The Ordinaryなど「成分主義ブランド」、美容知識あるユーザーから選ばれる理由
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美容情報が巷に行き渡っているなかで、「必要な成分を自分で選びたい」という層のニーズを満たす成分主義の化粧品ブランドへの注目度が年々高まっている。美容知識の深さに合わせて絶妙にターゲットを設定し成長している4ブランドをとりあげ、ブランド誕生の背景や商品の特徴、ブランディングについて深堀りする。
美容知識がある人を満足させる「ストイックさ」をアピール
■The Ordinary(ジ・オーディナリー)
成分主義ブランドの元祖「The Ordinary 」は、2016年にカナダ・トロンドで誕生したブランドで、創業者のブランドン・トゥルアクス(Brandon Truaxe)氏がシステム開発会社やサプリメント会社などを経て立ち上げたDECIEM社が展開するスキンケアブランドのひとつだ。「Democratise serious skincare(深い考察にもとづくスキンケアを誰もが手にできるようにする)」ことをミッションに掲げ、オンラインのみでの販売からスタートした。
グリコール酸など5種のAHA30%とサリチル酸2%を配合した、かなり強力なピーリング剤「AHA 30% + BHA 2% Peeling Solution」が30mlで9ドル(約970円)、シワ改善の有効成分として日本でも知られているナイアシンアミド10%配合の美容液「Niacinamide 10% + Zinc 1%」が60mlで7ドル(約754円)という徹底した低価格とハイポテンシーな処方が、SNSを通じて美容好きからカルト的な支持を受けてブレイクした。
2017年にエスティ ローダーグループに株式の28%を5,000万ドル(約54億円)で売却。資金を得たのちは海外にも販路を広げ、「世界中で1秒にひとつ売れている」ブランドにまで成長した。ブランドン氏は2019年1月に死去したが、共同創業者である元Bootsのビューティ部門バイヤー、ニコラ・クリナー(Nicola Kliner)氏が中心となりブランドを維持している。自社サイトには、開発担当者や店舗スタッフ、ブランドアンバサダーなどブランドに関わる人々の顔写真とメッセージが数多く掲載されており、「人」の発信力によって広まってきたブランドであることが感じられる。
複数アイテムを使う際の順番や使用上の注意など、最低限必要なガイダンスはあるが、ある程度の経験と知識がないと必要なものを選ぶのは難しい。ほぼすべての製品でパッチテストが推奨されており、日本人の肌には少々リスクが高い処方もあることを考えると、The Ordinaryは、まさに美容知識が豊富な達人向けのブランドといえる。
ソーシャルメディアを活用して消費者と直接つながることで、リアルな声を反映しながら短期間で新製品に活かすThe Ordinaryの成功に刺激され、美容分野でさまざまな経験をもつ「美容起業家」が数多く誕生している。英国発のThe Inkey Listもそのひとつだ。
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