ASEANの美容予約プラットフォーム、市場を制するための条件とは?
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急速に整うインターネット環境とみるみるうちに普及するスマートフォン。東南アジアのIT事情は、目を見張るスピードで日々変化している。美容スタートアップも例にもれず、ASEAN各国でも美容産業が成熟しつつある大都市から続々と誕生している。
シンガポールは、東京都23区ほどの大きさで人口約450万人。一人当たりのGDPは52,600米ドルと今や日本を上回り世界第3位、IT立国の旗印のもと進んだインフラ、150%近いスマートフォンの普及率を誇る。東南アジアのなかでも異色の存在だが、ASEAN域内へのゲートウェイ、テスト市場として注目される都市国家である。
シンガポールの美容予約プラットフォーム
国内の美容産業をみると、現在18,000(個人事業主を入れると20,000)近くの美容サービスがあるとされている。特に成長著しいスタートアップの輩出が目立った2015年、美容サービス検索・予約プラットフォームのVanitee.com(本社:シンガポール)がローンチ、それを追いかけるように、同年12月にロケットインターネットが後押しするVaniday.com(本社:アラブ首長国連邦)が参入した。(Vanitee.comは国内初のプラットフォームではなかったが、それ以前のサービスで今も継続しているものはない。)
Image: Rune Enstad via Unsplash
シンガポール発のVaniteeは、コスメのサブスクリプションを手掛けていたVaniteeTrove社が、日本のホットペッパーなども参考にしながら世に送りだしたプラットフォーム。2013年にシンガポール政府からシードラウンドの資金を得たのち、日本を含む海外からの投資を受けるなど順調なスタートを切った。現在、約2,800の個人事業主や企業が登録し、15,000種類のサービスを提供している。
Vaniteeは、各種美容系サロンのほかに、訪問や自宅などでサービスを提供する個人事業主を積極的にリスティングしているのが特徴だ。利用する登録者数は約3万人、平均単価は約80シンガポールドル(約6,400円)で、2017年にはプラットフォーム全体で累計7,500万シンガポールドル(約59.7億円)の取引額を計上した。同社のダグラス・ンCEOによると、この額は、「シンガポール全体の美容産業の取引高の約10%にあたる」という。目下、アプリの改良や年内に予定するマレーシアでの展開に向けて準備が進められている。
競合とのシェア争いは激化、マレーシアスタートアップも参入
一方で、唯一の競合であるVanidayは、ロケットインターネットの資金力と他国でのノウハウを持ってシンガポールへ参入し、独自の路線でマーケットを拡大してきた。現在、登録している美容サービスは800社で、25,000種類のサービスを提供する。利用者は約3万人と、Vaniteeとほぼ同等の規模といえるだろう(年間取引額は非公開)。
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