泡シャワー「KINUAMI」、繊細男子向け「BOTCHAN」、異業種こその大胆さ
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まったくの異業種から化粧品市場に参入する事例はこれまで大手企業が多かったが、中堅の墓石メーカーと消防関連企業の参入に今回はスポットをあてたい。枠にとらわれないユニークなアイディアと、SNSやクラウドファンディングなどの時代に沿った仕組みをうまく利用することで美容業界に参入する手法を聞いた。
日本で、異業種の化粧品事業への参入が目立ち始めたのは1960年代頃、製薬メーカーが医薬品に使われる有効成分を化粧品に応用しはじめたのが発端だ。その後、1990年代には日本盛、白鶴酒造などの酒造メーカーが酒造りに欠かせない酵母などの技術を応用した化粧品を、また味の素がうま味成分であるアミノ酸の研究成果をもとに化粧品を開発した。
2006年には、製薬会社でも食品会社でもない富士フイルムが、フィルムの材料に含まれるコラーゲンや、写真プリントの色褪せ防止に役立つ抗酸化技術を活用した化粧品「アスタリフト」を発売し、業界に強烈なインパクトを与えた。2010年代には、江崎グリコのナノグリコーゲンを配合した「gg」、サントリーの酵母の研究成果から誕生した「F.A.G.E.[エファージュ]」などが続いている。いずれも、資本力のある大手企業が本業で長年培ってきた技術を化粧品に応用し、事業の多角化を図るケースが多かった。
最近では、まったくの異業種、かつその企業自身が美容に応用できる技術をもっていなくても、異業種コラボレーションや、エッジのきいた販売戦略で注目を集めている事例がある。その代表ともいえる、「KINUAMI(絹浴み)」と「BOTCHAN」を詳しく紹介する。
消火の泡生成技術を応用し、開発された泡シャワー
「KINUAMI」は、シャワーヘッドから生成される天然シルク由来成分配合の泡で全身をパックして、洗身後の肌をトリートメントすることができる「カラダトリートメントシャワー」だ。LIXILの100%子会社であるNITTO CERAと、創業110年以上の歴史を持ち、消防車・防災機器の製造、販売を行っているモリタグループのモリタ宮田工業、クラウドファンディングプラットフォームのMakuakeの3社による異業種プロジェクトから誕生した。
Makuakeで紹介されたKINUAMIのコンセプトムービー
発端は、消火のための泡生成技術に知見をもつモリタグループが、介護向け商品として泡を応用できないかと泡シャワーを考案。プロトタイプを制作し、2017年9月に開催された国際福祉機器展で展示したのをNITTO CERAが見つけ、コラボレーションをもちかけたのがきっかけだ。「40℃近い温かくてキメの細かいもっちりとした泡に包まれる感覚は、これまでにない入浴体験を提供できる。無限の可能性があると感じた」とNITTO CERA 代表取締役 社長 浅野靖司氏はいう。
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