英ラッシュCDOに聞く、NFTからサステナブルまでDXで実現する豊かなブランド体験
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英ラッシュCDOに聞く、NFTからサステナブルまでDXで実現する豊かなブランド体験

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新鮮な野菜や果物を使って手作りされるナチュラルコスメブランドのラッシュが、原宿にある世界で唯一のLush Labsコンセプトショップに、NFTアートを含むアプリ限定商品の没入体験ができるポップアップスペースをオープンした。デジタルを駆使した実験的なプロジェクトで豊かな顧客体験とコミュニケーションの創出を目指すその戦略について、CDOのジャック・コンスタンティン氏に話を聞いた。

アプリからのみ買える限定ボックスをポップアップで発表

「(ポップアップスペースを開設した)世界でただ1つLush Labsコンセプトショップと称されるLUSH 原宿店は、2019年にバスボム開発30周年を記念してオープンした。私自身、日本からはいつもインスピレーションを受けている。とくに日本の入浴文化から学ぶものはとても多い。原宿を選んだのは、世界に知られる街であり、独特のスタイルや雰囲気を持っているからだ。数年前に来日したときは、あるインフルエンサーの案内で原宿を歩き回ってさまざまなアイディアやヒントを得ることができた。その成果を今回は新商品という形で原宿に持って帰ってくることができてうれしく思っている」

こう語るのはラッシュのCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)で、商品開発にも直接携わるほか、マーケティングやブランド戦略など幅広い領域にかかわるジャック・コンスタンティン氏だ。今やラッシュの「ショップの顔」ともいえる、壁一面にむき出しのバスボムがずらり並ぶウォールディスプレイも、原宿店で最初に導入されたもので、同店舗の特別さがうかがわれる。

ラッシュの共同創立者であるコンスタンティン夫妻の息子である同氏は、母親が開発した初期のバスボムを複数の層にするという再開発を行い、お湯のなかでさまざまな効果やバスアートを楽しむことを可能にした立役者でもある。バスボムへの思いはひときわ強いように感じられる。

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LUSH LABS ポップアップスペース

2021年8月20日、ラッシュでは、デジタルによる新しい試みの実験場と位置付けるLush Labsアプリをアップデートして、同アプリからのみ購入できる限定ボックス「ユニコーンプープ ボックス」を発表するとともに、ボックスの世界観をリアルに体験できる期間限定ポップアップスペースをオープンした。

ユニコーンプープ ボックスには、「自分を貫き、夢を叶える」象徴であるユニコーンが落としたプープ(うんち)をイメージした虹色のバスボムやバブルバー、ソープに加え、プラスすることで自分だけのお湯のバスアートが作れるプラスチック不使用のバス用グリッター3種を詰めわせている。また、ラッシュ初のNFT(非代替性トークン)アートが手に入るカードも同封されている。印字されたQRコードを読み込むことで、ユニコーンプープ ボムがデジタルアートとして楽しめる仕掛けとなっている。

ラッシュの企業資産の一部として仮想通貨の購入も提言したというコンスタンティン氏。「NFTの可能性には注目している」として、ラッシュの商品を買い集めることが大好きなファンが世界中に多数いることをあげ、ラッシュオリジナルの「NFTで真正性を認証されたコレクティブアイテム」をコミュニティに提供する意義を説き、今後もNFTアートを発表していくことや長期的にトレードが可能な商品をつくるなど、デジタルトレーディングの方向性を考えていると示唆する。

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ユニコーンプープ ボックス

Lush Labsアプリでポップアップへの入室から世界観への没入体験まで

ポップアップスペースもLush Labsアプリと連動した設計だ。壁やマジックミラーで遮られて外からは内部がわからないスペースの扉は、同アプリ内のミニゲームをクリアして解除コードを入手することで開く。待っているのは、ユニコーンプープ ボックスの中へ足を踏み入れたかのような七色に彩られたユニコーンのバスルームで、鏡に映った来場者の顔を認証してユニコーンのマスクをかぶせてくれるスマートミラーなど、SNS映えする演出が施されている。

また、ラッシュのシグネチャーである、使うときにゴミになってしまう包装をまったく無くした“ネイキッド商品”のバスボムにアプリをかざすと、詳しい商品情報やバスボムが溶けていくときの様子がわかる動画コンテンツが閲覧できる。

Lush Labsボックスとポップアップスペースは、ユニコーンプープを第一弾として、今後3カ月ごとに新たなコンセプトを展開し継続していく予定だ。

「どこからでも商品の検索やショッピングができる通常のLushアプリに対し、Lush Labsアプリは実験的な体験型アプリだ。近い将来的には入浴中のライティングや音楽をコントロールするなど、自宅で楽しめてバスタイムを豊かにするコンテンツや機能を装備するなど、入浴時のデジタルアシスタントアプリとして進化させたい。商品の企画としては、これはトップシークレットだが、日本市場に向けたバスボムも検討中だ」(コンスタンティン氏)

デジタルをキーに再生可能なビジネスモデルを構築

前述したように共同創立者の息子として、コンスタンティン氏はラッシュ製品や両親の働く姿を身近にみながら育ち、「決して強制されたわけではない」がラッシュの事業に参画することは自然な成り行きだったという。10代の頃から当たり前にネット環境があるミレニアル世代でもあり、デジタルはインスピレーションを刺激してくれるもので、「社会に対して、デジタルテクノロジーを活用して会社として何ができるのか」を常に考えてきた。

コンスタンティン氏が主導して、2013年にはラッシュのグローバルビジネスを支援するクラウドベースであり、モバイルを駆使した技術インフラをビジネスに融合させることを目的に「Lush Digital」を設立。2016年には、基本的な人権としてのインターネットアクセス権を保護するためのデジタル基金を発足して、現場での活動に25万ポンド(約3,800万円)を投資し、世界各地で行われる政府や行政機関による一方的なインターネット遮断に立ち向かうため、Access Nowとの共同キャンペーンも率いた。

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ラッシュCDO 兼 商品開発者
ジャック・コンスタンティン氏

一方、社内においては「これまでリテールや製造の現場にデジタルをどう持ち込むかを試してきたが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックで、デジタルが会社にとっての最前線になった」とコンスタンティン氏は明かす。実店舗の休業のみならず、サプライチェーン全般にわたる困難により、ラッシュが“キッチン”と呼ぶ商品の製造現場が不自由を強いられるなか、さまざまなレベルでDXを進め、生産体制の安定化と顧客とのつながりを確保することが企業として急務になったのだ。

新鮮な野菜や果物を使った100%ベジタリアン対応のナチュラルコスメブランドで、可能な限り合成保存料に頼らない処方で手づくりした製品コンセプトを掲げるラッシュは、一見、人工的なテクノロジーとは相容れないようにも映る。しかし、コンスタンティン氏は「もちろん、私たちはテクノロジーを大量生産のために使うことはしない。ラッシュにとってデジタルとは、より良きカスタマーエクスペリエンスを創造するためのものだ」と話す。同時に、持続可能なビジネスを構築するうえでも、デジタルがキーになると強調する。

「ラッシュは化粧品業界において、ゴージャスやグラマラスをうたう方法以外のやり方があることを世に示してきた。サステナブルやエシカルなど、それまでとは違う価値を消費者に選択肢として提供してきたといえる」(コンスタンティン氏)

この路線と哲学は変わらないと明言しつつ、サステナブルなビジネスモデルで業界を引っ張っていくリーディングカンパニーを目指すとする。その実現に欠かせないのが的確なデジタル戦略で、今後もDXを積極的に推進すると話すコンスタンティン氏は、その過程で忘れてはならないことがあると笑顔で付け加えた。「ユニコーンプープみたいな、遊び心やユーモアを持ってやっていくことだよ」

Text: そごうあやこ (Ayako Sogo)
Top image & Photo: ラッシュジャパン

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