英国ブーツの敏腕CIOによるDXとオムニチャネル戦略への急シフト、その柔軟な手法
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170年の歴史を持つ老舗ドラッグストアチェーンのBoots UK(以下、ブーツ)がオムニチャネル戦略を加速させている。デジタル化への本格投資では後発組ながら、パンデミックで新たな施策を次々と打ち出し、リテール分野でフロントランナーの1社に躍り出た。顧客体験の向上に注力してIT部門とマーケティング部門が連携し、技術面では自社開発にこだわらず優れた技術やサービスを外部パートナーから積極的に取り入れている。
ビューティ分野でシェア拡大、自社ブランドを英国で開発・製造も
ブーツは1849年、ハーブを扱う薬店として創業した。もともとは小さなファミリービジネスだったが、いまでは薬局サービスに加え、ヘルスケア、ウエルネス、ビューティ、飲食物、家電などさまざまな分野の商品を扱う国民的ドラッグストアとして知られ、売上高で英国第9位の大手リテーラーでもある。2020年8月31日時点で約2,300店舗を展開し、同社によると英国民の約85%がブーツ店舗から徒歩10分圏内に暮らしている。
近年はとくにビューティ分野で市場シェアを伸ばしており、2021年度第1~3四半期(2020年9月~2021年5月まで)に34ブランドを新たに追加、取り扱いブランド数を500以上に増やした。ブーツがいうところの「英国ナンバー1スキンケアブランド」のNo7をはじめ、Soap and Glory、Liz Earle、Sleek MakeUP、YourGoodSkinなど自社ブランドも展開しており、それらのほぼすべてを英国内の自社設備で開発し、製造も手掛けている。
ブーツはビューティ分野の
取り扱いブランドを増やしている
出典: ブーツ公式サイト
2014年には、当時の親会社アライアンス・ブーツ(Alliance Boots)と米国ウォルグリーンズ(Walgreens)が合併してウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(Walgreens Boots Alliance、以下WBA)が誕生し、ブーツは新会社の傘下に入った。WBAは米国と英国を中心に世界で2万店以上を持つドラッグストア大手だ。
パンデミックで進めた「ハイブリッド店舗」、倉庫ロボットも導入
新型コロナウイルス感染症の大流行に伴い、英国政府は2020年3月に最初の外出規制を行ったが、市販薬や処方薬を販売するブーツは、ビューティ関連を含む医薬品以外の商品の販売を中止して実店舗の営業を続けた。実店舗の売上高が激減するなかで、ブーツの自社ECサイトの売上高は2020年6~8月期に前年同期比155%増、続く9~11月期に同106%増と大幅増を記録。直近の2021年3~5月期は実店舗の客足が回復したことで5月にわずかに鈍化したが、それでも同42%増を達成した。
コロナ禍で自社ECの売上高が大幅に増加
出典: NRF Retail Convergeで
紹介されたブーツ作成の動画より
CIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)としてブーツのデジタルトランスフォーメーション(DX)とオムニチャネル戦略を率いるリチャード・コーブリッジ(Richard Corbridge)氏によると、2020年の年末商戦ではオンライン注文の急増に対応するために倉庫を新設したほか、注文した商品をピックアップできるように既存店舗をアレンジした「ハイブリッド店舗」を125店用意した。倉庫業務の生産性を上げるため、移動型の協働ロボットも導入した。
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