花西子からドゥ・ラ・メールまで、中国における女性ゲームユーザーへのアプローチ
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世界有数のゲーム市場である中国では近年、女性ゲーマーが増加している。それに伴い、中国企業、外資企業を問わず、マーケティングに人気ゲームとのコラボやeスポーツを活用する美容ブランドが増えている。Florasis(花西子)、OSM(欧詩漫)、ロレアルの事例を紹介するとともに、ブランドがゲーム分野に注力する狙いを探る。
女性ユーザーを増やした『王者栄耀』や『リーグ・オブ・レジェンド』とのコラボ
中国のシンクタンク前瞻産業研究院によると、2020年の女性ゲームユーザーの市場規模は、前年比24.5%増の656億1,000万元(約1兆2,780億円)と急成長している。同年第1四半期の女性ゲームユーザー数は、23.1%増の3億5,700万人。全ユーザーに占める女性の比率も年々上昇し、同年は43.7%だった。女性プロゲーマーの活躍も目立ち、ゲーム分野での男女差は確実に縮まってきている。
こうした状況を受け、ゲーム業界に熱い視線を注ぐのが美容ブランドだ。中国では近年、キャラクターなどIP(知的財産)を利用したコラボ商品が多くみられるが、ゲーム関連IPの活用事例も増えている。
中国でゲームIPを使用した最初の事例は、2019年のM・A・C Cosmeticsだろう。M・A・Cは同年、テンセント(騰訊控股)傘下「テンセントゲームズ(騰訊遊戯)」が開発する『王者栄耀』の各キャラクターに合わせた5種類の口紅を限定販売した。『王者栄耀』は、スマホで楽しめてソーシャル的な要素を持ち、女性ユーザー、しかもいわゆるゲーマーだけでなくライト層をもつかんだ初のゲームとして知られている。
テンセントのメッセージアプリ「WeChat(微信)」のミニプログラムやアリババグループのECプラットフォーム「Tmall(天猫)」で販売したところ、販売開始から24時間で完売したという。発売当日は、テンセントの各媒体でプロモーションを展開したが、アクセス数は通常の30倍に達した。
このプロモーションの成功以来、中国における「ゲーム×ビューティ」のコラボが次々と行われた。2020年には、中国の新興ブランド「Florasis(花西子)」がKINGSOFT(金山軟件)の開発する『剣侠情縁網絡版参(剣網 3)』とのコラボ商品を発売。古代東洋の女性をイメージしたアイシャドウや目元シール、さらには七夕商戦に合わせ、比翼の鳥や花紋の彫刻をあしらった口紅を2万個限定で販売した。
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