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美容アプリMIRA、「悩み」別のユーザー層へのターゲティングが可能なSaaS提供へ

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AIによる顔診断の結果をベースに、ユーザーにパーソナライズされたコンテンツを配信する美容アプリ「MIRA」は、ユーザー数の着実な増加を背景に、診断機能のさらなるグレードアップ、そして企業向けにプラットフォームデータを可視化し、コンテンツ配信も可能なSaaS機能「MIRA LINK」を、2021年6月1日に無料トライアルとしてβ版で発表し、同年9月に正式リリース予定だ。MIRAが目指すサービスの未来像について、運営会社であるKINDLER株式会社代表取締役CEO 門脇明日香氏と、プロジェクトマネージャー兼UI/UXデザイン担当 大平共紘氏に話を聞いた。

診断機能の精度向上とB向けSaaSサービス展開へ

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MIRAのアプリおよびプラットフォームとしての全体像は、AI顔診断やカウンセリングを受けたユーザーに、パーソナライズされた顔のタイプや悩みに寄り添った美容コンテンツが届く、新しいアプローチ方法を採用した美容専門メディアだ。

コンテンツには、美容や化粧品関連記事、ファッションアイテム情報に加え、エステや美容整形などのサービス情報、インフルエンサーとのコラボ企画などもある。これまで美容についての悩みを抱えたユーザーは、クチコミサイトなどを通じて自分と似た悩みを持つ人々が発信する情報をひとつひとつ探す必要があった。だが、MIRAでは肌や顔のかたち、パーツについての「診断」で集められたデータをベースに、ユーザーの悩みや特徴を抽出しカテゴライズして記事のレコメンドロジックを組み、ユーザーが自ら情報を探すよりも、その人ごとのニーズにもとづいた有用な情報が自動的に届く設計となっている。

この自分の悩みに寄り添ってくれるというアプローチが、ユーザーからも大きな支持を得て、2021年5月には、前月比250%増の750万PV、450万UU(ユニークユーザー)を達成した。その1年前の時点で約100万UUだったことを考えるとほぼ4.5倍となっており急成長していることがわかる。

今回、SaaSであるMIRA LINKが提供されることにより、企業側にとっては “悩み別にカテゴライズされたユーザー層”をそれぞれ可視化できることを意味し、より精密なターゲティングが可能なメディアプラットフォームとなった。後述するがブランドからのコンテンツ配信も可能で、2021年6月1日からβ版の申し込みを受付中だ。

現在、MIRAでは、このSaaS提供にともない、ユーザー向けには診断精度を高める開発を進めている。アプリ内に搭載された独自開発のAI顔診断機能「フェイススキャナー®︎」の精度向上だ。大平氏は次のように説明する。

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左から代表取締役CEO 門脇明日香氏、
プロジェクトマネージャー兼
UI/UXデザイン担当 大平共紘氏

「たとえばニキビの測定では、従来は『ニキビがある』もしくは『ニキビがない』の二段階でしか判別ができなかった。今後はより細かく5段階で状態を判定できるようにする。『ニキビの初期段階』なのか『収束段階』なのかなど、状態の区分によって適したケアが異なるからだ。ユーザーには、細分化された診断結果をベースに、より適切なコンテンツがマッチングされる」(大平氏)

フェイススキャナーは、部屋の明るさなどについていくつかの推奨環境があるものの、基本的にスマートフォンで撮影するだけで診断が可能だ。2019年2月のアプリのスタート以来、蓄積されたデータが画像認識技術の精度向上を下支えするアドバンテージとなっており、今後は「人の目を通して見るよりも正確な情報が取得できるようになる」と門脇氏は見通しを語る。

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新旧フェイススキャナーの診断結果の比較。
新バージョンではより細かい判別が可能

「この機能で、ニキビのあるなしだけでなく、ニキビの予兆など肌の微細な変化も捉えることができるようになるだろう。ユーザー体験をさらに向上させていく方向でグレードアップを重ねていきたい」(門脇氏)

診断機能の精度向上と並行してMIRAが注力するのが、プラットフォーム内でユーザーにマッチングされる「コンテンツ」だ。これまで、MIRAのメディアプラットフォーム内では提携したライターや編集チームがコンテンツの企画・制作・配信を担ってきたが、今後はそれ以外にも、企業がユーザーに向けてCMS機能を使い直接コンテンツを配信できるようになる。美容ジャンルに特化したプレスリリース型サービスとしてのMIRA LINKの主要な機能のひとつだ。

「企業が発信する情報は、クチコミや外部の人間が発信する情報とは異なり、その企業のサービスの正確さなどの価値がある。MIRA LINKは、企業が直接運用するダイレクトマーケティング要素を持ったサービスで、自社商品の魅力や込められた想いなどを直接ユーザーに届けることが可能になる。またSaaSとして、ダッシュボード上で配信コンテンツや商品を改善するためのデータをリアルタイムで確認・分析できる。MIRA LINKのサービスの一環として、MIRAを通じて蓄積したビッグデータを利用できるようにしたり、またユーザーに対してアンケートを効率的に実施できるようにしていく。2020年末から用意を進めてきたが、2021年9月には正式リリースする計画だ」(大平氏)

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MIRA LINK実装後のMIRAの全体イメージ

ブランド側がMIRA LINKを通じてコンテンツを配信すると、フェイススキャナーによる診断やアプリ内の行動分析によってカテゴライズされたユーザーに対してピンポイントで情報が届く。自分にあった欲しい情報を受け取ったユーザーからは質の高いフィードバックが期待でき、MIRA LINK内でそのデータを分析することで、短期間で自社商品やサービス、マーケティング戦略の改善を繰り返すことができるようになる。

「ユーザー向けに情報を配信するだけでなく、データを活用しながら、企業の商品・サービス開発をともに行うなど、ブランド向けのソリューションとしてMIRAのエコシステムを拡充していきたい。インハウスでコンテンツをつくることが難しいクライアントのためには、制作関連のサービスやサポートも充実させていく」(大平氏)

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MIRAアプリと連動する
Web版オウンドメディア

ユニークなポジションを築くビューティテック企業

MIRA LINKの実装を見据え、MIRAがパートナーシップを組んでいきたいと考えている先のひとつにOEM企業がある。クオリティの高い製品群を保有していながら、消費者とのタッチポイントが少ないため、マーケティングやブランディングに課題を感じているケースが多いからだ。すでにユーザーの“悩み”を基点に細かなターゲティングを実現しているMIRAとしては、ユーザーとの接点づくりや質の高いフィードバックなど、OEM企業の製品づくりや自社ブランド開発のサポートとして、ビジネスチャンスも大きいとみている。

実際に、スキンケア用途の各種ゲルマスクのOEM生産をおこなう積水化成品工業と協業を行った事例では、MIRA内で同社製品に関するコンテンツを配信し、サンプルを使ってもらったうえでアンケートを実施した結果、100人以上のユーザーのフィードバックから有益な回答を得ることができたという。

OEM事業者企業のみならず、企業が製品開発のための市場調査をする際にハードルとなるのが、ユーザーを集める際の母集団、そしてコストと時間だ。

「ユーザーのインサイト調査は、期間にして半年から一年、金額としては数千万円の費用がかかるケースも少なくないと聞いている。さらに問題なのは、変化が早い美容業界において、市場調査で手いっぱいとなり、ニーズを素早く汲み取った商品開発やマーケティングを行えないことで、商品自体が短命になってしまうことだ。MIRAのメディアプラットフォーム、そして今後実装するMIRA LINKを使えば、的確なターゲットユーザーを絞りこむこともでき、コストや時間を大幅に削減できる。蓄積されたデータや検証結果はマーケティングのための重要な材料にもなる。弊社としては導入事例を多くつくり、ブランド側にも有益なプラットフォームとしての成長を加速させていきたい」(門脇氏)

MIRAでは現在、企業の商品開発をサポートするプロジェクトも進行中だという。MIRAユーザーへのヒアリングや統計データをもとに仮説を立て、企業の強みを活かした商品開発を進める新しい取り組みだ。加えて、MIRA独自のブランド開発やEC展開も今後のビジネス展開として視野に入れているとする。

独自の顔・肌診断AIとそのデータを保有するビューティスタートアップという文脈で、MIRAのビジネスはユニークなポジションを築きつつある。診断系AI技術を保有する企業は、テクノロジーベンダーとして、ブランドのECや店頭用に機能を提供したり、もしくは診断用の専用端末を開発し拡販するビジネスが多くみられるが、MIRAはAI診断をユーザーの入り口として活用し、プラットフォーム全体の構成要素のひとつとしているのが特徴だ。

「AIによる肌や顔の診断分野では、診断とレコメンドだけで終わらせず、MIRAのミッションとしてはそこからさらに進んで、美容に関するアイテムだけでなく解決策を提示することにある。診断技術はあくまで、悩みにアプローチするためのツールだ。MIRAでは、コンテンツのマッチングにもアルゴリズムが組まれている。自分の悩みにぴったりあった解決策がここではわかるというユーザー体験を提供できる点が、競争力だと考えている」(大平氏)

Text: 河 鐘基(Jonggi HA)
画像提供: KINDLER株式会社(MIRA LINK

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