店舗体験を補うサンプリングに注目、マッチング重視、ファン化施策など国内外の3事例
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コロナ禍でリアル店舗やイベントでのサンプル配布が難しくなるなか、新しい商品との出会いと体験を創出する手法として、メディアやプラットフォームでの商品サンプリング(試供品提供)が改めて注目されている。データによるマッチングや、ライブ配信の「お試し会」などさまざまな提供手法により、ユーザーにとっては店頭に行かなくても「体験」が可能になり、ブランド側は認知度向上やファンづくりに加え、フィードバックされた意見やクチコミを生かすことで支持を集める。国内外の3つの事例を紹介する。
英マリ・クレール誌の「マッチング」重視のサンプリング
美容に特化したサンプリングサービスに今夏参入した英国版マリ・クレール誌(Marie Claire UK)、消費者の商品体験機会の最大化を主軸にブランド向けソリューションを一新したアイスタイル、そしてさまざまな分野のブランドにサンプリング活用機会を提供して会員数を伸ばすサンプル百貨店にその仕組みや狙いを聞いた。
英国版マリ・クレール誌は今年8月、スキンケア、ヘアケア、メイクアップ、香水などの商品サンプルを無料で届けるオンラインの会員制サービス「Beauty Drawer」を開始した。フランスで生まれたマリ・クレールは、1982年に日本語版が発刊されたのを皮切りに、現在30超の国で出版される大手ライフスタイルブランドだ。
Beauty Drawerは、商品を購入する前に新商品をいち早く試してみたい、試した商品の感想を不特定多数と共有したいという人を主なターゲットとする。数あるサンプリングサービスのなかでも、会員にとってサービス登録からサンプルお試しまですべて無料であることと、美容に詳しいマリ・クレール編集者が選んだ商品のなかから、自分のニーズや好みに合った商品の提案を受けられる「パーソナライズされたサービス」であることが特徴だ。
コロナ禍で消費者のEC利用は加速したが、化粧品に限れば試してから購入したいという消費者は多い。とはいえ、やみくもに大量のサンプルを配るのは非効率でコストがかかるうえ、かえってブランドや商品イメージを毀損する恐れもある。
Beauty Drawerの陣頭指揮を執るEコマース・ディレクター(E-Commerce Director)のエミリー・ファーガソン(Emily Ferguson)氏は、「ブランドにとって、自社商品に適切なオーディエンス(消費者)に商品を試してもらうことは非常に難しい。たとえばサンプルを3,000人に配布しても、実際にその商品にあった年齢や肌タイプの人はその半分かもしれない」と指摘する。
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