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AIとIoTで「カスタムビューティ」時代の到来、牽引するアモーレパシフィックやロレアル【CES2021】 (1)

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パンデミックを受け、初の完全オンライン開催となったCES2021。美容領域でも、「快適なステイホーム」や「非接触コミュニケーション」という消費者の2大ニーズに応える製品が目を引いた。イベントレポートの第一弾は、パーソナライズされたレコメンドから一歩進み、ユーザー自身が「カスタムメイド」する美容アイテムのトレンドだ。アモーレパシフィックやロレアルなどの大手企業の取り組みや、多機能と使いやすさを兼ね備えて進化したlululabやCareOSのスマートミラー、進化しつづけるPerfect Corp.などを紹介する。

パンデミック下で変化、パーソナライズから「カスタムビューティ」へ

毎年恒例の世界最大級のテクノロジーショー「CES2021」が、2021年1月11日から14日の日程で開催された。例年は、自動車からゲーム&エンタメまで各業界関係者はもとより、多くの一般参観者を含め、世界中から延べ17万人以上の来場者が米ラスベガスに集う一大イベントだが、今年はオールデジタルでの開催となった。

CES2021専用サイトには、ブースに当たる出展企業の個別ページやセミナー一覧に加え、参加者が興味のある企業やイベントをメモがわりに事前登録したり、打ち合わせの設定、スケジュール管理等が可能な「マイページ」が設けられ、ユーザーのワークステーションとして機能した。また、AIマッチングにより、参加者同士の交流の提案も行われた。

このようにCESの運営自体もデジタル化によるカスタマイズやパーソナライゼーションが進んだが、美容領域でもその傾向は明らかであった。非接触が求められるコロナ下において、バーチャルトライオンやオンラインの各種クラスやカウンセリングが人気を集めるといった現象はすでに2020年に定着した感がある。

これに加えてCES2021では、パーソナライズした提案を受け取るだけではなく、AIによるレコメンドやIoTデバイスのアシストを受けることで、好みや必要にあわせて、ユーザー自身が美容アイテムをオンデマンド&セルフで形にできる「カスタムビューティ」が、身近なものへと急速に進化したのがみてとれた。パーソナライズが進化したかたちでのカスタムビューティ時代が到来したのだ。

アモーレパシフィックの非接触カスタムスキンケア&メイク機器

まずは、CESのHealth & Wellness部門でいずれも革新賞(Innovation Award Honoree)を受賞したアモーレパシフィックの2つのカスタムビューティデバイスを紹介しよう。いずれもAIとIoT技術を駆使したデバイスだ。

1つ目は、家庭用の化粧水の調合デバイス「Formularity」である。最初に、ユーザーの肌の状態に合わせたアンプル入り濃縮機能処方剤と、ベースとなるトナー剤をデバイス内にセット。使用する直前にオンデマンドでそれぞれ必要な量を自動抽出してブレンドし、コットンパッドに含ませた状態にする。肌に最も吸収されやすい温度で提供する点がポイントで、コットンパッドを温めるだけでなく、冷やすことも可能なデバイスの登場は世界初という。

ユーザーはボタンを押すだけで、調合は全てデバイス内部で行われるため、衛生面でも安心だ。1台に3つまでセットできるアンプル剤は、アンチエイジング、保湿、敏感肌用など、ユーザーのその時々のコンディションや要望に対し、できるだけ多くの選択肢を提供できるよう現在開発中という。また、ユーザーの肌データの取得方法などを含めたサービスの全体像も目下検討中とのことで、詳細が明らかになるのはまだ少し先のようだ。

2つめの新商品「Lip Factory by Color Tailor Smart Factory System」は、すでにソウルのアモーレパシフィック旗艦店に導入されているカスタムリップの製造マシンだ。ユーザーがAI搭載のモバイルアプリ「Color Tailor」を使って質問に回答していくと、2,000のカラーシェードのオプションのなかから、AIがユーザーにパーソナライズした色味を提案。アプリを通してユーザーがチョイスしたシェードのオーダーにもとづき、マシンがカラーピグメントを0.1gずつ加える精密なIoT技術により、ユーザーの希望に合致した色味のリップを数分で製造する。

ずらりと並んだカラーピグメントのボトルから必要な色素を選び、目の前で混ぜ合わせていく過程が見られるところに、エンターテイメント性を盛り込み、自分のためだけに作られている特別感を感じる体験を組み込んだ点も、評価された一因ではないだろうか。

ロレアルのリップカラー調合デバイスとサステナビリティ

ロレアル傘下のイヴ・サンローラン・ボーテからは、昨年度のCESで大きな注目を集めた家庭用パーソナライズ・スキンケア&メイクデバイス「Perso」技術を用い、スマホで連動するアプリを通してユーザーが指定したリップカラーを作成するデバイス「Yves Saint Laurent Rouge Sur Mesure Powered by Perso」が登場した。

Rouge Sur Mesureは、イヴ・サンローランを象徴する赤、ヌード、オレンジ、フューシャピンクの4種類で用意されたカラーカートリッジ3本セットを内蔵し、3色から適量のカラーを抽出してカスタムリップを調合する。

ユーザーは、アプリを立ち上げ、色見本「カラーホイール」からバーチャルトライオンで試して好みの色を選んだり、画像でモデルがつけているリップや服、アクセサリーなどの色味をリップカラーとして再現したり、自撮り画像をもとに、AIにヘアカラーに合う色を提案してもらうなど、さまざまな方法で自分が求める色や似合う色にたどり着くことができる。

このデバイスの最大の特長は、完全非接触のセルフでカスタマイズしたリップを作り出すことができる点にある。だがそれだけにはとどまらず、デバイスのユーザー同士が、自分の作った色を互いに紹介したり、トレンドを学んだりができる仕組みを備え、「他者とのつながり」をフォローするコミュニティが同時に形成される予定という。

巣ごもり美容をサポートする家庭用スマートミラー

AIとIoTを活用した自宅でのカスタムビューティを語るうえで、欠かせない製品分野がスマートミラーだ。昨年度のCESでは家庭用のスマートミラーが大きな飛躍を遂げたが、今年度は、コンパクトで使いやすく、価格的にも求めやすいように小型化されたスマートミラーが目を引いた。

韓国のlululabは、2020年に登場し注目を集めたAIビューティ&ライフスタイルアシスタント「Lumini Home」に比べて、より小型で軽量なスマートミラー「Lumini PM (Personalized Mirror)」を発表。「Lumini Home」同様、AIがユーザーの肌データとライフスタイルを分析し、市販のブランドの製品から、各自に適した化粧品をはじめ、悩みを改善するデバイスや手入れ法をレコメンドする。大ぶりなスマートフォンを連想させるサイズ感やデザインが2021年最新版の特徴だ。「Lumini」シリーズの品質には定評があるが、2019年、20年に引き続き、Smart Home部門で3度目の革新賞を受賞した。

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Lumini PM
出典: CES 2021 Innovation Award Products

仏BaracodaグループのCareOSも、2020年にセンセーションを巻き起こしたバスルーム用スマートミラー「ポセイドン」に比べて、家庭でより設置しやすいタブレットサイズ(約20cm×28cm)で、重さ500gのスマートミラー「Themis」を発表。

小型ながら、ユーザーの声認証・顔認証、UVライトによる肌診断とAIのスキンケアコーチング、日々の健康状態のチェックやトラッキングにリマインダー、フェイシャルヨガやメイクのチュートリアル動画のほか、子供向けゲームやARの表示、拡大鏡や360度のビュー、さらに体重計などのほかのデバイスとの連動など、「ポセイドン」と同等の機能を備え、Health & Wellness部門での革新賞を受賞した。2021年後半に欧米でローンチする予定で、販売価格は399ドル から499ドル(約4万2,000円〜約5万2,000円)となる見込みだ。

快適な暮らしと健康をサポートするパーソナルアシスタントとして多角的に機能し、ステイホーム生活での美容や心と体のウエルネスを守るハブになりうる商品といえる。

AI&ARでステイホームのユーザー接点を拡張するパーフェクト

エスティー ローダーや資生堂など大企業を含む世界400ブランド以上が採用するPerfect Corp.は、ARバーチャルメイクや肌分析機能の精度を高めたことに加え、ARライブストリーミング機能の追加を発表。ユーザーは自宅でインフルエンサーや美容部員がライブ配信する商品紹介やチュートリアル動画を見ながら、リアルタイムで質問やコメントをしたり、バーチャルトライオンやショッピング(ライブコマース)を行うことが可能になった。また、1 on 1コンサルテーションを受けながら、バーチャルメイクを試したりもできる

Perfect Corp.のAI/AR技術は、グーグルをはじめ、多くの企業がサイト上に導入している。たとえばUlta Beautyは、パンデミックにより利用が5倍に増えたバーチャルトライオン「GLAMlab」に加え、AI肌分析、商品レコメンド、バーチャルメイクアップレッスン「Beauty School Live」、さらに1対1の無料美容コンサルティング「Beauty Advisor」サービスを実装。消費者が店頭へ足を運ばなくても、自分にぴったりのコスメを手にできるようテクノロジーでサポートしている。

「CES2021イベントレポート」は5回シリーズで公開していく。明日の第2回は、美容業界のSDGsを牽引する企業である、ロレアルとP&Gによるサステナブルに配慮したサービスやプロジェクトを紹介する。

<そのほかのCES2021レポートはこちら>
(2)ロレアルとP&G、SDGs観点から「水」や「衛生」などのサステナビリティにアプローチ
(3)台湾はIoTスキンケア、韓国は化粧品スマートファクトリー。香水、漢方茶もカスタムの波
(4)コロナ時代の安心「ライフスタイルテック」スマートマスクにスマートベビーベッドまで
(5)肺を鍛えるデバイス、ウイルスのスクリーニング、メンタルケアなどデジタルヘルスの最前線

Text: 東リカ(Rika Higashi)
Top image: イヴ・サンローラン・ボーテ公式サイト

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