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CES 2018レポート 欧州スタートアップの活況とパーソナライズ化の波

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年が明けた1月8日、今年も米ネバダ州ラスベガスでは世界最大の家電見本市「CES」が開催された。このCESでは2016年から「Beauty Tech Summit」のドメインによる特設サイトを3年連続で公開。美容業界の先駆者を招いたサミットも開催された。3回連続でCES2018におけるBeautyTechのトレンドをレポートする。

まずは、昨年のCES 2017を振り返ってみよう。ビューティーテック部門は、チークやマスカラをスマートフォン上でバーチャルに試せるようなAR技術を搭載した製品や、アプリから商品やサービスを購入できる機能を備えた製品が数多く登場し、新技術の導入と紹介が目立っていた。

それに対して今年は、最新の技術やAIを活用したうえでソリューションをパーソナライズし、ユーザー個人の健康状態や身体のデータ計測とその可視化を可能にする、いわば消費者の内側により踏み込んだプロダクトが増えた印象が強い。そんなCES 2018で、ビューティーテックの今後の動向を示唆するものとして、メディアからの注目を集めていた製品を、筆者の考察を加えつつ4点ピックアップしていこう。

肌状態を簡単に計測・分析可能なスマホ専用カメラ「Skin360」

スキンケアのトータルブランド、ニュートロジーナ(Johnson & Johnsonの子会社)の「Skin360」は、顔やボディパーツを自撮りするだけで、毛穴の大きさやつまり具合、肌のキメ、乾燥状態を計測・分析するスマホ専用カメラ。

30倍のレンズと12個のLEDライトを搭載したカメラをスマートフォンに装着するだけの手軽さで、アプリを通じて肌状態が確認できる。毛穴、シワ、乾燥状態の3つが分析対象だ。分析結果はSkin360スコアとして点数化し成績表のようにしてみせるほか、肌の状態に適した洗顔フォームや化粧水など、お手入れのアドバイスもする。販売開始は今年の夏を予定している。

わざわざ化粧品ブランドの店舗まで出向いて肌チェックをする人は少なからずいる。自宅や外出先で簡単に、どの部分の肌コンディションが正常か、あるいは乾燥しているかを把握できるSkin360の需要は高いと思われる。

手軽な肌状態測定キット 「Philips Skincare Assessment」

出典:Philips Skincare Assessment

肌の健康度合いを気軽に測定できるキットとしてもう一社、CES会場の中央で大々的にブースを展開していたのが、歯ブラシなどで有名なヘルスケア家電メーカーのフィリップスである。

Philips Skincare Assessment 」は、肌の数ヵ所に直接当てて乾燥度と水分量を計測する小型デバイス。分析した内容は専用アプリで管理する。計測にかかる時間は1回30秒程度で、5日間継続してデータを取ることで肌状態を評価し、あわせて改善策が提案される。

アプリには生活習慣などを問う160の質問と肌を解析する71のパラメーターダイアグラムを備えており、ユーザーのログを蓄積し分析するアダプティブ・ラーニング技術で、詳細な肌レポートを作成する仕組みだ。デモンストレーションで、実際にPhilips Skin Assessmentを使用して肌表面を計測してみたところ、採取したデータに基づきアプリが推奨する改善プランが綿密かつ的確と感じられ、毎日使い続けたいと思わせる設計になっている。

フィリップスのスタッフは「我々は改善へのアドバイスを示した後で、弊社の商品の購入を勧めることはしない。なぜなら本当のヘルスケアブランドを目指しているから」と語り、Philips Skin Assessmentが単なる販促ツールではなく、パーソナルな健康管理デバイスであることを強調した。

同社はまた、会見のなかで「今の消費者は一人ひとりが極めて個性的で、ブランドからも個人として大切に扱ってもらうことを願っている。人々は、髭剃りであろうが、歯ブラシやオーラルケアであろうが、自分のためだけに特別に作られた商品やサービスを提供して欲しいのだ。そして、我々はそのことをよく理解している」として、ユーザーとダイレクトに繋がっていく方向性を示した。

ウェアラブルな紫外線計測チップ「La Roche-Posay UV Sense」がロレアルから登場

出典:La Roche-Posay UV Sense

親指の爪に貼るわずか2mmの薄さのチップで、屋外の紫外線レベルを測定可能にしたのがロレアルから発表されたウェアラブルチップ「La Roche-Posay UV Sense」。

バッテリーフリーで、3ヶ月分のデータを蓄積できるこの薄型チップは、専用アプリと連携させることで、今、自分の体がどのくらいの量の紫外線にさらされているかをリアルタイムで表示し、日焼け止めの塗り直しのタイミングなども教えてくれる。

ロレアルはすでに2016年に、紫外線レベルを計測する肌に貼るタイプのUVシールを発表している。その後、継続時間の改良と使いやすさの改善を進めた結果として完成したのが、今回のネイルチップだ。シールより剥がれにくく、ネイルアートとしても楽しめるのが特徴で、CES会場では、様々なアートデザインを施したチップも紹介されていた。サングラスや腕時計のベルトに貼り付けることもできる。

La Roche-Posay UV Senseは、今年の夏よりアメリカで販売開始、グローバルな展開は2019年からを予定している。

また今回のCESでは、紫外線を計測するウェアラブルデバイスを発表した企業が他にもあり、今後とも注視すべき分野である。


パーソナライズ美容液調合マシン「Romy Paris」

出典:www.wallpaper.com

毎朝出来立てのコーヒーが楽しめるエスプレッソマシンのように、自分の肌にぴったりの美容液が作れるマシンが自宅にあったらどれほど幸せか。そんな夢のような世界を実現するのが、パリを本拠地にする「Romy Paris」である。

同社が提案する「FPS(Fresh Percussion System)」は、使用する人の肌にあわせてカスタマイズした美容液を1日に使い切る分だけ調合。「肌は生き物で日々変わるものだから、毎日同じ化粧水を使うのには違和感がある。自分の今日の肌質を知り、その時々の問題に合わせた成分を補給するべき」という考え方に基づいて、5年かけて完成したシステムだ。

肌質、ライフスタイル、生活習慣、さらには、旅行先の大気汚染レベルや、パソコンなどから発するブルーライトに当たる時間といった質問にアプリで回答すると、10の成分カプセルのなかから、各自の肌トラブル解決に適したカプセルを3つセレクトし、専用フォーミュレーター器でオリジナルの美容液が作られる。

原料カプセルには防腐剤を一切使用しておらず、コールドプレスジュースと同じテクノロジーを用いて有効成分がそのままのフレッシュな美容液を作ることが可能だ。マシンデザインもキュートで、身近に置いて使いやすい。フランスでは可愛らしい店舗デザインが魅力の路面店もある。

出典:LABEL EXPERIENCE Facebook page

今年のCESでは、フランスから参加したハードウェア会社やスタートアップが各業界で注目されていたが、ビューティーの分野でも同様で、英語圏の多数のメディアで取り上げられているRomyには、すでに連携して展開する他社のサービスが存在し、CESにも出展している。欧州発スタートアップの活気のほどが感じられた。

CES 2018 でもパーソナライズ化がトレンド

今回のCES2018ののビューティーテック部門を視察して、最も印象に残ったのは、世界中から出展したブランドのほとんどが、消費者傾向を正確に捉える努力を貪欲に行い、ユーザーの嗜好に細やかに寄り添う方針を進めている点だった。

大手企業は消費者の心をつかむ製品づくりの最先端をいくスタートアップに対しては積極的に提携やM&Aを行い、良好な関係を築くことに前向きな姿勢がみられた。その根底には、消費者が真に求めるものを見極められないブランドは淘汰されていくという危機意識があるからだ。

あらゆる製品で溢れかえり、大抵のモノは世界のどこでも簡単に購入できるようになったいま、消費者がブランドに求めていることは、ハイテクノロジーをむやみやたらに取り入れることでもなければ、企業買収で大型化、グローバル化することでもない。

人々は自分のために特別にカスタマイズされた体験を好み、自らが学習し商品を選択する機会を楽しんでいる。人目を引く派手なウェブサイトやアプリを築き、そのなかで自社製品への誘導や押し売りをするような古いマーケティング方法をとっているようでは、消費者の関心をむしろ遠ざけてしまうのだ。

あらためて、2018年のキーワードは「パーソナライズ」。それを実感したCESだった。

Text:高橋クロエ(Chloe Takahashi)

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