美容業界の「レコメンド」どうあるべきか。先行するファッション分野から学ぶ
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2018年、BeautyTech分野では、パーソナライゼーションをはじめ、購入体験をいかに個人によりそい心地よいものにしていくかがホットなトピックであった。このテーマでは、ファッション業界が先行しており、ECでも店舗でもテクノロジー活用の「レコメンド」が実現されている。まずはユーザーひとりひとりのニーズを把握していくためだ。この分野で2018年に注目され飛躍したニューロープとスタイラーの両社CEOに美容業界におけるこれからのレコメンデーションについてどう考えるかを聞いた。
ユーザーと店舗スタッフをつなぐアプリ「FACY」を運営するスタイラー株式会社の小関翼CEO、AIによるファッションのレコメンドサービスを展開する株式会社ニューロープの酒井聡CEOのふたりが共通して「もっと普及してもいいはずだ」と提言するのは、AIチャットボットなどを利用したオンラインにおけるユーザーとのコミュニケーション強化だ。酒井氏はいう。
お気に入りのスナップ画像と似た商品を提案してくれる
ニューロープのファッションAI「#CBK scnnr」
(公式HPより引用)
「AIを使ったチャットボットはサービスとしては徐々に普及し始めているが、今後、さらに活用していくことができる。美容業界のEC化率は5%程度とファッションに比べると低いと認識しているが、裏を返せば、肌トラブルや趣味嗜好などユーザーから情報提供してもらえるデータがまだまだとりきれずに眠っているということ。仕組みさえうまくつくることができれば、自然言語を学習させ精度を向上させていけると思う」(酒井氏)。
化粧品会社には各ブランドの肌診断サービスを通じたデータなどもあるが、肌状態は年齢や季節でも刻々と変化する。AIチャットボットでは顧客のリアルな状態を24時間通じて把握することができるため、レコメンドを通じた販売促進や、顧客とのコミュニケーションを維持・強化するのには欠かせないツールになるはずだということだ。
株式会社ニューロープ 酒井聡CEO
課題は、ユーザーの抽象的な質問になるという。仮に同じ言葉やキーワードでも使う個人によって意味や解釈が異なる。例えば、「赤い」というひとつの言葉だけとっても、「濃い」のか「淡い」のか、はたまた「暗め」なのか「艶があるのか」など、その意味するところは千差万別だ。そのため、チャットボットは提供された情報から言葉の真意を理解すると同時に、各個人を理解できるようパーソナライズされていく必要がある。
「すでにファッション業界では、ユニクロがIQというチャットボットをサービス開始している。例えば『女子会に着ていけるワンピース』『かわいい服』など抽象的な質問に対しても回答してくれるというものだ。正直、まだまだ精度向上が期待されるレベルではあるものの、ECとして、将来をみすえて今からやるべきことをやるという姿勢を見せている点で参考になる。今後、各個人の『かわいい』など言葉に含まれるニュアンスの違いを、購買履歴などと組み合わせて個別に理解できるよう学習させていくというシナリオは充分想定できる。それらチャットボットが得た情報は、ECなどオンラインだけでなく、オフラインでの販売も促すはずだ。販売のオンラインとオフラインのシームレス化をもたらすのも、チャットボットを活用するメリットだ」(酒井氏)。
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