空間コンピューティングで激変する購買体験、STYLYと協業企業が描く小売の「第三形態」
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Appleのゴーグル型デバイスApple Vision Proが日本でも発売され、空間コンピューティングが日常生活に入り込む第一歩となった。2024年4月には、このVision Proをターゲットデバイスとして今後のユースケースを考える業界横断の共創プロジェクト「STYLY Spatial Computing Lab(SSCL)」が発足した。今後、空間コンピューティングがどう小売の世界を変えていくのか、SSCLを率いる株式会社STYLYと、小売という観点からともに取組みを進めるJ.フロント リテイリング株式会社に話を聞いた。
Apple Vision Proが描く「空間コンピューティング」はどんな世界なのか?
株式会社STYLYは、VR/AR/MRなどXRコンテンツを制作・配信・体験できるクリエイティブプラットフォームを提供する。企業との取組みも多く、直近では、2024年2月に渋谷パルコの屋上で実施されたイベント「AR花火」において、特定の方角にスマホをかざすことで、花火を見ることができる体験を提供した。
テクノロジーへの関心が高い人だけではなく、イベントのことを知らずに来た買い物客が面白がってもらえる仕掛けは、2019年のリニューアル以降、数々のXRコンテンツを展開してきた渋谷パルコの得意とするところでもある。
こうしたXRコンテンツや体験が、Apple Vision Proの登場により「空間コンピューティング」として一気に深化するといわれるが、それを先取りするように2024年4月に設立されたのが、「STYLY Spatial Computing Lab(以下SSCL)」だ。Apple Vision Pro向けのユースケースを創出するための共創型オープンイノベーションラボで、STYLYのほか、渋谷パルコ運営企業のJ.フロント リテイリング株式会社、KDDI株式会社、WIRED日本版などが協業し、近い将来訪れると考えられる空間コンピューティング時代に向けて、次世代ビジネスの創出に向けた研究開発を進めていくという。
その意義を株式会社STYLY 執行役員 CMOで STYLY Spatial Computing Lab 所長の渡邊遼平氏はこう語る。「空間コンピューティングがさらに日常生活に浸透するには、さらなるハードの小型化や価格低下が不可欠だが、これは時間経過とともに必ず訪れる。同時に必要となるのが、ライフスタイルのなかで必ず必要とされるような“キラーユースケース”だ。これが見つかることでゲームチェンジが起きると考えている」(渡邊氏)
渡邊氏のいうキラーユースケースを、今後SSCLで議論してPoC(概念実証)を進めていくことになるのだが、その前に、XR(VR/AR/MR)とよばれる領域の技術とApple VisionProが体現する「空間コンピューティング」について整理しておきたい。
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