認知拡大のための施策には今後さらに注力する予定だ。

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出典:Instagramのカクテルグラフィー
公式アカウント

オフラインでは、新宿マルイ本館内の体験型店舗 b8ta Tokyo - Shinjuku Maruiにカクテルグラフィーを展示しており、スキンミラーやパーソナライズスキンケアを手にとって試すことができる。その場で公式ブランドサイトにアクセスしてサービスを申込むことも可能だ。

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b8ta Tokyo - Shinjuku Marui

さらに精度の高いサービスの実現に向けて

スキンケアを始めたいが、何が自分にあっているのかわからないという男性とも、カクテルグラフィーは相性が良さそうだ。実際、現在ユーザーの1割が30〜40代の男性であるという。もとより、IoTデバイスによる測定をもとに肌状態をスコアとして可視化し、自分だけのためにパーソナライズしたスキンケアを届けるというサービス構造に、科学に裏打ちされた信頼性と納得感を感じる人は、性別を問わず少なくないはずだ。

「2017年、オルビスではリブランディングを含め、中期計画を再構築するプロジェクトを立ち上げ、あわせて10年後のブランドのあり方を思考した。そのなかで、人が本来持つ力を引き出し、一人ひとりの肌に寄り添うというオルビスの創業フィロソフィーに照らしても、『パーソナライゼーション』はオルビスこそやるべきだとの認識が、当時すでに自然にあった」と、田村氏はカクテルグラフィーのコンセプトのルーツを明かす。

「また、10年後と言いつつも、(技術革新の速さを思うと)実際には5年後くらいにはできているかもしれないという思いもあった。だから、10年後として描いたものを確実に実現するには、早期に着手して、トライアル&エラーを繰り返して、5年後には多くのユーザーが使用しているサービス状況を目指さないと出遅れると考えた」(田村氏)

オルビス株式会社 田村陽平

オルビス株式会社 新規事業開発グループ
グループマネジャー 田村陽平氏

加速度的に進歩するテクノロジーは、より洗練された、使い勝手に優れたガジェットやアプリを具現化し、5年を待たずにカクテルグラフィーが誕生した。スキンミラーと専用アプリは、ユーザーが能動的に自身の肌と向き合い、そのポテンシャルを高めていくことに伴走する。ブランド側にとっては、提供するスキンケアの精度と効果の向上につながると同時に、貴重なユーザーデータの蓄積ができ、サービスに磨きをかけるのみならず、新たな展開への応用も期待される。ユーザー数が増えれば増えるほど、肌測定の頻度が上がれば上がるほど、カクテルグラフィーのパーソナライゼーションは深化する。カクテルグラフィーでは一層の普及のための施策が日々進行している。

Text: そごうあやこ (Ayako Sogo)
Top image & Photo: オルビス株式会社

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