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伸びる中国男性向け化粧品市場、2023年の注目は新興ブランドSimpcareのメンズライン

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国内経済の減速から抜け出せない中国では、美容分野においても消費が冴えず、ビッグセールイベントの「618」もかつてのような盛り上がりに欠けた。そうしたなかで好調な化粧品ブランドのひとつが「Simpcare(溪木源)」で、とくに2022年12月に発売されたばかりのメンズ向けスキンケア製品が好調だ。同ブランドの動向と人気の理由を探るとともに、中国の男性スキンケア市場を概観する。


Simpcareのメンズコスメラインは発売2カ月で人気のビオテルムを超える販売数

中国のECプラットフォームで行われるセールイベントといえば、11月11日に行われる「ダブルイレブン(双11)」が有名だが、それに次ぐ規模のイベントが「618」だ。上半期でもっとも盛り上がる商戦であり、2023年も6月18日までの数週間にわたって開催された。だが、イベント後に例年華々しく発表されてきたGMV(流通取引総額)は、2022年のダブルイレブン同様に、各プラットフォームとも開示しなかった。

一方で、中国のデータ会社 Syntun(星図数据)が、今回の618の主要プラットフォームのGMVの合計額を試算したところによると、7,987億元(約15兆9,500億円)に上るとされる。この数字によれば前年比14.7%増にあたるものの、コロナ規制撤廃後にもかかわらず、過去3年間で最低の伸び率となった。

美容分野も例外ではなく低調だった。香水・メイクアップは前年比2.9%増の106億元(約2,116億円)で、スキンケアにいたっては、同2.3%減の300億元(約5,991億円)だった。

スキンケアの低調が目立つなかで健闘したのが、中国発ブランドの「Simpcare(溪木源)」のメンズ向けスキンケア製品だ。とはいえ、メンズコスメアイテム全体が良かったわけではなく、男性向け総合スキンケアブランド「MAKE ESSENSE(理然)」や、シャンプーやボディソープから火がついた新興ブランドの「MARTIN(馬丁)」といった、中国ブランドの多くが売上を落とすなかでSimpcareがひとり勝ちだったとされている。

今年の「618」で唯一好調だったとされるSimpcare
出典:Simpcare公式サイト

Simpcareは2019年に設立された諾德溯源(广州)生物科技が、2020年に販売開始した、新興の機能性基礎化粧品ブランドだ。創業者であるJeffrey Liu(劉世超)CEOは、かつてP&GでOlayのブランドディレクターを務め、中国全土の販売チャネルとECビジネスを担当していた。

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