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韓国K-Style Hubはインドネシアで韓国コスメブランドの進出支援、クチコミアプリ「UNNIS」も展開

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経済成長が著しい東南アジアの美容市場で、韓国の美容スタートアップが活躍している。インドネシア市場への韓国コスメ進出支援のほか、K-Beautyに特化したビューティアプリ「UNNIS」を運営するK-Style Hubもそのひとつだ。同社サービスの詳細や今後の展望について、韓国現地報道を中心にレポートする。


インドネシアにおける韓国コスメの需要と供給をつなぐK-Style Hub

矢野経済研究所がPerkosmi(インドネシア化粧品会社協会)の資料を引用したレポートによれば、インドネシアの化粧品市場規模は2021年時点で63億ドル(2021年12月のレートで約7,119億円)となった。2022年から2027年までの年平均成長率は5.81%と見込まれている。また、JETROやグローバル大手調査企業の関連レポートにおいても、インドネシア市場に対するポジティブな見解が目立ち、スキンケア、メイクアップを含む化粧品市場全体の成長が着実に進むと予測されている。

K-Style Hubは、そのインドネシア化粧品市場にフォーカスした韓国発のビューティ系スタートアップで、パク・ユンジョン氏らによって2020年8月に設立された。

出典:K-Style Hub公式サイト

パク氏は韓国高麗大学在学中に、学科のインターンシッププログラムでインドネシアの首都ジャカルタを初訪問。大学卒業後にインドネシア現地の大手スニーカーメーカーPT.Pratama Abadi Industriに就職し、ITソリューションの企画業務からキャリアをスタートした。

その後、韓国の大手鉄鋼メーカーであるポスコのグループ企業のポスコ建設や、国際物流企業TNT Expressなどのインドネシア法人で経験を積んだのち、韓国でK-Style Hubを創業している。創業メンバーには、NPO組織KOICA(韓国国際協力団、日本のJICAに相当)のインドネシア副所長を務めていた人物など、インドネシア事情に詳しい人材も加わっている。

パク代表はインドネシアでの会社員生活を振り返り、当時の体験が起業のきっかけになったと複数の韓国メディアに語っている。

K-Style Hubのパク・ユンジョン代表
出典:K-Style Hub公式サイト

たとえば、当時のインドネシア人の同僚から韓国化粧品を見せられ、韓国のどこに行けば買えるのか、韓国人が本当に愛用する製品なのかなどさまざまな質問を受けたことや、同時期に韓国で化粧品ブランドを運営する企業から韓国製品を紹介してもらう機会が増え、同時にインドネシア進出についてもたくさんの質問や相談、問い合わせがあったことを明かしている。その過程で韓国コスメに対する需要と供給が多いことを知り、インドネシアと韓国をつなぐ役割を果たせれば、ビジネスとして利益を創出できると考えたという。

インドネシア市場の可能性を、レポートや調査だけでなく、現地生活で得た肌感覚からK-Beautyの持つビジネスとしてのポテンシャルをパク氏が理解したからこその起業だろう。インドネシアにおける外資規制法など、同市場への進出が簡単ではない事情に精通していたパク氏らは、起業に際し、まずは韓国国内に法人K-Style Hubを設立することを選び、「UNNIS PICK」という名の韓国コスメの越境EC事業をスタートさせた。当時の狙いはインドネシア市場と韓国製化粧品の距離を縮めることだった。

越境EC 「UNNIS PICK」
出典:プライム経済

創業当時、韓国の中小ブランドの多くは、KOTRA(大韓貿易投資振興公社)をはじめとする貿易関連の協会と連携してインドネシア進出を試みていたが、許認可や投資規制の問題で苦戦を強いられていた。一方、インドネシア国内で越境ECはメジャーな存在ではなく、一般ユーザーが韓国の化粧品を直接購入できるチャネルを見つけることは難しかった。2024年現在は、インドネシアユーザーが韓国のECサイトにアクセスして商品を購入することも可能になってきたが、2020年頃の韓国国内ECは、ユーザー登録にあたり住民登録番号(日本のマイナンバーに相当)や韓国国内の電話番号情報を求めることが一般的で、海外からアクセスしてのショッピングがほぼ不可能だったという事情もある。

こうした双方の事情をクリアするために、K-Style HubがローンチしたのがUNNIS PICKなのだが、この越境ECの最大の特徴は、後述するが、インフルエンサー/応援団(ブランドごとにアサインされたレビュアーチーム)のレビューおよびレコメンドを中心とした販売プラットフォームである点だ。価格比較や詳細な成分情報ではなく、レビューやレコメンドをコンテンツの中心に据えた理由は、インドネシア現地のショッピング事情を考慮したためだとされる。

インドネシアには、日本のYahoo! JAPANや韓国のNAVERに該当するような大型ポータルサイトがない。そのため、ユーザーは商品を購入する際、SNSや周囲の知人からのクチコミを参考にする傾向が強い。UNNIS PICKは、そのショッピング習慣や購買スタイルに沿ったECプラットフォームを実現するため、レビューやレコメンドを重要視した。とくに、主要な購買層である25~40歳のユーザーがショッピングをするうえで参考になる、実際の使用感や感じられた効果など具体的な情報を親近感のある語り口で伝えるクチコミをEC内に充実させた。

パク氏は「親しくしている韓国人女性や職場の同僚が、その人の知識や体験をもとに推薦してくれるような身近な場所、(美容に関するおしゃべりが気楽にできる)ビューティの遊び場をつくろうというのが私たちの目標だった。創業前、インドネシアで私が同僚たちに商品を教えてあげていたときのやり方を(ECプラットフォームに)そのまま盛り込んだ」と韓国メディア『プライム経済』の取材に答えている

韓国ブランドのインドネシア市場進出から販売まで一貫したサポート体制を構築

K-Style Hubはその後「許認可支援」「輸出/流通」「市場調査および翻訳」「デジタルマーケティング」と事業領域を拡大。2024年1月現在は、約60ブランドのインドネシア進出をサポートしている。

許認可支援サービスは、インドネシア国家医薬品食品監督庁(BPOM)の許認可取得支援が主な内容となる。韓国の中小ブランドがインドネシアで正式に商品を流通・販売させるためにはBPOMの許認可が必要だが、その取得プロセスは非常に複雑で費用負担も大きい。K-Style Hubは成分登録に関するコンサルティングや、申請書類の内容の検討から申告までを支援し許認可取得を一気通貫でサポートしている。

輸出/流通サービスにおいては、自社越境ECのUNNIS PICKに加え、インドネシア国内の代表的なECであるShopeeTokopediaLazada内にモールを開設済みだ。まず越境ECでインドネシアユーザーとブランドが出会う機会を創出しインドネシア市場への入り口として進出を支援しつつ、BPOMの許認可など輸出プロセスを完了した商品を各モールに移行して現地販売するモデルを採用している。

Shopee内のK-Style Hubのモール
出典:Shopee

韓国ブランドがインドネシア現地で商品を展開するためには、投資規制などの問題で現地パートナーと共同で法人を設立する必要がある。K-Style Hubは、パートナーとのマッチングと法人登録、商品在庫管理、配送などもトータルでサポートする。加えて、市場調査および翻訳サービスを提供し、製品カテゴリー別の市況レポート作成や、商品詳細の翻訳などローカライズのための作業全般も一手に請け負っている。

また、デジタルマーケティングに関するサービスでは、商品撮影からインフルエンサーのアサイン、ローカライズされた広告出稿およびライブコマース運営など、PRや販売促進に関わる業務を総合的にサポートする。その際、使用される自社プラットフォームのひとつがビューティアプリ「UNNIS」だ。

韓国コスメのクチコミや、肌タイプ診断などをもつユーザー向けアプリ「UNNIS」

2022年9月にリリースされたUNNISは、K-Style Hubが自社開発し運営するビューティアプリで、主なコンテンツとして「インフルエンサー/ブランド応援団/ユーザーによる商品レビュー」「インフルエンサーによる動画コンテンツ」「肌タイプ診断と商品レコメンド」「サブスクリプションサービス」「商品購入リンクの提供」「コミュニティ機能」「クーポン機能」などが実装されている。

K-Style Hubのビューティーアプリ「UNNIS」
出典:UNNISの公式Facebookページ

UNNISは画像による肌解析サービスなどの機能ももつ。インドネシアではスキンケアの正しいステップを知らない人もまだ多く、洗顔後、化粧水や下地クリームをつけることなくすぐにメイクをしたり、きちんと洗顔できていないために角質がたまったり、ニキビの悪化に悩むユーザーもいるという。パク氏は、そういった背景から化粧品の選び方や使い方、韓国の有名人の化粧法などを紹介したいと思い、UNNISアプリをローンチしたとする

ユーザーはUNNISで肌診断、各種レビュー、動画コンテンツ、レコメンドなどのコンテンツに触れたあと、自分に合った商品をアプリ内に設置されたリンクを辿って購入することができる。商品のリンク遷移先はShopee、Tokopedia、Lazadaなど複数設定されており、ユーザーが普段使い慣れているECを選んで商品購入できるのも特徴だ。

出典:K-Style Hub公式サイト

UNNISのサービスを韓国の化粧品ブランド側からみると、インドネシアへの進出サポートを受け、各モールなどに商品をおいてもらい、UNNIS上では商品レビューがアプリ上に掲載される。レコメンド機能を通じてユーザーが欲しいと思えば自社が運営するECモール、あるいは各モールに誘導して購買を促すという仕組みだ。これまでインドネシアのユーザーが欲しくてもなかなか購入が難しかった韓国コスメに特化して紹介・マッチングの機能を果たし、実際に購買まで誘導するプラットフォームという観点ではニッチかつ競合優位性のあるサービスといえよう。

UNNISは2024年1月時点で5万以上ダウンロードされており、月間利用者数は毎月30%以上で増加し、化粧品関連アプリとしては(インドネシアで)20位圏内に入っている。また、大手ECモールだけでなく、インドネシア国内の大型小売店4社とも提携が進められているという。今後は、韓国ブランドのみならず他国のブランドとも関係を強化し、キッズ製品、健康食品、アパレルなど商材の領域を拡張する計画も明かしている

運営元のK-Style Hubは、2025年にはシリーズAの資金調達を予定し、インドネシア市場向けに海外ブランドを幅広く網羅するプラットフォームとしてUNNISを定着させることを目指す。また、シンガポール、マレーシア、ベトナムなど、インドネシア以外の東南アジア各国に進出する準備を進めると同時に、エグジットのためにグローバルブランド企業に戦略的M&Aを提案していくことも念頭に置いているとしている。

Text: 河鐘基(Jonggi HA)
Top image: K-Style Hub公式サイト

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