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インド発コスメの台頭、牽引するJuice Cosmeticsなどの新興ブランド【Cosmoprof India 2023(2)】

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2023年12月7日〜9日にインド・ムンバイで開催された化粧品国際見本市「Cosmoprof India 2023」は、インド市場への参入を考える欧米や韓国企業の出展が目立っていた。展示会レポートの2回目は、そんななかでブースを構えたインドブランド2つの取り組みを紹介する。


海外勢が目立つなかで独自性をみせるローカルブランド

54社のパッケージ企業が集う「Cosmopack」を併設した「Cosmoprof India 2023」は、化粧品カテゴリーには135社が出展し、その約8割にあたる104社が海外企業と、インド市場への高い関心がうかがえるものだった。

Cosmoprofの「グローバルな展開を目指すブランドが開催地域の市場を知るための機会を創出する」という方針もあり、現地インドの企業の参加は31社にとどまったものの、新興~中堅のスキンケアブランド、ヘアケアブランドやフレグランスブランドが多くみられた。今後、他国のビューティトレンドに触れて海外進出の参考にしたいと考えるインド企業が増えれば、おのずと参加社数も増えそうだ。

そんななかで出展していた、インドの美容業界の新しい方向性を感じさせる2つのインド発ブランドを紹介する。クリーンビューティであることは当たり前で、かつ高品質な中価格帯でありメッセージ性をもつという、グローバルトレンドも意識しつつ現地のニーズをしっかり反映させているのが共通点だ。

メンズ向けクリーンビューティブランド「BRAVADO」

大きなブースを構えて注目を集めていたメンズグルーミングブランド「BRAVADO」は、創業者のスミット・グプタ(Sumit Gupta)氏によって、展示会の当日にブランドローンチを発表した、まさに新星だ。BRAVADOは「スタイル」「品質」「洗練」という3つの要素を融合させたコンセプトで、セルフケアにこだわる現代の男性にふさわしい革新的な製品を提供することを目指しているとする。

BRAVADOのブース

グプタ氏は、ブランドを立ち上げた理由を「(インドの)市場には、海外ブランドに代表される極端に高価な製品か、マス向けの安価な製品しかなく、自分が求める品質で、かつ価格のバランスが取れたものが見つからなかったため、自分で作ることにした」と語る。つまり高品質の中価格帯製品という、日本でも中国でもポテンシャルのある戦略価格帯だ。

BRAVADOは、世界各地から調達された環境に負荷の少ない原料を使用した独自の植物抽出成分を配合し、環境や人体に悪影響を与えるおそれがある化学物質を排し、また動物実験を行わない、世界的な潮流であるクリーン&クルエルティフリーの設計だ。現在は、ヘアケア、フェイスケア、あごひげと口ひげのケア、ボディケアのカテゴリーで、23種類のアイテムをラインナップしており、「とくにボディローションやフェイスセラムなどのスキンケアは機能面で強みがあり、さらにオイリーではない使用感が優れている」とグプタ氏は自信をみせる。

BRAVADOの製品は、インドの大手総合ECサイトの「Flipkart」や「JioMart」のほか、「Amazon India」などのオンラインプラットフォームで販売している。

著者とBRAVADO創業者のスミット・グプタ氏(右)

インドでは男性向け化粧品やセルフケア製品は、「メンズスキンケア」や「メンズ美容」などの呼称ではなく「グルーミング(身だしなみ)」という言葉が使用されることがほとんどで、各種統計でもグルーミングでカテゴライズされることが多い。すなわち、現時点ではこうしたグルーミング製品に期待されているのは、「ひげを整えること」「顔や体を清潔に保つこと」「体臭対策」などの基本的なケアが中心だ。

今のところは、積極的なスキンケアをルーティンとして取り入れたり、アイブロウペンシルやコンシーラーなどを使いベーシックなメイクをする男性は、インドではまだまだ少ない。だが、インドの男性美容市場は、今後も年平均11%の成長率で成長すると予測されており、インド最大手美容EC「Nykaa」が2018年にいち早く男性向けEC「Nykaa Man」を立ち上げるなど、市場の伸びに大きな期待が寄せられている。

欧米や韓国、日本でもジェンダーフリーな化粧品アイテムが若い世代を中心に支持を集めてきていることを考えると、インドのメンズケアには大きな伸びしろがあるといえそうだ。顔と頭皮に使えるアンチエイジングクリームやウォーターレスフェイスウォッシュといった、グローバルで広がる機能性やサステナブルを志向する時代の感覚にマッチする製品を提案するBRAVADOの登場は、インドの男性美容に新風を吹き込むかもしれない。

女性のエンパワメントを打ち出す中堅ブランド「Juice Cosmetics」

今回のCosmoprof Indiaで、新製品としてバイオレチノール配合の口紅「Color Luxe」をローンチした、2014年創業のカラーコスメブランド「Juice Cosmetics」も存在感を示していた。

もともとはネイル製品からスタートしたJuice Cosmeticsだが、リップ製品やアイライナーなどを加え、製品ラインを拡大してきた。カラーレンジの豊富さも特徴としている。

Juice Cosmeticsのブース

展示会のブースで話を聞いた、Juice Cosmeticsのブランドマネジャーによると、同ブランドのメインターゲットは16歳から24歳のZ世代で、その強みは「高い品質」と「リーズナブルな価格」の両立にあると話す。Juiceは、たとえば口紅が300ルピー程度(約530円)、ネイルラッカーも100ルピー程度(約180円)からで、インドの消費者にとっての値ごろ感とブランドのターゲット層が合致した購入しやすい価格設定としている。そして、このような価格を実現できている理由は、英国政府によるAyurveda Ratna Awardを受賞したサイエンティストが上級研究員として主導するR&Dをはじめ、企画・製造、セールス、マーケティングに至るまでのプロセスを自社で一貫して行なっているところにある。

著者とJuice Cosmeticsブランドマネジャー(右)

またJuice Cosmeticsは、「女性の可能性を信じ、メイクアップを通じて女性にパワーと自信を与えることに努める」とパーパスを掲げ、女性のエンパワメントを打ち出している。同時に、製品には有害な化学物質を含まず、エコサート防腐剤、天然SPF、FDA承認顔料、バイオレチノールやフィルムフォーマーなどの保湿成分を配合し、科学的に安全性と機能性が検証された、消費者が安心して使える製品を提供することに徹底しているとする。

カラーコスメ市場はインドで急成長している市場のひとつである。若い世代の美意識が高まるにつれて、インド市場におけるメイクアップ化粧品の普及率は高まっており、インドは、アジア地域で同市場が最も急成長している国のひとつと推定されている。インド社会の幅広い層で需要が高まっているため、インドの人々に馴染みのあるハーブやアーユルヴェーダを採用したり、オーガニックな原料を使用する製品開発に乗り出すインド企業は増えている。口紅、アイペンシル、チークなどのカラーコスメのアイテムの幅も広がっており、インドのカラーコスメの売上を押し上げている。

インド市場では消費者の製品知識が年々向上しており、数年前と比較して、品質や成分を細かくチェックする消費者が増えているだけでなく、環境への配慮や倫理性、安全性への意識が高まっているとされる。カラーコスメ人気の追い風をうけ、Juice Cosmeticsではこうした新たな消費者像を理解した製品づくりを進めているのだ。

今後のインド市場の伸びに注目

調査会社のユーロモニターインターナショナルによると、インドビューティおよびパーソナルケア市場の2022年の売上高は171億6,000万ドル(約2兆5,429億円)と推定されている。あわせて、2024年は186億5,000万ドル(約2兆7,637億円)に達すると予想しており、年平均成長率は8.8%を見込む

グローバルのトレンドとしては、成分へのさらなるこだわりや、コンセプトの細分化などがみられるが、その点ではインドの化粧品市場の成熟度は今のところは先進諸国に比べるとまだ低い。だが、BRAVADOやJuice Cosmeticsのような変わりつつある消費者を意識したブランドの登場は、インドがグローバルに追いつく日がそう遠くはないことを予感させる。

西洋文化の受容による化粧品に対する考え方や習慣の変化に加え、購入のチャネルとしてのオンライン市場が急成長していることも大きなポイントだ。オンライン購入が普及し一般化することで、化粧品専門店などの実店舗にアクセスできる都会の一部の消費者だけではなく、より多くの消費者が多彩なチョイスの化粧品ショッピングが楽しめる環境ができつつある。

Cosmoprof India 2023レポートの前編で指摘したように、14億2,860万人と世界一の人口をもつ国となったインドでは外資系企業のビューティ市場への参入が加速しており、今後、国内外のブランドで競争が激化するのは明らかだが、市場の成長率や開拓余地などを考えるとまだまだ余白はありそうだ。

Text: 滝沢 頼子(Yoriko Takizawa)、BeautyTech.jp編集部
Top image & photo: 著者撮影

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