メルカリとアイスタイルが目指す、一次と二次流通をつなぎ双方が活性化する世界
新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。またコロナワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
見出し画像

メルカリとアイスタイルが目指す、一次と二次流通をつなぎ双方が活性化する世界

◆ 9/1よりリニューアルしました。詳細はこちら
◆ 新着記事をお届けします。以下のリンクからご登録ください。
Facebookページメルマガ(隔週火曜日配信)
LINE:https://line.me/R/ti/p/%40sqf5598o

メルカリでの化粧品売買の取引は年々増えている。このことにより一次流通における購買は減るどころか、むしろ売上増のカギを握っているのが示されている。こうした今まで見えていなかった二次流通と一次流通の関係をデータから明らかにしたのが、メルカリとアイスタイルの提携及び調査プロジェクトだ。

メルカリが一次流通企業との連携でカスタマージャーニーを可視化へ

2020年2月に、一次流通企業が保有するデータと、メルカリが保有する二次流通データを連携し、包括的な商品のライフサイクルやカスタマージャーニーを可視化することで、一次流通市場の活性化と新たな購買体験・顧客体験の創造を目指す「コネクト戦略」を発表したメルカリ。同時にアイスタイルとの包括業務提携を締結し、化粧品ブランドをはじめとする企業への新たな価値の提供による一次流通の活性化に乗り出している。

メルカリとアイスタイルのデータ連携の内容

2021年10月に開催した、「コスメ化粧品の二次流通市場に関する共同調査」発表会では、国内における化粧品/コスメの二次流通市場規模の推計が年間1,555億円にのぼるなど、これまで可視化できていなかった二次流通市場にまつわる数々の興味深いデータを明らかにした。

なぜ二次流通市場の主要プレイヤーであるメルカリが、一次流通市場の活性化に貢献しようとしているのか。メルカリとアイスタイルのデータがつながると、化粧品ブランドにどんなメリットがもたらされるのか。共同調査の結果から浮かびあがる顧客のインサイトも含め、このプロジェクトを率いる株式会社メルカリ Business Operations(東京海上日動火災保険からの出向)入門大介氏と、株式会社アイスタイル データ戦略推進室長 勝並明子氏に話を聞いた。

メルカリが美容・化粧品カテゴリーに注力する理由

化粧品の二次流通市場は、年々広がっている。メルカリの化粧品/コスメの取引状況を2014年と2020年で比較してみると、年間購入数は約12.4倍、年間購入額は約24.7倍へと成長している。また、出品者は20代が多いが、購入者は20代から60代まで偏りがないという。

メルカリの流通取引総額の比率をカテゴリー別で見ると、コスメ・美容は約7%だ。この飛躍的な成長の背景には、「メルカリの月間利用者数(MAU)が前年比13%増(※)で成長を続けており、母数が増えていること、加えて『メルカリでコスメが売れるらしい』というクチコミが広がっていること、これら2つの理由が考えられる」と入門氏は明かす。
(※)FY2022.6 1Q メルカリ決算資料より

株式会社メルカリ Business Operations(東京海上日動火災保険からの出向)入門大介氏

国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授の山口真一氏が監修した「化粧品/コスメの二次流通市場に関する共同調査」によると、メルカリ以外のフリマアプリやオークションサイトも含めた化粧品/コスメの二次流通市場規模は、推計年間1,555億円。これは化粧品/コスメの一次流通取引総額の約10%に相当する。当然ながら、この金額は定価の積み上げではない。

メルカリがコスメ・美容カテゴリーの拡大に注力するのは、「化粧品をメルカリで売買するユーザーは、非常にアクティブ率が高い」ことがわかっているからだ。メルカリの流通取引総額は、多い順にエンタメ・ホビー(28%)、レディース(17%)、メンズ(13%)、家電・スマホ・カメラ(9%)、スポーツ・レジャー(8%)、コスメ・美容(7%)と続く。

ただ、メルカリの女性ユーザーのうちコスメを売買している割合はまだそれほど多くない事実もわかっている。化粧品など美容関連製品は日常使いされるものであることを考えると、メルカリにとってもポテンシャルの大きい分野だ。

つまりメルカリにとっては、コスメ・美容カテゴリーのユーザー増が、アクティブユーザーを増やすことに直結し、かつ売上拡大にも寄与する可能性を秘めており、同社がこのカテゴリー拡大に力を入れるのも自然な流れだろう。

ブランドが見るべき二次流通市場のデータ、3つのポイント

一方でアイスタイルが運営する@cosmeには美容感度の高いユーザーが多く、MAUは約1,450万人だ。@cosmeで2021年9月に行ったユーザー調査によると、「この一年でコスメをどこで購入したか?」という質問に対し、「メルカリ等のフリマアプリ」と回答した人は14%だった。「2年前の11%からじわじわと伸びてきており、スーパーやディスカウントストアで買うのと同じくらいの割合にまで浸透してきている」と勝並氏は語る。

株式会社アイスタイル データ戦略推進室長 勝並明子氏

コスメをメルカリで購入するユーザーが求めるものは、安さだけではない。メルカリと@cosmeのデータを突き合わせてみると、化粧品ブランドが把握しておくべき3つのポイントが見えてきた。

1つめは、メルカリで現品だけでなく、サンプル品の購入も活発に行われている点だ。@cosmeでのユーザー調査では、約9割の人に「化粧品は試してから買いたい」というニーズがあり、また、化粧品をフリマアプリで購入したことがある@cosmeユーザーに「フリマアプリやオークションサイトで化粧品を買う理由は?」と尋ねたところ、「その化粧品を試したいから」と回答した人が56.6%にのぼった。メルカリが化粧品のお試し買いの場の1つとなっているのだ。実際にメルカリで化粧品を探すとプチプラからハイブランドまで、数多くのサンプルが出品されていることがわかる。

ユーザー側としては、カウンターなどの売場に行けば無料で手に入るサンプルやテスターがあっても、「カウンターに行く時間がない」「自分の好きなタイミングで、面倒な個人情報の登録などをせずにサンプルを手に入れたい」「店頭の美容部員に相談すると目当てではないサンプルをすすめられる場合があり苦手に感じる」「店頭のテスターだと顔に直接試すのをためらう」「商品を購入する前にもう少ししっかりと試したい」といったニーズがあり、コロナ禍で店頭に足を運びにくい状況もフリマアプリでの購入を後押しした。

2つめは、二次流通市場による一次流通市場への消費喚起効果だ。調査を監修した山口氏によると、二次流通市場での購入をきっかけに、次に新品で購入する(一次流通で購入する)金額が52億円増えるという。

この数字は、二次流通市場を利用したことで満足し一次流通市場での購入をやめたマイナス効果も考慮して算出されたものである。また、「二次流通でのトライアル消費実施者(フリマアプリで試し買いをする人)」と「二次流通非購入者(フリマアプリを使わない人)」を比較すると、直近6カ月の間の化粧品/コスメの一次流通での新品購入額が、前者の方が約2.6倍多かったこともわかった。

「二次流通のせいで、一次流通で商品が売れなくなるというのは大きな誤解」と山口氏は説明する。むしろ、メルカリで試し買いするユーザーを増やすことが、一次流通市場の活性化につながることが証明されたといえよう。

3つめは、二次流通市場のデータからユーザーのインサイトを深掘りできる点だ。メルカリとアイスタイルのデータを連携することで、ブランド別・カテゴリー別に、月次の取引件数や取引金額を分析して、購入者像を浮かびあがらせることができるようになった。たとえば「10代・20代向けのプチプラブランドの商品を、メルカリでは40代が多く購入している」といった、一次流通市場のデータでは見られない消費者行動がわかってきたのだ。こうした二次流通市場でのユーザー行動にも着目することで、ブランドの取るべき戦略が変わってくるかもしれない。

「メルカリで試し買いをしているユーザーは、ブランド側では顧客リストに入っていない可能性が高い。だが、見方を変えれば『わざわざメルカリで検索してサンプルを購入する』という、ブランドに対して非常に興味・関心の強い潜在顧客であるともいえる。こうした、これまで見えなかったユーザーインサイトを読み解きながら、新規顧客創出に貢献できればと考えている」と勝並氏は語り、ブランドのニーズに応じて個別にデータ提供が可能だとする。

メルカリとアイスタイルが目指す、ユーザーニーズに合わせて一次と二次流通をつなぐ世界

2021年10月1日から、@cosme SHOPPINGでのメルペイの利用が可能となった。メルカリで売上金(メルペイ残高)を貯めて@cosme SHOPPINGで使うという流れができたことで、「メルカリでブランド名を検索している人に対し、@cosme SHOPPINGの商品ページへ誘導する」「メルカリでサンプルを探している人に対し、正規品のサンプルを購入できる@cosme SHOPPINGの『TRY at HOME』を紹介する」など、二次流通市場と一次流通市場をつなぐことができるようになった。

まずは2021年11月1日〜15日に、メルカリと@cosmeで共同キャンペーンを実施。メルカリの商品紹介ページから@cosme SHOPPINGの商品紹介ページへ誘導し、@cosme SHOPPINGでのメルペイ利用を促進していく。こうして徐々にメルカリと@cosmeの両方を使うユーザーを増やしつつ、最終的にはメルカリと@cosmeのID連携を目指すとする。

@cosmeの閲覧情報、ECである@cosme SHOPPINGや、リアル店舗の@cosme STOREでの一次流通の購買データと、メルカリの保有する二次流通市場の商品別取引数や平均価格などの統計情報をはじめとする、二次流通市場の情報を合わせて分析することで、一次流通市場と二次流通市場をうまく使いこなしているリアルなユーザーインサイトを明らかにしていくという。ブランドにとってこれまでのやり方ではコミュニケーションが難しかった潜在顧客にもアプローチが可能になるわけだ。

この取り組みを行ううえで、当面の課題が、出品とブランドの紐づけだ。メルカリユーザーが出品する際にバーコード出品をすれば、「商品名・カテゴリー・ブランド・商品説明」が自動で入力されるため、データの抜け漏れや誤入力が発生しない。しかし現状は、取引の半分程度だけがブランドデータと紐づいている状況だ。「とくに百貨店で販売されている化粧品では商品本体にバーコードがないことも多く、外装の箱を捨ててしまうとバーコードがわからなくなるという問題がある。アイテムごとのデータを正しく取得するためには、いかに正確に紐づけてもらえるかが重要だ。データ紐づけにどういう工夫ができるのか、ブランドにもアイディアをいただきながら考えていきたい」(勝並氏)

化粧品に限らず、不要品の推定市場は7.6兆円(※)あるといわれている。今のメルカリの流通総額の約10倍の規模だ。
(※)経済産業省調査(2018年4月)から、アンケート回答者が過去1年間で必要なくなったと回答した製品の推定価値の合計。自動車、バイク、原付バイクは含まれない。

「今回のアイスタイルとの取り組みのような、特定の業界カテゴリーに特化して、一次流通のメリットになり、メルカリにとってもグロース要因となる施策を行うのは、初めての試みだ。コネクト戦略の第一歩としてコスメ・美容市場でノウハウを蓄積し、他のカテゴリーへと広げていきたい」(入門氏)。

Text: 野本纏花(Madoka Nomoto)
Top image: 「コスメ化粧品の二次流通市場に関する共同調査」発表会より。左から国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授 山口真一氏、株式会社アイスタイル代表取締役 吉松徹郎氏、メルカリ株式会社 執行役員 Mercari Japan CBO兼CMO 野辺一也氏
画像提供:メルカリ


ありがとうございます!メルマガで隔週で更新情報配信中。ぜひご登録を!
美容業界の国内外のイノベーションを発信するメディア。最新記事から過去1ヶ月分は無料でお読みいただけます。それ以降の記事は「バックナンバー読み放題プラン」をご利用ください。詳しくはこちらから→ https://goo.gl/7cDpmf