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ロート製薬がCONSTELLAで実現する美容師とユーザーのCoクリエイション

◆ English version: Rohto’s personalized shampoo Constella realizes co-creation between stylists and users
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パーソナライズ・シャンプー全盛の中で「CONSTELLA」が提案するのは、美容師とユーザーが一緒に「旅」するように自分のあうものを創り出すCoクリエイションと呼ぶプロセスだ。その裏側には、独自に開発されたAI搭載の問診プログラムがあり、美容サロンの新たなビジネス展開や経営支援にもつながる、未来を見据えたサービス設計になっている。

ロート製薬は、社内ベンチャー事業として美容サロン専売のヘアケアのサブスクリプションサービス「CONSTELLA(以下、コンステラ)」を2019年10月にスタートした。日本ではD2Cスタートアップの「MEDULLA(メデュラ)」や「mixx(ミクス)」、中堅美容企業が手がける「BOTANIST(ボタニスト)」、大企業からはユニリーバ・ジャパンの「Laborica(ラボリカ)」などのパーソナライズ・ヘアケアブランドが認知度を上げてきているが、コンステラは、これらのブランドとはまったく異なるアプローチで市場に切り込もうとしている。

一番の違いは、Webの問診でも、ユーザーがひとりで処方を完結するのではなく、必ず信頼するスタイリストと一緒に処方を組んでいく点だ。そのプロセスを「旅」にたとえ、『銀河鉄道の夜』のような星座間を旅するイメージや、パウロ・コエーリョの小説『アルケミスト』に着想を得てブランドストーリーを構築。星座を意味するConstellationがブランド名の由来になっており、『星の王子さま』へのオマージュでもあるという。Webサイトを訪れると、まるで宇宙空間にでも来たかのような星空のイメージがあり、じっと見ていると星が瞬いたり、流れ星が現れたりする。ファーストビューで商品画像は一切出てこない。

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コンステラのWebサイトより

「なんでも簡単に手に入り、SNSなどを通して浅く広く簡単に繋がることができる便利な世の中だからこそ、信頼する人との関係性を大切にし、手間暇かけても、良質で、長く、ともに過ごせるものを選択する。そんな審美眼を持つユーザーに、 日常に想像力を働かせる楽しさを感じてほしい」と話すのはロート製薬 事業戦略室 室長 平澤伸浩氏だ。

AI搭載の問診プログラムがユーザーに適した処方を学習

ユーザーごとの細やかなニーズに応えるために、コンステラではシャンプー・トリートメントを、機能別に処方された「基材」、効果成分である「インフュージョン」、「香料」の3つの要素に分解して組み立てている。また、「OVNI」という独自のカウンセリングシステムを構築し、クリニックの問診、診断、処方のプロセスを参考に発想した、きめ細やかなコミュニケーションを行うのが特徴だ。

カウンセリングは、まず、ユーザーがタブレット上で、頭皮や髪質、髪の状態や生活習慣に関する約30の質問項目に答える「問診」を行い、次にスタイリストがプロの目線で診断した結果もあわせて、アルゴリズムが約9,600通りの組み合わせのなかから最適な処方を割り出す。問診値と診断値の差異データも蓄積し、現在の髪の状態と、なりたい髪質との差分も分析していくという。

搭載されたAIは、コロンビア大学やスタンフォード大学卒などのデータサイエンティストが集まるスタートアップ企業インジェンタ株式会社が設計・開発を担当しており、ユーザーが長く使い続けることで、AIが一人ひとりに適した処方を学習していく。平澤氏は、このインジェンタ株式会社と一緒に株式会社アノマリーを設立して同社 代表取締役を兼任し、コンステラを運営している。

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OVNI上で
問診値と診断値の差異が
グラフで表示される

サロンでは、その場で製品をすぐ購入する必要はなく、帰宅後じっくり検討して後日マイページから注文することも可能だ。購入すると、基剤とユーザーが選んだ香料を調合した「THE BASE」と「INFUSION」が化粧箱に入って届く。ユーザーは使用前に、THE BASEとINFUSIONを混ぜ合わせて、自分だけのシャンプー・トリートメントを完成させる。この問診、診断、処方のプロセスを毎回繰り返すことによって、よりユーザーのニーズに合ったシャンプー・トリートメントに進化させることができる仕組みになっている。

「OVNIには、将来的にはヘアケアに関する情報だけでなく、スタイリストとユーザーが交わした会話やカウンセリングの中で出てきたキーワード、それに対するユーザーの反応を音声や画像で認識させるなどして、ユーザーを知るためのさまざまなデータをビッグデータとして蓄積し、分析できるようにしていく予定だ。それによって、スタイリストとユーザーの関係をさらに深めることができ、美容サロンの新たなサービス展開の可能性が広がっていく」と平澤氏は考えている。

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砂丘をイメージする
サンドベージュの
化粧箱に入って届く
THE BASEとINFUSION

無在庫販売で、美容サロンの経営支援の側面も

コンステラが誕生した背景には、低迷する美容サロン市場の現状がある。矢野経済研究所のデータによると、理美容市場規模は約2兆円で、そのうち物販の割合は7%の1,400億円に過ぎない。市場成長率は、ほぼ横ばい状態だ。一方で、美容サロン店舗数は年々増加しており、予測される稼動店舗数はコンビニエンスストア店舗数の約2倍近い12万店舗と言われている。

そんななか、美容サロン市場ではゲームチェンジャーとなるような新たなサービスも続々と登場している。パーソナライズ・ヘアケアブランドMEDULLAは、オンラインによる無料診断に加えて、認定スタイリストのいるサロンにいけば、30分のシャンプー・ブロー体験が無料ででき、かつ商品のカスタマイズを無料相談できるサロン診断サービスをスタートさせた。また、280店舗以上のサロンと提携し月定額で何度でも美容室に通える「MEZON」や、全国の面貸し美容室とフリーランスの美容師をマッチングする「GO TODAY シェアサロン」や「AirSalon」など、いずれのサービスも美容サロンの集客や経営支援を促すビジネスモデルになっている。

「美容サロンが群雄割拠の状態のなかで、他店と差別化し、経営を安定させるための支援ツールとして、コンステラも機能する」と平澤氏はいう。コンステラは月額9,000円(税別)のサブスクリプションモデルで、商品の発送もアノマリーが直接行うため、店舗は発送作業や在庫リスクを抱えることなく売上の一部を収益として受け取ることができる。ユーザーが長く使い続ければ続けるほど、サロンの定常的な売上になる仕組みだ。現在は、コンステラの世界観に共感するオーナーサロンを中心に営業を展開しており、3年で500店舗の導入を目指している。

あらゆるデータをAIが学習し、美容サロンの新規事業の礎に

テクノロジーが発達した現代においては、一見、非効率にも見えるコンステラのブランドコンセプトだが、平澤氏は「コンステラが届けるのは、シャンプーやトリートメントではない。人間の感性が主人公の”体験” を提供するサービスだ。その実現のために、裏側では最新のテクノロジーやAIを駆使して、体験を緻密に設計している」と言い切る。

今後は、インスピレーションを刺激するエッセイやコラム、音源など「旅」を通じた繋がりを感じることができるコンテンツを、シャンプーやトリートメントと一緒に届けて紹介するなど、新たな体験の創造にも積極的に取り組んでいきたいと考えている。また、独自のカウンセリングシステムを通じて蓄積されたデータを活用し、美容サロンがヘルスケアステーションの役割を担うような新規事業の展開を模索する構想もある。 

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ロート製薬 事業戦略室
室長 平澤伸浩氏

ロート製薬は、時代の変化を予測し、それに伴って人々がどう変わっていくのかを考えて、先手を打つという姿勢を大切にしている。

「合理的な分析だけで新規事業やっていても今の時代は勝てない。ユーザーがまだ気がついていない価値をいかに早く拾って先手をうち、世の中が気づき始めたときには、他社よりも一歩先に進んでいるという状態を目指している。将来的には、ロート製薬の既存事業やその周辺領域とつながっていくことになるだろう」(平澤氏)。

短期的な売上目標ではなく、ていねいなコミュニケーションと長期的な視点で、美容室とエンドユーザーに寄り添う新規事業は、新しい潮流となるか。コンステラの世界観とテクノロジーが高い次元で組み合わさるとき、その「旅」はさらに広がりを見せるにちがいない。

Text:小野 梨奈(Lina Ono)
Top image: Jeremy Thomas via Unsplash
画像提供:株式会社アノマリー


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