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ネイルチップから皮膚の複製まで、3Dプリンターの進化がとまらない

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1983年に、チャック・ハルが光造形法を発明し世界最初の3Dプリント製品を作りあげてから35年、いまや3Dプリンターによって製造できるものは、家から旅客機エンジン、あるいは小さく繊細なマスカラブラシまで多岐にわたり、さまざまな産業界を変え続けてきている。現在では人間の皮膚を構造と機能をそのままに複製プリントする技術も開発され、3Dプリンティングが美容やヘルスケア関連分野に与える影響は多大だ。「3Dプリンターにできること」の最新情報を追う。

コストと時間を大幅短縮できる魔法のツール

3Dプリンターの一番の特徴は、従来なら何段階も必要だった複雑な工程を、プリンティングというわずか一段階にしたことにある。

旅客機用ジェットエンジンの部品を製造する金属加工3Dプリンターを例にとると、パウダー状にした金属を薄い層に積み重ね、硬化させたい部分にレーザーを照射して融解・硬化させる手順を、少しずつ形状を変えながら繰り返していくことで、立体的な形の部品が立ち上がり、まるで“成長”するかのようにかたち作られていく。どこにも溶接や切削のあとがない単体の部品の完成だ。これは今までの金属加工では考えられなかったことである。

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出典:GE Reports

複雑で立体的な構造物も、コンピュータで作った形状データと3Dプリンターがあればいつでもどこでも作れる。たとえば、移動可能な建設3Dプリンターを開発したアピスコーでは、延べ床面積38平方メートルのコンクリート住宅の躯体を、作業員2名、プリンターの稼働時間24時間で構築できる。壁には鉄筋の代わりに棒状の繊維でできた材料を水平に入れることで強度を高めており、企業側は150年以上の耐久性があると自信をみせる。しかも建設費用は約1万ドルという。

このように、いくつもの部品の組み合わせや貼り付け、金型を必要としないメリットは、小さくて微細な形状のものの製作にも向いている。

シャネルは2018年3月Erpro 3D Factoryと共同し、3Dプリンターで作ったマスカラブラシを開発したと発表、6月には「LeRevolution Volume」マスカラとして量産体制をスタートさせるとした。ブラシの毛束の量や長さ、植える方向とバランスなど、最良のデザインを完成させる過程を支えたのは100あまりのプロトタイプだ。

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