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化粧品の可能性は? C2Cの間で信頼を担保するC2B2Cの現状

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主にフリマアプリを使い個人間取引(C2C)での使いかけ化粧品の売買が盛んだ。ファッション、雑貨の世界では、信頼性を担保するためにその間に企業が入るC2B2Cビジネスもじわりと支持されつつある。その状況を見ながら、化粧品の個人取引の現状を考えてみたい。

ファッション業界を中心に、フリマアプリのメルカリフリルが人気だ。C2Cは利用が手軽な一方で、購入した商品が届かない、偽物だったなどのトラブルも後を絶たない。国民生活センターによると、C2C関連の相談はここ5年で20倍にも急増したという。そんななか、こうした個人間取引の間に「B(企業)」が参入することで、信頼性や利便性を高めようとする動きが出ている。

2018年2月3日、都内で開催されたファッション×スタートアップのイベント「pilot boat day #001 startup × FashionTech」に登壇した2つのサービス事例から、C2B2Cの可能性、そして化粧品業界にとってもC2B2Cモデルが有用かを考えてみたい。

ユーザーの利便性を考えると、企業が間にはいるのが自然

登壇したのは、子ども服のオンライン買取りを行うキャリーオン(本社東京都)と、ブランド品のオンライン買取りサービス、リクロを運営するアクティブソナー(本社東京都)の2社。両社とも買取った商品をリユースという形で販売している。キャリーオンは自社サービス内のみの販売だが、リクロは買取った商品を、海外など提携先のプラットフォームでも販売する。

左:アクティブソナーの青木康時代表取締役社長、右:キャリーオンの長森真希代表取締役(著者撮影)

キャリーオンでは独自の配送キットを用意しており、売り希望のユーザーはこれに商品を詰めて送る。送料は無料だ。商品は自社で査定し、一点ごとではなく総額という形で金額を提示して、キャリーオンでの購入時に利用できる「キャリーオンポイント」のほか、アマゾンギフト券や商品券などで還元する。小さくなった子ども服を処分し、貯まったポイントでワンサイズ大きい服を買うという使い方が多いという。2018年2月16日現在、買取り数は19万4,150件、販売数は15万3,347件にのぼる。

出典:キャリーオン

リクロはオンラインでブランド品の委託販売を行う日本最大級のプラットフォーム。ルイ・ヴィトンやエルメスなどの高級ブランドをはじめ、約6,000ブランドが買取り対象だ。集荷も行うので、ユーザーはオンラインで買取りの依頼をするだけで梱包の必要もない。商品を配達員に手渡せばリクロ側で査定し、自社や提携先のプラットフォームで販売してくれる。

特徴は、高い買取り金額だ。リクロを運営するアクティブソナーの青木康時代表取締役社長によると、「一般的な買取り業者は買値しか言わないことが多く、買取った商品をいくらで売るのかまでは説明しない」が、リクロは売値を伝えたうえで、最大90%で買取る。この買値はほかの業者に比べると1.5〜2倍に相当する。こうした手数料の可視化がユーザーからの信頼向上につながり、リピーターの獲得に結びつくのだ。

すべて鑑定済みの製品保証と返品保証付きの正規ブランド品だけを販売するため、C2Cにありがちな「ブランド品を買ったつもりなのに偽物が届いた」といった事態は発生しない。時期に合わないなどの理由で日本国内では買取りにくい季節商品でも、シーズンが異なる海外の提携サイトで販売できるのも強み。販売対象国は、約200カ国。青木社長は、「日本で目利きしたものを売る、という“オーソライズド・ジャパン”が通用する国でよく売れている」と説明。現在のところ海外売上の60%をアジアが占めており、全社売上のうち30%が海外での販売によるもので、海外は毎月3〜5ポイントずつ売上が増加している状況だ。

出典:リクロ

ユーザーは状況に応じて両方を使い分ける

リユースのプラットフォームという意味では、C2Cでも十分なはずだ。そこにわざわざ企業が介在するメリットは何か。両社が強調するのは、「利便性」と「信頼性」だ。

青木社長はリクロを立ち上げる前、C2Cサービスを手がけようと考えていた。数々のサービスを実際に試して高額なブランド品を買ってみたところ、商品を傷めかねない雑な梱包のうえに偽物が届くというネガティブな経験をしたという。偽物を売られたと運営会社に助けを求めたが「個人間でお願いします」と返事がきただけ。「まるで、裸で外に放り投げられたような気分だった」と振り返る。こうした個人的な失望から、企業が間に入ることで、安心安全を担保したラグジュアリーブランドのC2B2Cサービスを立ち上げたのだ。

アクティブソナーの青木康時代表取締役社長(著者撮影)

キャリーオンの長森真希代表取締役も初めはC2Cサービスを同時展開していたが、「洋服を当社に送ってあとはお任せ、というサービスの方が圧倒的に伸びたので、そちらに振り切った」とC2B2Cに絞った理由を説明する。

キャリーオンの長森真希代表取締役(著者撮影)

興味深いのは、多くのユーザーがリクロやキャリーオンのようなC2B2Cと、フリマアプリなどを併用している点だ。「価格の安いものや消耗品はC2Cで買う」「自分で値付けをしたり、ほかのユーザーとコミュニケーションを取ったりするのが好きだから」というのがC2Cを利用し続ける主な理由とみられる。一方でこうした“個人商店”は手間もかかるため、売りたいものをサービス運営会社に送りさえすれば、撮影、商品登録、発送など一連の作業を代行してくれるところに魅力を感じるユーザーも多い。この「利便性」が、企業が介在する価値となっている。

また、個人だと感覚に頼りがちな「値付け」も、企業ならば「適切な価格」を見極められる。リクロでは世界中の販売データをもとに、毎週どの商品がいくらで売れたかといった情報を把握、分析している。そのため、「この値段だったら売れる」という予測に即した値付けができるのだ。青木社長は「1ヶ月のうちに全体の60%、3ヶ月で85%が売り切れる」と販売回転率の数字をあげて自信をのぞかせる。

C2B2Cモデル、化粧品業界では「壁」がある?

では、化粧品業界ではこのC2B2Cモデルは通用するのだろうか。肌に塗ったり唇につけたりといったセンシティブな使い方をする化粧品の場合、「買取り」という意味も、ファッションとは状況が異なってくる。しかし、メルカリでは、使いかけの口紅をはじめとしたメイクやスキンケアアイテムが人気商品となっているのも事実。これは「サンプルでは物足りないが、本商品を買うほどではない」といった購入者側の心理と、「試しに買って合わなかったらメルカリで売ればいい」という売手側の心理の双方が作用した結果だと考えられる。

メルカリで売買されている口紅は多くの場合、使った部分を切り落としたり、拭ったりして販売されている。

ファッションや雑貨でもすでにユーザーのニーズがあることを考えると、やり方次第では、化粧品でもC2B2Cモデルが成立する可能性は十分ある。ただし、化粧品の場合は、薬機法が存在し、そもそもC2C自体が想定されていなかったといういわばグレーゾーンだ。

薬機法に詳しい消費生活アドバイザーの久保京子さんによると「本来は個人間取引であっても、事業として“小分け販売”を行っているとみなされれば問題となりそうだ。(小分け販売を行う場合は、化粧品製造業許可、化粧品製造販売業許可が必要であるため。)現法では、使用済み化粧品が売買されることを想定していないと考えられる。ただし今後もし何らかの健康被害が起きれば、一気に規制の手が入る可能性がある」という。

また、企業として個人間取引の仲介にはいるには、化粧品製造販売業許可は避けては通れないだろう。こうしたことから、現時点で化粧品メーカー以外の企業が化粧品でC2B2Cビジネスを構築するのは容易ではないと推測できる。メルカリは、2017年11月から「メルカリNOW」という買取りサービスをスタートしたが、現在はファッションアイテムのみが対象で、化粧品は扱っていない。「将来的には他のカテゴリーにも広げていく予定」(メルカリ広報・大塚早葉氏)だが、「化粧品への展開について、現在決まっていることはない」(同)としている。

ただし、もしメルカリが化粧品製造販売業許可を取得し、あるいは既存の化粧品メーカーなどが化粧品の買取りサービスを開始したら、化粧品業界でもC2B2Cサービスの拡大が加速する可能性は大きくありそうだ。そのときに既存の美容業界にとって脅威となるのか、または、さまざまな化粧品を手軽に試せるようになり、その結果ファンを増やして本商品の売上アップにつながるのかは興味深いところだ。

ただ、化粧品におけるC2B2Cビジネスは、検品、小分けなどの手間を考えるとビジネスとして成り立つのか、そしていつ、だれが参入するのか、まだまだ未知数な部分は多い。しかし、あっと驚くような手法でこの分野に挑むディスラプターが、いつか出てくる気がしてならない。

Text&photo: 公文紫都(Shidu Kumon)
Top Image: Alex Holyoake via Unsplash

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