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日本発のエシカルブランド「athletia」が提示する「美とはライフスタイル」の全容

◆ English version: Clean beauty brand Athletia leads consumer awareness in Japan
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世界を席捲するクリーンビューティトレンドを体現するブランドが、2020年2月に日本でも登場した。サステナブルやエシカルなどのコンセプトを、美容だけでなくライフスタイルとして提案する新ブランド「athletia(アスレティア)」だ。商品もさることながら、より体験を重視した戦略と、2021年までに欧州市場開拓をももくろむ背景を聞いた。

RMKやSUQQUを展開する、花王グループのエキップから2020年2月にリリースされたスキンケア&ライフスタイルブランドの「アスレティア」。いままでと大きく異なるのが、化粧品という概念を越えて、ライフスタイルそのものから美容を大きくとらえているところだ。開発を手がけた株式会社エキップ athletiaマーケティング部マーケティングマネージャー 松岡美季氏によれば、この構想をスタートしたのは2018年のことだったという。

「海外でクリーンビューティの機運が高まっており、この流れは今後も必要とされる考え方だと感じた。また、美しさの概念が肌など表面上に対してだけではなく、生き方を含めて語られるようになるなど、その価値観も時代とともに変化している。食生活や環境意識を改める人も増えており、そういったライフスタイルが人生の輝きや美しさにつながるはずだと考えた。アスレティアは、その潮流にトータルのソリューションを提案する目的でスタートさせた」(松岡氏)。

1日の生活の流れをトータルサポートするライフスタイルブランド

アスレティアは、「Strengthen Yourself. - 美しさは鍛えられる -」をブランドコンセプトに掲げ、スキンケアアイテムを揃えた「tune & charge」と、アクティブなシーンでの使用を想定して多機能性や利便性、携帯性に着目した「active & go」、呼吸や睡眠の心地よさにフォーカスした「breathe & sleep」の3つのラインで構成される。

3段組で表記されたブランドロゴには、3つのラインや躍動感、「アクティブでしなやかな生き方」という想いが込められており、背中合わせの2つの“a”には、“動と静”や“心とからだ”といった相反する事象が揺らいでも、元に戻れるしなやかなバランスが表現されているという。

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アスレティアを手がける以前は、エキップ内の他ブランドの商品開発と海外マーケティングの担当だったという松岡氏は、アスレティアのブランドコンセプトを考えるうえで、美容以外の市場の動きに注目したという。当時、すでに食物繊維入りなどヘルシーさを前面に押し出したスナック菓子がコンビニでも売られており、健康・ナチュラル志向が高まっていたと同時に、OisixなどのミールキットやUberEatsといったフードデリバリーサービスが台頭しており、「早く、手軽に。でも美味しく」というニーズが拡大していたのを感じ取った。また、ボクササイズなど、楽しみながら運動できるメソッドがジムでも人気で、人々のライフスタイルに、楽しみつつのワークアウトが根づいてもきていた。

そういった生活シーンの観察から端を発し、「アスレティアのすべての商品の向こう側に人々の生活が見えるものでありたいと思い、スキンケアにおいては、シンプルかつ効果の高いアイテムで、顔と身体の両方に使える利便性や、『active & go』のチューニングアロマミストのように飛行機内に持ち込める100mlサイズにするなど、現代人のライフスタイルに必要なものをプロダクトに落とし込んだ」と松岡氏は明かす。

もうひとつの特徴がジェンダーレスである。「最近はスキンケアや香りにこだわる男性も増えてきている。一方で女性も忙しさからスキンケアアイテムにシンプルさを求める声も大きく、ライフスタイルを考えるうえでジェンダーの垣根は低くなってきていると感じていた」と松岡氏。この洞察は、これまでに実施した大阪梅田の阪急百貨店や新宿伊勢丹で開催したポップアップストアで、男性客の来店や購入も多かったことで実証されたかたちだ。

原料、梱包資材から店舗までサステナビリティがいきわたる

松岡氏が「クリーンビューティとは正直なモノづくりと同義だ」と語るとおり、アスレティアの理念は、製品から店舗までいたるところに息づいている。たとえば原材料に対するこだわりについては、ブランドの共通成分として使用されているアシタバとシソは、農薬や化学肥料を使わない独自の循環型農業で栽培している。土壌づくり、栽培、収穫、成分抽出の過程をすべて管理し、トレーサビリティを明確にしているだけでなく、エキス抽出後の残渣は発酵させて堆肥として土に戻すことで、サステナブルな循環をつくりだしている。「アスレティアの構想の前から研究担当者が中心となって取り組みを始め、4、5年の試行錯誤を経て、やっと今の形に辿り着いた」と松岡氏は振り返る。

また、国際統一基準であるISO16128に準拠した自然由来指数を全商品に表記し、商品の開発生産段階において動物実験を行わない旨を公表するなど、情報の透明性にも努めている。

ガーデントリミング済み

アスレティア独自の循環型農園

アスレティアのサステナビリティは製品の原材料だけに留まらず、梱包資材や2020年3月に表参道にオープンした旗艦店の内装にまで及ぶ。たとえばギフトボックスは100%古紙を使用した生分解性の高いパルプモールド素材を採用。限定品のポーチはリサイクル・生分解が可能な、低炭素系エコ素材のウォッシャブルペーパーが使用されている。

「tune & charge」のコアバランストーニングローションに使用されている緑色の瓶は、90%以上リサイクルガラスを使用し製造されている。従来カラーグラスは別のガラスにリサイクルされる際に色むらが発生しやすいことからリサイクル率が極めて低く、代わりに建築資材(グラスファイバー)として使用されるケースが多いのだという。しかし瓶から瓶へリサイクルしたいというガラス業界の想いを知り、これまでニーズが少なかったカラーガラスの採用に踏み切った。

「製造の過程で色に個体差が生じる可能性はあるが、それも多様性として受け入れたい。アスレティアも使い手一人ひとりの個性を大切にしたいと考えており、その思想が一致する。何よりもリサイクルが大切であると伝えたい」と松岡氏は語る。

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リサイクルガラス使用率
90%以上を実現したボトル

nendoの佐藤オオキ氏による設計の表参道店は「Perfect Imperfection」というコンセプトのもと”動と静”などのバランス感があらゆるところで表現されており、同時に店舗でも環境配慮に関する多くのメッセージを発信している。例えば床材に使用されているのは土に還る天然素材で、店舗正面のガラス前の目隠しとして使われているレイヤーパネルは間伐材を使うなどアップサイクルの思想が光る。

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表参道店の内観

旗艦店の2階にはスタジオも併設し、約6枚のヨガマットを敷ける広さのスタジオはヨガやピラティスなどのクラスから座学やモノづくりのワークショップまで幅広いジャンルのイベントに対応できる。

また、アスレティアオリジナルのマインドフルプログラムも準備中だ。予約不要・無料で約10〜15分のブレスメソッドが体験できる。同社のフレグランスアイテムを使用した瞑想の方法を具体的に提案する内容で、アスレティアの考案するライフスタイルをより身近に感じてもらうための試みだという。

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店舗2階に併設されたスタジオ


ファンコミュニティの形成に注力

こういったアスレティアのアプローチにより、これまでクリーンビューティに興味を持ちながらも、日本ではブランドが少なく掘り起こせていなかった層が顕在化しそうだ。ブランドローンチ前日に表参道のELLEカフェにて開催されたイベントでは、アスレティアと親和性の高いインフルエンサーを多数招き、ブランドコンセプトの紹介や瞑想タイムを設けるなどで盛り上がったという。その後、参加したインフルエンサーや参加者が自発的に自身のSNSでアスレティアについて発信し、”エコ”や”エシカル”といったアスレティアの理念に共感する消費者同士の輪が広がり始めている。

今後は、地域コミュニティ単位で行うボランティア活動など、共通の思いで繋がるファンコミュニティを作っていく構想もある。同社のPR/Web担当 木内安曇氏は、「環境を守るためのアクションを取るきっかけを探している人もいるはず。リサイクルなど、環境に配慮した行動が日常的なものになればいい。さらにアスレティアとの出会いを通して、ユーザーのライフスタイルを生き生きと輝かすことを手助けしたい」と語る。

近々、リサイクル業界を牽引する「テラサイクル」とパートナーシップを組み、表参道店でアイテムの空き容器のリサイクルプログラムも開始する予定で、これも消費者にとってサステナブルなライフスタイルを始める良い機会となるだろう。

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(左より)株式会社エキップ
athletiaマーケティング部
マーケティングマネージャー 松岡美季氏
同社PR/Web担当 木内安曇氏

日本発クリーンビューティブランドとして欧州市場展開も

グローバルの特にZ世代やミレ二アル世代を中心に、メインストリームになりつつあるサステナブルな消費行動は、日本ではまだ浸透の途中だ。このトレンドを日本発ブランドとしてリードすることになるであろうアスレティアは「まずは、『始める』ことや『発信する』ことを大切にしている。提案をし続けることで、気づきや共感を与えたい。もちろん製品のクオリティ面も気に入ってほしいが、アスレティアの製品を使うことで、エシカルな消費を始めるきっかけになれば」と松岡氏は同ブランドに込めた想いを語る。

さらに「日本にはもともと”もったいない文化”があり、モノを大切にする心を持っている。モノが溢れかえっている今だからこそ、我々の根底にあるその価値観を再度見直し、エコでエシカルなモノとの向き合い方につなげていくことができれば」と続けた。

新型コロナウイルス感染症の影響で、人々は不要不急の出費を抑える傾向にある。本当に自分に必要かどうか、そしてそれを買うことが自分だけでなく社会にもインパクトがあるのかも見極めていくはずだ。その意味では、このようなクリーンな哲学をしっかり持つブランドが選ばれる傾向も強くなるだろう。

現在は、政府からの要請もあり各店舗は休業しているが、ブランドスタートから2年目にあたる2021年までに、国内では現在ある表参道、大阪、名古屋の3店舗に加え、百貨店内にさらに5、6店舗を増やす予定だという。また、同年までに欧州展開も目論む。すでにエキップは英国に支社を持ち、SUQQUが欧州市場に進出しているため、そのノウハウを生かすという。

製品や店舗の香りとして使用されているアロマオイルには、吉野ヒノキや柚子、イヨカンなど和の要素を取り入れ、グローバル展開時における差別化要素もある。日本発のクリーンビューティが、まずは日本でどのように受け入れられ、そして欧州に広がるか。ライフスタイルブランドとしてのアプローチや早期海外展開を見据えた商品開発など、化粧品としての新しいブランディング手法にも注目が集まる。

Text: 橋本沙織 (Saori Hashimoto)
画像提供: エキップ
Top image: Dane Wetton via Unsplash

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