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花王のスマートガーデン、CO₂活用と植物抽出エキスの高機能化プロセスのイノベーション

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花王は、佐賀市に構築した植物工場「スマートガーデン」において同市清掃工場から排出されるCO₂を利活用しローマカミツレやローズマリーを栽培。それらを原料として高機能の植物エキスを生産するまでの独自加工技術を確立した。生産した植物エキスは花王製品への活用のほか、海外を中心に販売も想定しているという。現地を取材するとともに関係者にその全容を聞いた。

※<追記>2024年7月4日のリリースにて、花王は同9月6日に改良新発売するプレステージブランド「est」の最高峰 エイジングケアライン「G.P.」の2商品、「エスト G.P.セラムイン ローション」と「エストG.P.セラムイン エマルジョン」に、スマートガーデン産のローマカミツレエキスとローズマリーエキスを保湿成分として配合すると発表


サステナブルかつ高純度・高機能なエキス生産を可能とした花王のスマートガーデン

花王が佐賀市に構築した植物工場「スマートガーデン」は、CO₂や再生エネルギーを活用して効率的に高品質な植物を栽培する。また、収穫からエキスを抽出する工程でも不純物を低減し、植物エキスを高純度化することで高い効能を実現する工夫がある。つまり、サステナブルなだけでなく、高機能のエキス生産も同時にかなえる仕組みだ。

スマートガーデンは光量、CO₂濃度、温度、湿度などの環境をコントロールした植物工場ではあるが、米国で展開するOishii Farmなどで知られる完全閉鎖・完全人工光型の植物工場とは異なり、半閉鎖環境で日中は太陽光を利用しながら、所在する佐賀市の気候を生かし、各種センサーによる自動環境制御システムで栽培植物に常に最適な環境となるようにコントロールしている。

植物工場を含む施設園芸農業においては、従来から施設内の空気にCO₂を添加することで、植物の成長を促進する手法が知られており、農家では専用に販売されているCO₂ボンベを利用したり、灯油を燃やすことでCO₂を作り出したりしている。しかし、スマートガーデンではこのCO₂を、佐賀市公営の施設である佐賀市清掃工場でごみを焼却する際に発生するCO₂でまかなう。

佐賀市清掃工場からスマートガーデンのビニールハウスまでは、CO₂をパイプで引き、植物の株元に放出して、光合成を促進している。これにより、花王の試験条件下では、CO₂添加なしの場合より植物の生長速度が20%上昇したことも確認しているという。また、水耕栽培に使用する水は、繰り返し循環利用することで、露地栽培と比較して、使用量を約40%に抑えている。使用する電力は地熱・水力発電の電力だ。

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