中国クリーンビューティは安全性重視の新興ブランドが登場、REDとの高い親和性も
新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症やコロナワクチンについては、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
見出し画像

中国クリーンビューティは安全性重視の新興ブランドが登場、REDとの高い親和性も

BeautyTech.jp

◆ 新着記事をお届けします。以下のリンクからご登録ください。
Facebookページメルマガ(隔週火曜日配信)
LINE:https://line.me/R/ti/p/%40sqf5598o

美容業界における世界的な潮流であるクリーンビューティが、中国でも若い世代のユーザーを中心に注目され始めている。海外ブランドだけでなく中国クリーンブランドも多数登場し、ブランド主導で業界基準を策定する動きもある。その現状をレポートする。
※Tmallが出典元のリンクはログインを求められることがあります

ドランクエレファントが先べんをつけた中国のクリーンビューティ市場

中国でクリーンビューティとして最初に注目されたのが、2019年に中国市場に登場した「ドランクエレファント」だ。同年8月、アリババグループ(阿里巴巴集団)の越境ECプラットフォーム「Tmall Global(天猫国際)」に出店したのをきっかけに、P&Gの「Snowberry(スノーベリー)」や、ヤーマンの「ONLY MINERALS(オンリーミネラル)」など、海外のクリーンビューティブランドの中国市場への進出が始まった。

加えて、越境ECの普及による影響も大きい。中国政府は2021年4月まで海外ブランドに対して動物実験データの提出を義務付けていたが、越境ECでの販売においては免除されていたからだ。越境ECを通じて、海外からクリーンビューティ製品が続々と入ったことも市場拡大につながった。

その後は、2020年頃から若い世代の消費者を中心に認知や支持が広がり、SuperOrdinary(スーパーオーディナリー)傘下の「FARMACY(ファーマシー)」の製品は、同年のTmall Globalのクレンジング部門で1位、塗るパック部門では2位を獲得した。ファーマシーの2021年上半期の売上は、前年の同じ時期の8倍に達したという。

2021年になってもその勢いは衰えず、半年間で70以上の海外クリーンビューティブランドがTmall Globalに出店したとされる。大きな要因は新型コロナウイルスの感染拡大により、消費者が安全性をより重視するようになったことにあると、現地メディアは指摘する。

中国発新興クリーンビューティブランドが続々誕生

現在、クリーンビューティをうたう中国ブランドは、主なものだけで15程度存在する。そのほとんどがローンチから数年以内の新興ブランドだ。

なかでも注目されているのが「LAN(蘭)」だ。杭州蘭匠化粧品が2018年にローンチした同ブランドはオイルに着目したコンセプトで、クレンジングオイルとエッセンスオイルを主力製品としている。価格帯は100〜300元(約2,000〜6,000円)程度で、アリババグループのECモール「Tmall(天猫)」のLAN旗艦店での紹介では、原料の95%以上に天然素材を使用しているとする。

クレンジングオイルのTmallでの累計販売数は100万個を突破し、ユーザーからは「私は敏感肌だけど使用感がいい」「あえてしばらく使ってみてからコメントを書き込んだが、肌のトーンが明るくなった実感がある」といった機能面だけでなく、「環境保護を理念としたブランドだから好き」といったサステナビリティを評価する書き込みもみられた。

LANが発売しているエッセンスオイル
出典:LAN Weibo公式アカウント

2021年の「ダブルイレブン(双11)」では、Tmallにおいて、クレンジング部門のリピート購入ランキングの6位に入った。同社は「RED(小紅書)」と「Douyin(抖音)」を活用したプロモーションに力を入れており、REDの公式アカウントは5万以上のフォロワーを抱える。2021年11月時点で、直近30日間にDouyinで33回ライブコマースを実施し、236万元(約4,720万円)を売上げたとされ、また、2020年10月と2021年4月に2億元(約40億円)を調達したという。

クリーンビューティは、中国のECプラットフォームのなかでもREDとの親和性が高いといわれる。中国でクリーンビューティが紹介される際は、人体に有害な成分を使用しないという安全性を強調するものが多く、環境に配慮するといったサステナビリティの側面にはあまり触れられないケースが多いが、「90后(1990年以降生まれ)」や「95后(1995年以降生まれ)」のユーザーが多いREDでは、クリーンビューティブランドによる環境への負荷を減らす処方やパッケージなどの取り組みについて触れている投稿も少なくない。こうした投稿は、中国最大規模のSNSであるWeiboではあまりみられず、REDには世界的なトレンドに敏感で、環境課題に意識の高いユーザーが集まっているといえそうだ。

REDが出資するクリーンビューティブランド「Dewy Lab」

もうひとつの注目株は、上海大喂科技発展が運営する「Dewy Lab(淂意)」だ。2021年1月にローンチしたばかりだが、半年経たずに月間の売上が500万元(約1億円)を超え、同年11月の売上は1,000万元(約2億円)超を記録した。同社は2022年2月にプレシリーズAラウンドで約1,000万ドル(約12億8,000万円)を調達したが、リードしたのはREDだ。REDがコスメブランドに出資するのは初めてで、それだけクリーンビューティを注視していることがうかがわれる。

Dewy Labは25〜35歳をターゲットに、ファンデーションやコンシーラー、ルースパウダーなどを主力に展開。価格帯は200元(約4,000円)程度だ。REDをはじめとする旗艦店では、原材料に有害物質を使用していないという安全性を強調。敏感肌の人や妊婦でも問題なく使えることを訴求するとともに、商品開発の際に動物実験を行っていないことも明記している。

「使用感が自然でいい」「敏感肌でも、使用後に過敏反応がまったくない」など、ユーザーからの好意的なレビューが多い。

Dewy Lab のルースパウダー
出典:Dewy Lab Weibo公式アカウント

既存ブランドがクリーンビューティを志向し、方向性を再構築したケースもある。2011年にローンチされたスキンケアブランド「MyClorisLand(MCL 花皙蔻)」だ。広州嵐萃貿易が運営する同ブランドは、洗顔クリームや化粧水などの製品をラインナップし、オンラインのほか、ワトソンズ(屈臣氏)などの小売店舗でも販売している。

P&G出身の創業者である龔天貴氏が現地メディアに語ったところによると、MCLはもともと「(添加物や防腐剤をよしとせず)ピュアであること」を重視していたが、創業から10年が経ち、次の10年に向けてブランド力をさらに高めるため、アップデートしたクリーンビューティ戦略を打ち出したという。

MCLのTmall旗艦店には「Clean Beauty」と名付けられたページがあり、商品に配合する物質の90%が天然由来成分であることに加え、動物実験を行わないことや、リサイクル可能な素材を包装に使用することを表明している。容器にはガラスを多用し、紙はFSC(森林管理協議会)の認証を受けたものを使用しているとする。

あわせて、発がん性物質や環境に悪影響を与える物質など、リスクが考えられる2,000種類以上の原材料を網羅した「危険成分リスト」を作成し、それらの不使用をうたう。同旗艦店によると、中国で使用を禁止されている物質は1,200超、EUでは1,600超であることから、それらを上回る数の物質の使用禁止を自らに課している。

Tmall旗艦店で最も販売数が多いのはローションで、累計で10万個以上を販売。「乾燥肌にぴったり」「容器がガラス製で、手に持った感じがいい」などユーザーからのクチコミ評価も高い。

MCLのTmall旗艦店にあるClean Beautyのページ
出典:MCL Tmall旗艦店

近年、中国では化粧品専門小売店の出店が相次いでいるが、この業界にもクリーンビューティの波が訪れつつある。

2021年11月、クリーンビューティ専門小売店として「LinnaeusC(林奈氏)」が上海にオープンした。クリーンビューティブランドを中心に、敏感肌のためのスキンケアアイテムを数多く取り揃えている。中国の新興ブランドを重視した品揃えで、スキンケアからメイク、パーソナルケアなど幅広い商品を扱っている。報道によると、2022年内にさらに15店舗を出店する計画だという。

上海にオープンしたLinnaeusC
出典:LinnaeusC 公式サイト

ブランド主導で業界基準を策定する動き

クリーンビューティを今後、中国で浸透させていくには、消費者の環境課題や倫理に対する意識の変革を促すことも必要になってくるだろう。クリーンビューティに明確な定義はないが、有害とされる物質を排除するなど成分や処方の安全面が、これまでは強調される傾向が強かった。

欧米のようなサステナビリティを実現するための取り組みや、原料の採取方法からCO2の排出量まで製造過程の透明性を示すなど、エシカルな側面までを意識してブランドを選んでいるユーザーは現状ではあまり多くない。

こうした風潮に対し、中国内でもクリーンビューティとは何を指すのかの業界基準を定める動きがある。主導しているのは前述したMCLだ。同ブランドは2022年1月、広東省化粧品協会や12の研究機関と協力して「中国クリーンビューティ団体標準」を策定し、ガイドラインを示す「ピュアグリーンブック」という白書として発表した。今後も、原材料から配合、製造、包装、リサイクルなど全ての工程における具体的な取り組みを推奨していくという。

中国は、世界最大のCO2排出国であるが、環境問題に対しては政府の決断と実行も早い。レジ袋の有料化が2008年から義務付けられたり、EVが世界に先駆けて一気に普及した事例もある。2021年9月には、習近平国家主席が国連総会で「中国は2030年までにCO2排出量をピークアウトさせ、2060年までにカーボンニュートラルを実現することを目指す」と宣言したこともあり、サステナビリティなどの要素も含めたクリーンビューティが短期間に広まる可能性も指摘されている。

その意味で、この先、政府主導あるいは化粧品業界主導で規制やルールが整ってくれば、消費者の認知度や信頼性も高まり、後戻りすることのないトレンドとしてクリーンビューティ市場はさらに広がりそうだ。

Text: チーム・ロボティア(Team Roboteer)
Top image: Sasin Tipchai via Shutterstock

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!
ありがとうございます!メルマガで隔週で更新情報配信中。ぜひご登録を!
BeautyTech.jp
美容業界の国内外のイノベーションを発信するメディア。最新記事から過去1ヶ月分は無料でお読みいただけます。それ以降の記事は「バックナンバー読み放題プラン」をご利用ください。詳しくはこちらから→ https://goo.gl/7cDpmf